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アビリティ・ファイティング  作者: 倉 奈ノ佳
一章 the new hero
11/35

#11 楽しめない林間学校

 夏休み返上で二年生が三日間行く事になっている林間学校の日がきた。僕は正直行きたくなかった。夏休み返上というのもあるけど、一番は登山がある身体。班については、幸運な事に女子は透月達だ。ちなみに班長が透月、僕は副班長になっている。


「あー、もう嫌。男子は問題児集団だし。水篠はなんかよく分からないし。」


「確かに問題児はいるけど…桐生って中々頼りになるわよ。実際学級委員やってるし。」


「うーん、静羅ちゃんが言うなら信じますね」


班の女子は、体育委員の沢田景子さん、ハーフのクレア・ブロッサムさん、そして透月だ。沢田さんは正直苦手だけど、女子達とは話せている。男子は夏樹、武田に僕。


「あら、水篠さんの腕時計格好良いですね。」


「初めて見るデザインねぇ…特注なの?」


「うん。」


すごーいとか言って騒いでるのを見て、凄くはないけど…と心でツッコんだ。


「まもなく、山中公園に着きます。着いた後は班ごとに散歩して下さい。」


「班ごとだってよ。涼しいとこ通ろうぜ。」


「確かに暑いもんなー」




「女子も水篠もおせーよ。」


「林、あんたがさっさと行くからでしょ。此処山なんだから疲れるのよ!」


「二人共落ち着いて下さい…あれ、彼処に家がありますね…」


山の中だから人は全然いないけど、小川の近くに少し古そうな家が建っていた。


「みんな、行ってみない?俺ら行ってるわ」


「え、あんまり遠く行くと危ないって…」


「…仕方ない、行くわよ」


 少し近づくと、会話が聞こえた。


「最近戻ってきてないから不安だけど…引っ越したも同然じゃないの。」

 

「でもやっぱり山だと人がいないから楽なんだよ。」


「はは、姉貴は変わらないねー」


聞き覚えある声だと思ってよく見たらナルシェ達だ!究者姉妹は帽子で角は隠してるけど。筆花は着物じゃないから違和感あるな…


「こんにちはー」


「うわっ!…あ、月森中か。山に人来ないからびっくりした…私は九段成美。明日の山登りでインストラクターをする事になってるから聞いてるよ。」


「私は九段乃愛。成美姉貴の妹だよ。宜しくねー」


インストラクターかぁ。偽名も凝ってるなー…


「インストラクターさんは男の人になるかと思ったわー。」


「桃木花よ。女でごめんなさいね。でも山は慣れてるから大丈夫よ。」



 

「あの、この家使ってるんですか?」


「そうだよー!こう見えても結構年数経ってるんだよー」


「えー、凄いですね!」


ノメアが他の子と盛り上がってる間、僕と透月、夏樹はナルシェ達と話していた。


「ごきげんよう。」


「うわっ!セイレン、何で!?」


「そりゃまぁ、水場があるからよ。」


あ、そっか。テレポート出来るんだよな、水場限定で。


「でもご主人様、何で此処に来てるんスか?」


「そりゃ、昔の家がこれだからだよ。住んでた頃は筆花がまだ妖怪になりたての頃だったし。」


「私は家出してたからね、住む所と食べる物がなかったの…その前の家のある山に来た時、たまたま二人がいたのよ。」


そうなんだ…大変だったんだね。


「桐生…お前が聞きたがってた事、教えてやる。私の癖ってのは、相手を疑いすぎる事だ。」


え、どうして?


「桐生、ナルシェが手首につけてるやつ、何に見える?」


「え…ブレスレット?飾りか何か付いてるけど」


「違うな。制御用だけど、これ実は鎖なんだよ。チェーンを壊してるだけだ。」


「「!?」」


何でその話を…セイレンも知らないんじゃん。


「まぁ、ナルシェの過去に関わってくるから。」


「遡る事二千年程前…当時の私はとある村の子供だった。私の両親は鬼である事を隠して生きていた。生まれつき能力を持っていたからか…私は忌み子って言われて、名前もなかった。あ、母さんは能力持ちだし、優しかったけどな!…鎖はうんと幼い頃に付けられたんだ。五歳の時にノメアが生まれて、あの子は忌み子ではなかった。でも家にいる時も、ずっと私の側に居てくれたんだ。だからあの子が初めての理解者で…私が疑わなかった数少ない相手だったんだ。」


名前すら、か…だから二人は凄く仲良いんだね。


「ノメアが四歳くらいの時…魔女狩りが行われる様になってね、母さんは私達に逃げるように言ったんだ。私達は隠れながら逃げて、此処で暮らす事にしたんだ。でも…暫くして、親が死んだと聞いて悔しかった。だから人は中々信じられない」


そうか…それはどう考えても人間が悪いね。


「忌み子って事実は話すのに凄く勇気がいるみたい…桐生に話したって事は、貴方に心を開いている証拠なのよ。」


心を…?出会って数カ月だから、ちょっと嬉しいなぁ…


「あれ、ノメアが忌み子じゃないって…でも生まれつき妖怪だよね?」


「あー…あの頃は妖怪も能力持ちが今よりずっと少なくてね…ノメアは元々無能力者だったんだ。ただ、村を離れたのがきっかけなのか、その後転んだ時に傷がすぐに完治したんだ。」


突発性能力者だったんだ…




 時間になり、自由行動が終わった。宿舎では、三人で一つの部屋を使うシステムで、班で固まっている。


「なぁ、今日会ったインストラクターさん達、みんないい人だったよなー」


「あぁ。乃愛さんは妹キャラみたいで可愛いし、桃木さんも綺麗だよなー…スカート見たいわー」


「林、それはやめた方が良いと思うよ。だって成美さん喧嘩強そうじゃん。俺には分かったよ。」


武田、それ正解…というか夏樹は上司になんて事を…!


「もう寝ようよ、明日山登りだよ?」


「いや、俺は女子の部屋覗きに行ってくるわ」


「じゃ、俺達は寝てようか。」


この時、僕は思いもしなかった。明日、あんな事になるなんて…

杏歌です。最近暑いですね。今テストからの開放感と絶望感を味わっています。

11話、なんですね。まだ林間学校の時期じゃないですけどね。正直、今女子校通ってる身なので青春とか知りませんよ(笑)。

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