#7 双子の闇
翌日、やっぱり今日も雑貨屋に行った。
「いらっしゃ〜い。千歳ちゃーん、桐生君来たわよ〜」
「あ、来たわね。出来たわよ。…うん、似合ってるわ。どう、あたしがはっきり見える?」
「うん。実体化してるの?」
「いや、たった今実体化をやめた所よ。それのおかげで見えてるのね」
腕時計、すげぇーー!!
「あ、桐生君…今日も話していきましょうよ。」
「待ってよ、唯世は昨日もだったでしょ?」
「じゃ僕が終わったらで。片付けあるんでしょう?」
「…何となく混じっちゃいけない気がする」
どんな話なの!?
「さて…此処で堂々と話せる事じゃないですけど、千歳の事正直どう思いますか?」
「えっと…結構話しやすいかなと…恋愛対象な訳じゃないよ!」
いきなり怖いよ…こんなんでいいのかな…
「ですよね。良かったー…取られる心配はなくなりました。」
へ?どういう事?
「実は、千歳に恋愛感情か何か抱いているっぽいです。…いや、双子なので多分違いますが、何かこう…」
成程、シスコンか。…あれ、昨日も同じツッコミをしたような…
「えっと…それってヤバイやつ?妹の為なら何でも…って言う人たまにいるけど…」
「あ、それです!…良くないんですか?実際害がなければ良いと思うんですけど…」
「ちょっと…何やったの?」
「千歳が足悪いのは知ってますか?十五の時、家が火事になったんですが、千歳は彼女の世話人に共に逃げるよう言いました。だから彼女はその時助かったんです。僕は死んだんですけどね…それも罪を償う為です。」
「それは害ないけど…罪って…何やったの?」
「実はあの時、両親を殺す為に僕が放火したんです」
めっちゃ有害だから、それ!…あ、叶世さんが昨日、千歳と親は仲悪かったとか言ってたけど…
「それはやり過ぎだったんじゃ…それ世間一般に言うヤンデレじゃないか!」
「えー、でも仕方ないですよ。あの子だけ僕や姉上と差別されてましたから。火事の時に他の使用人も死んだ事は後悔してますよ」
そりゃ殺したくなるかもだけど…ん、じゃあ何で千歳は…
「それは知りません。本人しか分からない事なのです。…と、千歳も戻ってくるでしょう。僕は昼寝しに戻ります。」
あ、ちょっと…
「終わったのね。何話してたの?」
「あ、いや、ちょっと…男の会話、的な?」
千歳の可愛さを聞かされた、とは言えず…
「ふーん、何となくヤバそうね…あ、あたしの足の話とか聞いてる?」
叶世さんから聞いてて…と言ったら、話が早いのねと言った。
「百五十年前、白鳥家が火事になった時…助かったのはあたしとその世話役だけだったの。助かったけど、実はあたし小さい頃から死体が好きみたいで、自殺に憧れててね…自分の能力も分かってたし、簡単だと思ったし。」
なっ…上二人はシスコンなのに対し、末っ子はまさかの死体好き!?やっぱり三兄弟、全員ヤバい人だ…
「い、今霊って事は…能力で?」
「あら、察しは良いのね。庭で首元をイメージして鎌を振ったら、傷無しで死ねたわ。あっという間だったけど、気持ちよかったかも…月の技術で死体も保存してるし…」
末っ子は最強って言うけど本当だったとは…怖っ。これ以上は耐えられない…
「ピチピチで綺麗だから見せてあげてもい…桐生、大丈夫?」
「うぷ…け、結構です」
これ以上はキツいので帰ることにした。明るいし。途中で、開花した時と同じ様な敵が話しかけてきた。
「お前か、新しい能力者は」
「あぁ、そうだけど。…何でこんな事を…」
「我らが敬愛する主の命令だ。邪魔する奴は排除する。」
そう言って、敵は雑魚敵と共に攻撃してきた。一人でも戦えないと…
「『エクスプロート』!」
雑魚は倒せたけど、攻撃はギリギリで避けている。ひー、危ない!
「油断したな…。なら…これでも喰らえ!」
今の僕では避けられなかった。うわ、結構体力削れた…
「『ファイアーボール』!」
「ぐっ…」
今ので相手の体力はほぼ0の様だ。
「今回は負けを認める。だが次はないぞ。」
あ、行っちゃった…でも一人で勝てた?だけど、安心は出来ないな。能力者ってバレてるし…排除とか言ってたから、狙われる可能性が分かった。気をつけないとな…