#10 一味違う夏祭り
「…つー事でさ、商店街の夏祭り一緒に行こうぜ!」
「「は、はあ…?」」
商店街で開催される、チケット紗制の夏祭りについて、急に触れた。いや、今日は前日だけど?
「いや、この三人分チケット貰っちゃってよ。行かないとご主人様が怖いんだよ」
ナルシェ、どんな上司だよ…。
「分かった、私も行くわ。桐生、あんたも行くでしょ?」
「え?あ、うん…」
「はー、良かったー。能力者で出店する人いるらしいし。」
おぉー!気になるな。
「それじゃ、校門の前で待ち合わせね」
当日。僕と夏樹はTシャツで来ている。
「桐生はシンプル極めてんなぁ。白シャツにズボンだろ?」
「何だよ、スカーフ巻いてるんだけど。そういう夏樹も黒シャツでしょ?シンプルに見えるけど?」
「馬鹿。腰にチェーンつけてるだろ。それと、俺はズボンも中途半端な長さにしてねぇよ。でもさぁ、透月サン浴衣なんだろ?絶対似合ってるぜ。」
「二人共お待たせ。」
「やほ…」
透月が来た。服装は…紫陽花柄の白い浴衣に青の帯。長い髪はいつも通りのストレートだ。浴衣を着ているからか、髪もいつもより綺麗に見える。
「な、何よ!そんなジロジロ見る事ないじゃないの!さてはまた嫌らしい事を…」
怖い!全然違うって!
「…もう行こうよ」
いざ会場に来ると、美味しそうな屋台が並んでいた。
「色々あんなぁ!…俺ケバブ食うわ!」
「私はソーダ買おうかな。」
楽しそうだな…僕はベーシックに焼きそばを買った。
「あれ、桐生達じゃない。揃って来たの?」
「うん。千歳は?」
「あたし?あたしは唯世の付き添い。店番は出来ないから、こいつのストッパーやってるのよ。あそこよ。」
「ふぁー、美味しいです!まだ食べられますね…あ、こんばんはー!」
唯世、食べ過ぎじゃない…?
「うちもだけど、ナルシェ達も出店してるわよ。うちはお祭りのグッズを中心に売ってるわ。後で寄ってみてね」
「ご主人様、そういう事だったんスね…寄ってみようぜ」
先に叶世の屋台に行った。
「あら、いらっしゃ〜い。買ってく?」
「うーん…あ、ペンダント持ってきたんだけど…くすんでる、のかなぁ。」
「確かにこのままだと厄とかも大変そうね。ストーンだけ変えるわね。じゃ、少し預かってるわ。」
普段通りの商売になってる気が…
「お姉様、居眠りに気をつけてね」
「はいはい…あ、ナルシェ達の屋台、あっちの方よ。」
唯世に案内されながら、ナルシェ達の屋台に向かった。うわぁ、並んでる。
「射的ですって。僕もやりたいですね…すみません、四人分お願いします」
「はいよー…あ、本当に来た!ちょっと並ぶけどいいよね?」
「…俺手伝った方が良かったんじゃねぇか…?」
「いや、姉貴が是非やってほしいって。」
金を巻き取るんじゃ…やめとこ。ところで、この屋台のスタッフは三人だけじゃない。ナルシェの部下とかだろうか。
「夏樹、ナルシェ達以外のスタッフって…」
「あぁ、俺と同様、ご主人様の部下だ。普段は隠してるけど、俺も含めて部下は皆、六芒星の紋章が付いてるんだ。…これ」
本当だ…左の二の腕に、水色の六芒星がある。
「こ、これ…移動教室の時とか着替えの時とか、バレないの?」
「大丈夫、部下と能力者にしか見えないから。クラスでも見えんのは恐らく桐生と透月サンくらいだぜ。」
ふぅ、良かった…とかなんとかと雑談していたら、僕達の番が回ってきた。
射的はあまり得意ではなかったけど、アビファイでは僕の武器は銃だ。だからか、全ての弾が当たった。
「え、凄い!」
「流石ね。はい、景品よ。」
景品は三つ。一つ目はお菓子、二つ目は僕がつけているような橙のストール。そして三つ目はというと。
「残りの一つは特別賞だ。」
特別賞と言って渡されたのは…一見、ただの手帳。表紙のカバーは橙で、僕の好きな色だからちょっと嬉しい。非売品だとは言っていたけれど。でも何でこれ?
「…何これ、手帳ですかね?いや、何かあるとは思いますけど。」
「当たり。これ六芒星あんじゃん。俺の紋章と全く同じの。」
「えと…三人はどうだった?」
「「「全部外れ」」」
その後、唯世とも別れて家に帰る事に。
「何か今日平和だったわよねー」
「あぁ、楽しかったよな!桐生は射的全部ヒットだし。」
「日頃の練習の成果ね。」
練習って程でもないけど…というかこの手帳、中も絶対何かある…
「…うわ、凄い!あんたの技とかまとめられてるページがあるわ!」
透月は透視で見たのか、見せていないのに言ってきた。確認の為見てみると、ナルシェの若干汚い字で分かり易くまとめられている。想定して…いや、能力で知ってたのかな、僕が特別賞当てるって。
「どう見てもご主人様の字だな、これ。失礼だけど、字汚いもんな。」
ストレート…でもオススメの戦法とかも載っているので、これを参考に自主練もしてみようかな。
杏歌です。テストォ…。
もう10話目なんですね。まだ半分ですよ!テスト近いので少しの間投稿しません、多分。