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アビリティ・ファイティング  作者: 倉 奈ノ佳
一章 the new hero
13/35

#13 十五と妖気な森

 もう秋になり始めて、少し肌寒い。今、墓場の枯れ葉の掃除を手伝わされています。


「本当助かるわー。ありがとうね、面倒臭くてやってなかったの」


「あー、私も面倒臭いよー」


「僕も正直…」


「んもう、貴方達甘いわ!」


筆花がやけにやる気だ。そりゃそうか、筆花は掃除好きだからな…


「墓も綺麗にしておかないと。死者への気持ちを表すのだし。」


「いや、この墓私のなんだけど。私が気にしないから別に良いんじゃ…」


「セイレン、そんな事言わないの!ほら、服が汚れるでしょ!」


着物の心配なら自分にしたら…?


「筆花ー、奥の方とか溜まってるぞ。」


「はーい…貴方達進まな過ぎよ、私奥行ってくるわね。」


筆花は一人で奥に進んでしまった。


「あらあら、単独行動は危ないって言うじゃないの。」


ホラゲかよ!でも最近敵側の攻撃が増した気が…


「というかこの墓って…」


「レン、昔の話したら?今の子は知らないみたいだし。」


「そうね。桐生君、よく聞いて。とある昔話だけど…昔、その地域は川の氾濫によく見舞われていました。人々はそれを水神様の怒りのせいだと考え、鎮める為には十五歳の少女を生贄にする必要があると知りました。そして、くじで床屋の矢野家の娘が選ばれ、その娘は川に沈められて氾濫は鎮まりました。」


え、急に昔話?


「これは『十五の森』と呼ばれる伝説で、この娘というのが生前の私。…ほいっ、昔の私を出来るだけ再現出来てる筈よ。というか、こっちの方が楽ね。私の生前の名前は矢野蓮。」


そうなんだ…。生前のセイレン…蓮は綺麗だ。水色の着物は青い花びらの模様が散られている。


「もうこのままでいいや。髪は青い方にするけど、人魚姿って疲れるのよねー…」


「レンは相変わらず雑だねー」


「はは…掃除再開しよ…」


「あ、そうだねー。筆花怒ると怖いし」



 

 大分時間が経った。普通なら一人でやってたら疲れて戻ってくるだろうに…


「筆花遅くないか?…あれ、彼奴まさか一人で?」


「一人の方が早いとか行って…」


「馬鹿、武田って人間の件もあったんだし、危ないぞ。まぁ行かせた私も悪いけど…筆花の運勢悪いし」


どうしよう、それまずいって!


「よし、お前ら三人で行ってこい。」


「あれ、ナルシェは?」


「こっちに一人はいないと危ないし…最近、鈍ってる気がするんだ。今までこんな事なかった気がするし…」


「ん、鈍ってるって…」


「あー、いや、何でもない。気のせいかもな。でも頼む、三人で行ってくれ。」


 三人で向かったが、セイレンは水場以外はあまり強くないらしい。


「あまり…って言うけど、こいつ私より強いよー。」


「いや…聞いた所だと叶世も憑かれた事あるんでしょ?その時は…」


雑談もいいけど、それどころじゃないでしょ!



 

「あら、どうしたの?」


「普通これだけ一人でやってたら疲れて戻ってくると思って…」


「でも来てくれて良かったわ。」


何だろう、いつもの筆花じゃない。振る舞いはいつも通りだけど、オーラも違う。


「私、何だか殺りたくなってきたの」


やっぱり…!筆花は怨霊に憑かれているみたいだ。今回は能力者相手だし、叶世の時大変だったしな…


「え、こういう事なの!?じゃやるか。『投げ槍フォーク』」


これ、いつも最初に使うよな…


「『ファイアーボール』」


「あら、私と対照的な能力なのねぇ。『ウォーターキャノン』」


す、水砲?僕泳ぎ苦手だし、巻き込まれたら死ぬ…


「あら、そんなもんだっけ?『花吹雪』」


元から僕より強いけど、以前と強さは変わってないみたいだ。少し安心した…ってそうはいかないな。


「『エナジーアブソーブ』」


「季節外れだけど…『打ち上げ花火』」


これ夏に作ったやつけど…汚い花火だなー。


「あら、危ない技ね。じゃ私も遠慮なく…『大津波』」


うわ、溺れる!って何で僕らも巻き込まれてんの!?あっ、筆花の着物が…


「あら、服が濡れたじゃない。『一筆舞』」


うわぁ!濡れてて動きづらいって!


「いよーし、私が締めるわ。『十五の森』」


うわ、格好いいけど怖い!おかげで怨霊も消えた。


「…あら、何があったの?…あ、憑かれちゃったんだっけ…」


「筆花、ごめん。サボったりして」


「いいのよ。あの後は真面目にやってたんでしょ?それに、助けてくれたんだし。ありがとう」


筆花は妖怪化した人間だし、細かいけど…純粋で良い人だ。


「というか濡れてるけど、誰なの?」


あっ…どんまい、セイレン。


「セイレンがやりましたー。」


「いや、あの、戦闘で水系専門だから…」


「張り付いて気持ち悪いんだけど。お仕置き確定ね」


「ひー、ごめんなさい!」


あーぁ…

 



「そうか、憑かれてたのか…私らも注意しないとな。あ、一つ言ってもいいか?憑かれる対象は“体が残ってる者”だと思うんだ。だから人とは限らない。筆花の場合は妖怪化した人間だしな。体が残ってれば何でもいい。どういう事か分かるか?」


「姉貴、それってもしかして…」


「そう、死体に憑く事もあるって事だ。こちら側でも一人いるだろ?そういう奴」


えーと…あっ、千歳は死体を取ってあるって…


「そう、千歳だ。彼奴自分が死者だからって油断するかもだしな。賢いけどそういう所欠けてるから注意しないと。死体が動くのはかなり厄介だからな。墓場とかは本当に危険だ」


「うわ、それって某ゾンビ映画とかにあるやつじゃん」


ノメア、あれはもっと大規模だよ…でも怖いな、死体が動くって。

どうも、杏歌です。投稿日は私の学校がテレビに映った日です。まだ見てませんが多分私も映ってます。…あれ、誰か…

武「作者ー、なんで俺の下の名前出てないの?本編で出さなきゃじゃん。」

「あれ、武田君。ごめん、初期設定ではちょっとだけ出る事になってたから、名前までは考えてないや」

武「ふーん…まぁいいや。それよりさ、俺の秘密とかっていつ出すの?次回出してほしいんだけど」

「はいはい…つー事で、次回は彼の秘密にも触れます。まぁ桐生回ですけどね。」

武「宜しくー」

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