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アビリティ・ファイティング  作者: 倉 奈ノ佳
一章 the new hero
17/35

#17 学芸発表会のハプニング

 色々と大変だったけど、今日はがく当日。僕達の学校では、各学年でいくつかの担当に分かれて、合唱や劇、展示物などを担当する。僕は派手なのは苦手だから、展示物である歴史新聞を製作した。


「桐生ー、一緒に回ろうぜー?」


「私も交じるわね」


「あー、楽しそう。俺もー」


透月も岳も、何しれっと交ざってんの…ちなみに、透月は合唱、夏樹と岳は劇だ。二人共目立ちだがりだなぁ…。三人共出番は午後なので、今一緒に回っている。


「林、一応聞くけど…あんたの主とかは来るの?」


「いや、ご主人様が行きたくないってさ。人多いから」


「うわぁ、分かるかも」


出た、人嫌い。…まぁ、あの人の場合仕方ないけど。


 各展示室を廻る計画で、学年の展示物も見ている。透月は流石といった所だ。岳は更に上をいっていた。一方夏樹は物凄く雑な仕上がりだ。


「うわぁ、透月のはどれも完成度高いなぁ」


「ふふ、嬉しいな。だけど、武田の方が評価良いし、凄く上手いと思うわ」


「ん、ありがとう。」


「どうよ、俺の作品。」


「「「雑」」」


夏樹は残念そうだけど、これ本音…。


「あ、歴史新聞だ!桐生のもあるんだろ?」


「いや、僕のは頑張ったつもりだけど恥ずかし…」


「あ、あったわ!」


「え、どれどれ…」


ああぁ…自分では頑張ったつもりだけど、透月の展示物と比べるとどれも地味だ。当然評価も「ダサい」とのこと。


「もっとデコればいいだけの話でしょ。」


「え、逆に見づらいと思うけど…」


「すまん、透月サンと同感だわ。ちょっと寂しい感じがするんだよなぁー」


うぅ、今度からそうしてみようかな…。


「あ、昼ご飯の後は俺ら舞台鑑賞だぜ。期待してくれ。」


「まぁ、たまにはこういうのもアリかなと。」


「先輩達には敵わないけど頑張るわ。」




 昼食後の今、体育館にいます。今は吹奏楽部の演奏中で、二年合唱はその次、二年劇は割と後の方だ。


「音楽ってさ、俺達みたいな力はないけど、人を惹き付ける力があるよね。俺は好きだよ。」


惹き付ける力、かぁ。…僕は地味って言われてたし、そういう物には凄く憧れる。でも、音楽は演奏するより聴く派だ。


「吹奏楽部の皆さん、ありがとうございました。次は、二年合唱です。…」


二年合唱が始まった。綺麗な歌声。僕には音楽の知識はないけど、とりあえずハーモニーの綺麗さは伝わった。透月は背が高いので、後ろの方の列でアルトパートを歌っている。


「疲れたー…ね、どうだった?」


「とりあえず綺麗だなーとは伝わったよ。」


「ははは、そろそろ俺ら準備行くから二人で楽しんでな」


言い回しが若干腹立つ…透月は席に着くとすぐに寝てしまった。


(寝顔…可愛いな。…いや、そういう意味じゃないんだ自分!何やってんだ、女子相手に。)


でも、そんな思いはそこまで。透月の体に人魂みたいなのが入っていくのが見えた。ただ、寝ている時に技を繰り出したりしたら危険だ。ましてやここは公共の場だ。危険極まりない。だから、特に何も出来なかった。


「ただいまー!…あれ、寝てる?」


「ふわぁ…お疲れ〜…あれ、桐生どうしたの?」


「ごめん。突然だけど外出よう」


「あ、伝えとく?」


「いや、夏樹も一応来てくれない?実はさっき…」


「…それはやばいな、分かった。」


「あ、俺だと厳しい感じ?」


「…うん」


「おっけー、何とかするよ」


外に出て、人目のつかない所に向かった。




「…で、用って何よ?」


「透月、なんかいつもと違う?容姿じゃなくて」


「あー、気づいちゃった?」


「悪いな、容赦無しだぜ。『アイスリンク』」


おかげでつるつる滑って危ない。しかもここ日陰だし。まぁ、僕は浮けるから何とかなるけど。


「『スピリチュアルアロー』」


突然、聞き慣れた声と同時に、透月に見えない何かが飛んできたらしい。実体はないみたいだけど、どうやら飛んできたのは矢らしく…。


「あー、やっぱそんな感じか。ま、俺もちょっと参戦するかなーっと。」


岳!能力戦は不参加って言ってた筈じゃ…


「考えてみたら、能力の内容に関係なく、武器使えばいいじゃんって。それに…俺、こういうの好きだし。」


「というか、何故に弓…?確かにそれは取り出すタイプみたいだし、便利そうだけど。」


「俺んちは弓道の名家ってやつらしくてね、俺も心得はあるんだよねー。…ほら、早くやらないと」


「あ…『ファイアーボール』」


学校に近いし、制服姿だ。あまり派手にするつもりはない。


「『ライトニング』」


うわぁ、晴れてたのに雷が…!しかもこれ技だから僕ら二人共感電した。流石に死なないようにはなっているけど。


「いっつぅ…よくやるよな」


「あ、待って。あまり長くしちゃだめだ。『ヒートエアーガン』」


「おい、邪魔しといて何外してんだよ」


「いや、わざとらしいよ。ちょっと見てようか」


そう、外してはない。僕はわざと足を狙った。案の定、透月は体勢を崩した。そして僕は彼女の側に走る。


    パシンッ


「え、桐生…?」


「ほら、やっぱり。相手が透月だし、時間もないから、こうしたんだ。もー、油断するからだよ。」


「あら、ごめんなさい。二人共ありがとう。」


「な、なんか上手くいってるなぁ…」


ビンタで怨霊は抜け、元に戻ったみたいだ。そう判断し、校舎に戻った。




「こら、学級委員が抜け出すとは何事だ!」


「「「すみませんでした」」」


案の定、三人共先生のお叱りを受けました。しかも透月は手形付き。いや、僕の手形だけど。


「君達も困ったものだ…」


「だーかーらー、三人は手伝いに行っただけだっつーの。俺が手伝いに行ったのはこいつらのとこ。」


岳、ありがとう…!


「こら!言葉遣いが荒いぞ!…コホン、君達の善意は分かった。次は勝手に抜け出さないように!」


「「「はい!」」」


その後はより楽しめた。来年はもっと良くしたいなぁ…。

甘蜜です。夏休み真っ最中ですね。小説の方ではもう文化祭ですけどね。

さて、今回はまた一つ武器が登場しました。実はというと、元々は二章まで岳は戦闘に出ない設定でした。何故出したかって?…一章完結後に出したいものがあったからです。

この次の話は大分進展します。

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