#6 月と白鳥
今日は暇つぶしがてら雑貨店に行く事にした。
「いらっしゃ〜い…あら、桐生君。」
「こんにちは。あ、今日は特注に来たんだけど…」
「あら桐生。どうしたのよ?」
「…霊的アイテムとかないかなーって」
「普通はないけどね。うちはそういうやつもやってるわ。一番自然なのは腕時計よね…時間かかるから明日取りに来て」
「じゃあそれを!」
「はい、一万五千円でーす」
意外に安い!えっと…特注だよね?
「そうだわ、暇だから少し話しましょう」
暇だし、少し話す事にした。
「桐生君って好きな子いたりするの?応援するわよ?」
「いないし結構です。」
「あらそうなの?期待外れね」
逆にいると思ってたの?
「あ…千歳の事で質問が…」
「足でしょ?あの子は生まれつき左の膝下がなくて、昔から苦労してたみたい。私は、千歳ちゃん達の生前月に住んでたからよく分からないけど」
へぇ…そんな若いうちから一人暮らしって凄いな。
「千歳ちゃん、親と仲悪かったみたいだし。唯世も千歳ちゃんも、十五歳で亡くなってるから可愛がれなかったの。今はその分、特に千歳ちゃんが可愛くて仕方ないのよ〜」
この人…ガチのシスコンか!
…確かに気持ちは分からんでもないけど…
突然、店内に強風が吹き込んできた。
「鳥みたいだけど…おかしいわね。お客様、安全な所へ!」
他の客は「最近ヤバくね?」とか言いながら避難した。
「さて…私達は戦いましょうか。怪物みたいだし、多いものね。『スターライト』」
凄く綺麗だけど眩しい!…凄い、怪物の数が減ってる!
「僕も…『エクスプロート』!」
ひー、自分の魔法だけど熱い!敵の攻撃は大ジャンプや飛行でかわした。
「今のジャンプ凄いわ…そういう能力なのね。」
「残りはあたしが消すわ…『死欲の塊』」
最後までは元の三分の一くらいの敵がいたが、千歳の魔法で全て消滅した。というか何この三兄弟…
「ふぅ、落ち着いたわね…」
「そうね…ってあら、何かしら?…きゃあっ」
紛れ込んでいた怨霊が、叶世に憑いた。え、能力者も憑かれるの!?
「姉上!『フラッシュメモリー』」
「貴方弟でしょ?やめなさい、『シャイニングウェイ』」
うわ、さっきのやつよりダメージが大きそう。
「『ヒートエアーガン』」
「行くわよお姉様!『ジュエルトラップ』」
宝石勿体無い…しかも痛そうだし。あれ、でもさっきと強さは変わらない…「『ブレインサイバー』」
「……詠唱が出来ない!?」
「成功です。今のうちに…」
唯世のお陰で叶世は詠唱しなくなったそう。えーい…
「『打ち上げ花火』」
暑いから夏の風物詩を思い浮かべて作ったやつだ。危険だけど、お客さん室内だから良いよね?お陰で叶世は元に戻った。
「憑かれた…のかしら?えーと…はっ、お客様、ご迷惑をお掛けしました。もう大丈夫です。」
うーん、今日は少し疲れたかも…どう足掻いても叶世さんのハプニングのせいだけどね。
「でも大量に怪物が出てきた理由も察せますね。もう夕方ですし。送っていきますよ。」
確かに今は夕方だ。唯世に送ってもらう事にした。
「いやぁ、さっきの桐生君格好良かったですよ。僕の場合は攻撃系じゃないので…」
「どんな能力なの?」
「僕の能力は記憶操作です。どちらかというとサポート向きですけど…うちは三兄弟揃って攻撃系じゃないんですよ。千歳は少し違ってきますけど」
へぇ…双子でも違うんだなぁ…あ、二卵性か。
「ちなみに、記憶操作なので他人の記憶を見る事も可視化する事も出来ますよ。…ふむ、夏休み中に移動教室があって憂鬱…と」
うわ、いつの間に見られてる!でも他人に記憶を見られるって恥ずかしいんだな…って周りの視線!最悪…
「あ、着いた。じゃ今日は此処で…さようなら」
「明日も来て下さいねー!」
唯世さん…メンバーでも数少ない男だし、明日も話したいな…今日は千歳と話してないから、明日は話してみようかな。
杏歌です。眠いです(←どうでもいい)
今回、新たな情報が分かりましたね!次回は割と平和ですが、双子の過去は平穏ではありません…。
次回も読んで下さいね!
千「平穏じゃないって酷くない!?」
作「事実だからしゃーない」