#1 能力の目覚め
今日は始業式。僕・水篠桐生は地元の月森中学校の中学二年生になった。僕は普段から早く来る方だけど、新しいクラスが気になるからいつもより早く来た。面子は個性派揃いだな…
教室に入ると一人の少女がいた。彼女は透月静羅、成績が学年トップだから知っている。彼女に関してはいくつか噂があって…
「おはよう、早いのね。名前は?」
「おはよう。僕は水篠桐生。透月さん…だよね?」
「やっぱ知ってるんだ。あ、呼び捨てで呼びたいんだけど良いかな?」
僕は頷いた。
「でも良かった。桐生とは一度話してみたかったのよ。」
えっ、僕は凄く普通なのに…透月は超能力者って噂も流れてるけど…感じ良さそうだし、聞いてみよう。
「え、どうして…あ、透月が超能力者だとかって噂聞いたけど…ごめんね、なんか」
こんな事聞いたら答えにくいだろうけど…彼女はあっさり肯定した。
「あまり人には言ってないんだけどね。私、透視能力者なの。先天性ってやつね。テストとかでは使わないようにしてるんだけど…」
「そうなんだ。でも何で僕と…」
「それはね、貴方に何か特別なものがあるように感じたからよ。初対面でこんな事言われても信じられないだろうけど…近いうちに桐生も能力持ちになるかも。それと、貴方には壮大な宿命があると思うの…あっ、私占いもやってるのよ。それで、この事が見えてきたの」
僕が…能力を?それも、宿命がある?
その日、彼女ともっと話したいから、一緒に帰る事にした。聞けば彼女は下町で一人暮らししているらしい。
「中学生で一人暮らしって凄いよ!今時は少し物騒だからさ…」
「うん…確かに物騒よね…」
今、彼女の目が鋭くなった気がした。でも僕の視線に気づいたのか、すぐに「何でもない」と切り替えた。また、少し雑貨店に入る事にした。
「うわぁ、綺麗な物が多いわ。これとか桐生に良いんじゃない?」
「少し厨二病感もするけど…確かに綺麗だね。」
僕は透月に進められた、ペンダントのお守りを買った。
少し経ち、いつもと何かが違うと感じた。謎の人物が攻撃を仕掛けている!
「やっぱり…ここまで来るのね。桐生、あいつらは敵と考えていいわ。危ないから少し下がってて」
そう言って透月は小さな水晶玉を取り出して、念じる様に魔法を出した。敵も透月に向かって攻撃を続けた。敵はいつの間にか地面に降りて、近距離戦になった。透月大丈夫かな…と思っていたら、お守りが光っている気がした。何となく跳ねてみたら、有り得ないくらい高く飛んだ。手に熱を感じたので、手を敵に向けてかざしてみると…炎魔法ぽいものが出た。
「…今回は見逃してやる。」
敵は逃げたけど…透月は嬉しそうだ。
「え、今の桐生の能力?」
「能力…これが…そうなの?君も何か魔法を出してたけど…」
「そう。さっきの敵も魔法を使うからね…魔法で対抗しなきゃなのよ。桐生も制御の練習はしなきゃだけど、戦闘にも使えると思うわ。それと…能力者は私達だけじゃないのよ。何人か知り合いがいるのよ。明日にでも行きましょう。」
何か凄くわくわくするな…でも僕の平穏は何処に?
初めまして、杏歌という者です。
今回、異能力をテーマとするシリーズを連載する事にしました。語彙力皆無かもしれません。ですが、そこは目を瞑って読んで頂けると幸いです。