#18 常闇の謎めいた真実
墓参りの時といい…唯世には謎が多い。そこで、尾行しようと思う。…とはいっても一人だと不安なので、ナルシェや千歳に手伝って貰う事に。こういうの得意だからと言って、ナルシェは夏樹も連れている。
「へぇ、桐生勇気あるのね。」
「ただ、少ぅし危険じゃないか?彼奴の能力の事もあるし、二つ目の能力が開花するかもだろ。」
「二つ目といえば、妹様も持ってるんだよな。」
「あ、あたしもなんだけど⁉」
そうだ。ノメアの二つ目の能力は治癒、千歳のは宝石創造だっけ。
「ノメアの二つ目のやつ…誰かに魔力を吸われた事があってな、その時に開花したんだよ」
魔力を⁉うーん、確かにリスクがあるな…でも謎が分からないと彼の思考が全く読めない。
数日後、報告会を行なった。
「まず僕から…ごめん、特に成果がなかったよ。」
「私も無かったな。」
「じゃ次あたしね…まず一つ、あたしの部屋を漁ってた」
「うわ何それ変態だな」
うん、ナルシェがやってなければの話だけどね。
「二つ、誰かと電話してたわ。誰となのかしら?あたしがいるのに気が付いたのに、電話を切った後普通に振る舞っていたの。」
「あ、それは俺も見たッス。詳しくは分からなかったスけど、なんか復讐とかって言ってたッス。」
ふ、復讐⁉怪しいな…
「まぁ、怪しいと思って聞いてきたぞ。この間の事とか」
「あ、あたしもよ」
「へぇ、早いね。結果は?」
「聞こうとした所で能力使われたんだろうな。記憶に無い。」
ですよねー…。
「でも桐生だったら大丈夫じゃないスか?」
「そうね、男の会話した事あるんだものね」
「桐生、お前そんな奴だったのか…」
いや誤解だから!あれは千歳に関する話だから!変な印象与えないで下さい!
「分かった、聞いてみるよ」
「唯世ー、ちょっと聞きたい事があるんだけど。」
「はい…何ですか?」
いつも通り、天然そうだ。
「あのさ、この間の墓参りの時って…」
「あぁ、あれですか。帰ったんです…あっ」
…帰った?シスコンが?あの時は千歳の死体に襲われてたから、パニックにでもなってた筈。帰るなんて考えられない。絶対に裏がある。
「…おかしいと思ってたんだ。君は何者なの?」
「皆してしつこいですね。でも能力に耐えているのは貴方だけですよ。」
頭が痛く、抉られる感覚がする。でも言葉を発する事は出来る。
「それでも聞くよ。君は何者なの?」
結局、能力には打ち勝った。代わりに、思いもよらない答えが返ってきた。
「僕は所謂『裏切り者』ってやつです。」
裏切り…?何が目的なんだ?…って何で刀握ってるんだ。
「何で…何が目的なんだよ⁉」
「おっと、それ以上は答えられませんねぇ。この事はくれぐれも話さないように。こうなった以上、貴方の命はもう僕にかかっていますからね。」
結構な近距離で、刀を喉元に突き付けられた。怖っ!
「あ、一つ忠告しておきます。ナルシェの様子をよく観察しておく事です。近いうちに、彼女の身に何か起こります。」
そう言って唯世は帰った。…ひとまず報告しよう。
「ただいまー…。」
「お疲れー。何か成果あった?」
「うん、聞けたっちゃ聞けたんだけどね…その…。」
「…絶っ対に何かあったわね」
その通り。でも詳細は言えず。命かかってるなんて言われたら、ねぇ…。
「あ、ナルシェ…気を付けてね」
「?私は常に警戒してるつもりだ。大丈夫、心配すんな。」
そう言うと思った。でも、彼女自身の守備は隙がある。僕ももう少し警戒しよう。
お久しぶりです。今お盆休みです。宿題とか何だよ…とか思ってます。
次回からクライマックスに入ります。あと何話かで一章は終わり、二章に入ります。ちなみに二章ではキャラが増えたりします。