#9 アビファイターの実戦練習
昨日からの合宿も、もう最終日だ。最終日といっても、一泊二日だけどね。つまり今日の練習はというと…?
「さぁ、今日はお待ちかねの実戦練習でーす!」
「別に待ちかねてねぇよ…」
はいはい、そういうツッコミはなし!気にしたら負けなんだから。
「トーナメント方式で、私を含め全員参加なので十人です。その為シードはくじ引きで決めます。シードは二回戦まで出場せず、準決勝での参加です。」
そしてくじを引いたら、僕はシードじゃありませんでした。シードはナルシェが強制的に、くじではセイレンがシードとなった。
「おい、何で私確定なんだよ…もっと戦いたいんだっっーの」
「だって貴方強すぎるのよ。そんな事よりこのトーナメント表見て。」
「…悪意しか感じられないわね」
昨日の組み合わせじゃん。
一回戦の第四試合は僕と夏樹だ。それまでのはというと、ノメア、千歳、唯世が勝った。筆花はノメアに敗北後、司会に専念してしまった。
「…まただな、俺達も」
「うん…じゃ僕からいくよ」
能力を使うとお互いに無効化してしまうので、武器での攻撃をメインにした方が良い。それは分かっている、分かってはいるんだ。ただ、そう考えると僕が不利である。
「『サイクルフレア』」
「いきなり能力技か?本当に熱から火を起こせるんだなぁ。まぁ俺はこうするけど。『アイスリンク』」
氷が溶けた事で水が発生、僕の火の結界も消えた。くっ、やっぱり能力は難しいか…?仕方ない、武器を使おう。
「能力使わないなんてやった事ないや。やぁっ」
「…っ、うわっ危ね!じゃ、俺の武器であるコイツの出番かなぁ」
夏樹の武器は爪らしく、いつもと比べて有り得ない長さの黒い爪で引っ掻こうとしてきた。でも僕は能力でかわした。
「…これキリがなさそうだから、腕相撲でもして決着つけてくれ」
これは僕の勝利。
「…悔しいけど、俺の分まで頑張れよ」
「うん、分かった。」
でも、二回戦で唯世にボロ負けした。
「だろうと思ったわよ。彼、思考が読めなかったのよ。」
「まぁまぁ。俺等三人では唯一二回戦進出したんだし。」
二回戦では唯世とノメアが勝者となった。二人共弱点がほぼないからなー。そんな二人とシード同士で準決勝を行った結果、ナルシェと唯世が決勝進出となった。
「やっぱりな。お前かセイレンだろうと思ってたぜ。」
「貴方は相変わらず、といった所ですね。」
「褒めても何も出ねぇよ。まぁ、殺すつもりでかかってこいよ。殺せやしないと思うが」
「僕もです。殺すつもりでかかって下さい。まぁ死んでますけど」
何だ、雰囲気がもう違う…!あと今気づいたけど、二人共武器が剣系だ。唯世はあまり使っていなかったけど、実は武器が刀らしい。
「『ハンターズソード』!」
「『白銀闘魂斬』」
「「うおぉぉぉぉぉっっ!!」」
この二人…なんか戦闘のスタイルが似てるような…?今チャンバラみたいです。
「『超神速拳』」
「ふむ…能力技は今の所ありませんが、怖いですねぇ。『ブレインサイバー』」
こ、これは…確か、戦闘中能力技を使えなくする技…。こんなの僕だったら戦闘不能になってしまう。
「残念だな。私の能力は、そう簡単に戦闘で使える代物じゃあない。使わねぇから無効だな。」
「ほ、本当に使わないで勝ち続けてるんですか!?…ちょっと僕には考えられないですね…」
「ま、そういう事だな。殺しにかかっていいんだっけ?『スパイラルソード』」
「…タンマタンマ!無理ですよ、これ以上なんて…」
「え、良いのか?お前らしくないような…」
「時と場合によりますよ。」
ナルシェは物足りなそうだが、唯世はもうボロボロだ。霊だけど。
「えーと…そういう事で、優勝はナルシェ、準優勝は唯世です!じゃあ感想言って!」
「もう少しやりたかったかな」
「ふぇぇ…僕限界突破した気がしますよ…」
とりあえず、この二人が強い事は分かったな。仮に皆で攻めに行く事があったら、二人が中心になったり…するのかな?