#5 風変わりな友情
「そんじゃ、体育祭関係決めるぞー」
月森中の体育祭は五月にある。今、その諸々を決めている最中です。
「まず実行委員決めるぞ。学級委員と美化委員は出来ないからな。やりたい奴ー」
体力的に無理、という理由で皆やりたがらない。僕と透月は学級委員の仕事で無理だし。
「はい!」
え、夏樹?しかもそのまま決まったー。
「俺、こういう熱血系の好きなんだよ」
「それじゃあ、次は個人種目を決めまーす…」
結局、僕も夏樹も百メートル走に出場する事に。静羅は長距離走になったらしい。
「私長距離嫌いなんだけどな。…まぁ決まった以上は頑張るわ」
「うん。僕は単純な方が身に合ってるし、あまり速くもないし…夏樹は凄いな、足速いからリレー出るし、実行委員立候補とか…」
「…林についてだけど、なーんか怪しい感じがするのよね。」
うー…ん?確かに、何か計画してる感じがね…帰りとかも、別れた後人目を気にしてるし。
その後一週間程経ち、もう体育祭一週間前である。誰か目上の人?と頻繁に連絡を取っているし、最近たまに僕に対しての目も変わってる気がする。
「…でさー、英語の授業中眠すぎてさー」
「でも寝ちゃ駄目だよ。当てられた時どうすんの」
「その時はその時!」
「それ駄目なやつだ(笑)」
いつも通りの会話をしながら帰っていた。
「ところで桐生…何か隠し事ってない?」
「え?そんなある訳な…」
「嘘だ。俺知ってるぜ?桐生が能力者って」
な…!何処で、どうやって知ったんだ?夏樹…何者なんだ?
「…それは認める。でも、君は一体…」
「…俺は悪魔。鬼神様の部下だ。」
き、鬼神…僕達は鬼神側と敵対しているから、つまり…
「そう、俺らは敵ってこと。こう見えても俺も能力者なんでね、桐生達の言うアビファイもやってんの。まぁあの方に免じて協力しても良いけど…俺はスパイだからね〜」
あの方って一体…でも、それと同時に戦闘が始まった。
「『ファイアーボール』!」
「…へぇ、火出すのか…」
「僕の能力は、『熱や重力を操る能力』だよ。」
「なら相性は良くないな。俺のは…『フリーズシューター!』」
うわっ、氷⁉
「へへっ、俺の能力は『氷結』だぜ。」
む、火が無効…。あ、僕の武器は銃だから…
「『フローズンカッター』」
うわっ!夏樹は武器であろう爪で襲いかかる。技名からして冷たそうだなー。…って言ってる場合じゃない!僕は重力を操って、加速して避けれた…のかな?
「ざーんねん。俺はここでしたー」
「うわっ…」
掠っていたようだ。左腕を引っかかれ、出血している傷口付近は凍傷だ。痛いけど…なんか、不思議な感覚…って僕も反撃しなきゃ…
「…っ、『ヒートエアーガン』」
今度は効いたみたいだ。
「…分かった、この辺で切り上げよう。お互いにこれじゃあまずいよな?」
あ…僕は結構出血していて、夏樹も軽く火傷しているみたいだ。
「でも驚いたぜ。突発性の筈なのに、二つも同時に開花するとはな…これって凄く珍しいらしいぜ。」
「え、そういう物なの?」
「あぁ。二つ突発性があるのもレアだけど、同時ってのはなかなかな。究者姉妹とも絡んでるって聞いてるけど…実は俺二重スパイでな、元からそっち側だったんだ。あの二人は俺の上司。」
へぇ、意外…あの人一匹狼って感じだからな。
「久々に会う約束してんだけど、今何処住みか分かる?お前行ってるだろ?」
頼まれたので、仕方なく一緒に森に行く事にした。
「あら桐生君、友達?私はセイレンよ。」
「あれ、聞いてません?俺、林夏樹ッスよ」
「あぁ、思い出したわ。私も暇だから歩いて行こっかなー。」
そう言うと人魚姿から人の姿に変え、歩き始めた。え、セイレンってどちらの形態もあるの?何それ凄い。
「ほい、着いたわよー!」
「桐生じゃーん!急にどうし…って夏樹もいる!」
「ご主人様、妹様、久しぶりッス!」
「え、お前ら仲良かったんだ…。初耳なんだけど。」
ち、チャラいな…。でもナルシェの部下って…。
「あー、二人共結構怪我してるじゃん…はい、これで大丈夫」
「助かったー…ありがとう、ノメア」
「このくらいどうって事ないよ!」
「でも、何で夏樹にスパイなんか…」
「サタンの奴、中々連絡くれなくてさぁ…頼まれて仕事する事もあるし、そんでこいつ使ったの。」
「まぁ、俺は悪魔ッスからね!」
「えっと…サタンさんってどんな人?」
「そうか、こいつに言ってなかったっけ。サタンってのは私のライバルだ。彼奴が鬼神だ。ちょっと彼奴とは因縁があってな…」
「彼女の部下って悪魔が多いんだ。だから俺みたいな悪魔だと紛れられるんだ。」
へぇ…敵対してるって言ってたけど、あれ大丈夫なのかな?
「皆お腹空いてない?ケーキ焼いたんだけど…」
「「「「食べまーす!」」」」
筆花のケーキ美味しい…そういえば筆花もナルシェに色々教わってるらしいけどね。でも夏樹は氷結の能力者なのか…味方が増えて心強いな。
杏歌です。毎度痛い奴ですね。
5話です、はい。リアルの私も体育祭が近づいてます。出身中は運動会終わったばっからしいです。授業で行けませんでしたけどね!
次回は近日中です!