表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/111

ギルドマスターはお疲れです

 ここ数日、イバラークは非常に忙しかった。


 ギルド員になりたいという者が殺到したのだ。


 ギルド員は欲しいが、ある程度ちゃんとした者を正規のギルド員として受け入れたい。


 なので、面接をするのだが。



「え~、なんでウチのギルドに入ろうと思ったのかな?」


「はい、トトリちゃんが可愛いからです!」


「え~、なんでウチのギルドに?」


「トトリちゃん、はぁはぁ・・・」


「え~、なん(以下略)」


「おっぱい」


「巨乳」


「きょぬー」


「アキータおねーたま!」



「はい、みんなバッテーン!! 何か一人意味分からん奴が混ざっていたが、とにかくトトリ目当ての馬鹿ばかりだ!」


 イバラークが頭をかきむしる。


 トトリを事務員として受付カウンターに立たせた所、下心百パーセントの男達が群れでやってくるようになった。


 まともに農業をやりに来る者がいない!


 今日も今日とて朝早くからギルドで面接をし続けていたが、日も高くなり昼を迎えている。


 トトリが気を利かせてお茶を入れてくれた。


「おう、ありがとさん」


 元暗殺者という異色の経歴だが、彼女なりに事務員という新しい仕事に邁進している。


 と言っても、まだそんなに仕事が無いので来客受付とお茶出し、掃除がメインになっている。


 まだまだギルドとしての仕事があまり無いので、トトリにはかなり自由にやってもらっている。


 制服が有るわけでもないし、休憩も好きに取ってもらっている。


 かと言って、彼女は真面目なので派手な服装をするでもないしサボるわけでもない。


 実に得がたい人材だ。


 そろそろトトリも昼休憩に入るようだ。


 いつも彼女は手作りのお弁当を持ってきている。


 自分で作っているらしい。


 素朴な家庭の味を詰め込んだような中身である。


 イバラークはと言うと、最近は忙しくて昼ごはんを食べないでいた。


 体を動かしているわけではないので、腹が減って動けないなんて事はない。


 以前はお昼になると王都の飲食店街で外食をしていた。


 独身貴族の彼は、あまり自炊しない。


 やってできないことは無いが、自分一人のために料理するのも面倒だし、一人分だけ作っているとコスパが悪いのだ。


 今日もイバラークは昼食を抜く事にしていた。


 飯より休憩が欲しい。


「トトリ~、午後ってあと一人だったか~?」


「はい、それで今日の面接は終わりですね。明日以降もちらほら入ってますけど、大分落ち着いてきましたね」


 ギルド員が使うための席でトトリは昼食を食べる。


 イバラークはその奥の方の一角にある応接スペースでぐったりとしている。


 トトリの所からは来客が有ればすぐにお互いが見える位置だが、イバラークが居る所はすぐには見えない。


 トトリは、来客が有ればすぐに動けるようにしているからで、逆にイバラークはぐったりとしたこの姿が目に入らないように、という配慮だった。


 少し距離を開けての会話になる。


 基本ギルドに常駐している二人なので、会話は多い。


「な~、トトリんとこの弟とかどうなのよ。農業しない?」


「私と年が離れていて、まだ十歳ですからまだちょっと」


「ん~、じゃあ妹事務しない?」


「まぁ、考えておきますけど。母はさすがにまだ働けませんよ?」


 トトリの兄弟は弟一人、妹二人。


 そして病気の母親がいる。


 父親は母や子ども達に暴力を振るう最低男で、他に女を作って出て行った。


 クズ男専門で暗殺を行っていた背景にはそんな理由があった。


 暗殺業から足を洗った彼女は、幸運にも天才の名を持つ薬士であるアキータに出会い、彼女から格安で薬を譲り受ける事ができ、母親の病気が治るかもしれないとの事だった。


 本来ならばとても高価な薬で、調合が難しく入手困難な薬だ。


 同じギルドの仲間という事で、無料(タダ)で譲ってくれるとの事だったが、さすがにそれは辞退した。代わりに格安で譲ってもらうという風にしたのだ。


 そんなトトリの家庭の事情なんかも話題の種になっており、イバラークはトトリが抱える問題や悩みなども把握している。


 当然、裕福でない事も知っているので、それとなく援助したい気持ちが有る。


「二人とも働いた事ないですし、今現状そんなに仕事も忙しくないのに雇っても邪魔になるだけじゃないですか?」


「逆に今ならしっかり仕事教えられるっしょ? 忙しくてバタバタしてる時じゃ仕事を教える余裕無くなっちゃうし。トトリだって常に健康で仕事出られるとは限らないんだから、補助要員は必要だと朕思ふ」


「マスター・・・・・・」


 たまに・・・・・・いや、かなりの割合でおかしな男だが、根は善人である。


 転職して良かったとトトリは思った。


 その後も取り留めの無い話をしながら昼休憩を過ごす。


 そして、そろそろ休憩を終えようとしていた頃、そいつはやってきた。


「た・・・たのもう!!」


 ・・・・・・なんだこの可愛い生き物は。

いつも読んでくださっている読者の皆様、本当にありがとうございます。

本編中は非常に進みが遅く、中々農業までたどり着かず、ギルドの運営ばかりで農業らしさが皆無です。

私自身、こんな面倒な部分早く終わればいいのにと思うのですが、イバラークが選り好みしているので仕方ありません。

決して私のせいではありません。

読者の皆様におかれましては、気長に見守って頂ければと思います。

今後とも宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ