表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お金の無い科学者はVRMMOの知力スキルに頼って研究するようです。  作者: お腹が減った人X
1章 始まりの街・冒険の始まり
9/48

8話:アカネのせいで運営は眠れない

ご都合主義のスキルすみませんでした。

主人公が魔法使えないままだと本当に話が進まなかったんです。

ご容赦ください。


赤いダメージエフェクトと共に吹き飛ばされた左腕が岩壁に当たり消滅する。


「まった、ターイム、タイムタイムタイム!!本当にちょっと待って」


流石にここまでは計算していなかったらしくアカネは必死で大蜘蛛に静止を促すが、ご丁寧にそうしてくれる程このゲームは優しくない。


アカネを押さえつけるように覆い被さってくる蜘蛛の生臭い吐息がリアルに伝わって来る。

ベトベトした液体が頬に付着して、微かなダメージエフェクトが発生した。


気持ち悪い


その感情が脳を支配すると共に、アカネ自分の行く末を理解する。


嫌だ嫌だ嫌だ、食べられるのだけはNG!!


「ファイア!ファイア!ファイア!ファイア!ファイア!ファイア!ファイア!ファイア!ファイア!ファイア!ファイア!ファイア!ファイア!ファイア!ファイア!ファイア!ファイア!ファイア!ファイア!ファイア!」


食べられたくないと言うその一心でひたすらにファイアを連呼する。


魔法力が増えたお陰だろう、今までの物とは比べものにならないほど巨大な炎が幾度となく蜘蛛の外皮を焼き尽くした。


スキル、賢者への神護の効果で魔法力が化け物レベルまで上昇したせいで、放火の魔法と言うより、寧ろ爆発の魔法に見えてしまうような巨大な炎が何重にも重なりあう。


重なって重なって連鎖するように、空間が赤で埋め尽くされる。


そして数十秒後、残ったのはドロップアイテムを示す逆三角のアイコンと、赤く巨大な大蜘蛛の二つの目玉だけだった。


『レベルアップ:33→40(獲得経験値9033)』


『スキル:挑戦神の加護を獲得しました(獲得条件:防具によるステータス上昇の無い状態で自分よりも30以上高レベルのボスを単独撃破)』


「あーもう煩い!」


脳内で鳴り響く機械音にいら立ちを覚えながら、アカネはため息をつく。


「はぁ、もう嫌、帰ろ」


いつまでもここにいる訳にはいかないので、ドロップアイテムを取りあえず回収して、くたびれた表情でその場を離れようとする。

しかしその時、軽快な音楽と共にアカネの目の前に大きく『congratulations』の文字が表示された。


「はえ?」


突然の出来事に言葉が出ないアカネだが、彼女は気づかない内にダンジョンボスを倒してしまっていたのだ。

そう、あの大蜘蛛である。


疲れ果てそんな事まで頭が回らないアカネの前に大きな宝箱が出現する。


中を覗いてみれば、そこには20万ものゴールドとスペシャルボーナスとして黒く輝く魔法の杖、そして赤い宝石のはめ込まれた黒い腕輪が入っていた。


武器:黒の魔女の杖

レアリティ:unique

Lv1

攻撃力:30

魔法力:156

特殊効果:創作魔法オリジナル・マジックの与えるダメージが1.2倍(重複可、乗算式)、不壊属性

神代魔法:黒き世界の砂時計ワールド・オブ・クロノス


アクセ:混沌の腕輪

レアリティ:SS

Lv1

物防:30

魔防:50

特殊効果:知力が1.5倍(重複可、加算式)


「今の奴よりはずっといいな...」


アカネは宝箱の中身を根刮ぎかっさらい、漸くこの地を後にする。

尤もまだ上までの帰路が分かっていない以上、脳内図形作成で頭の中の地図を埋めながら2時間ほどかけて帰る事となったのではあるが...


+++++


東京、ザ・ワールド・オンライン運営チーム


「えー、じゃあ今からサービス二日目の報告会をはじめるぞー。じゃあまずエラー報告から」


「えっとですね、今日入ったエラー報告は122件でその内52件が購入したアイテムが表示されない不具合。30件が一部装備の効果が…


こんな調子で運営チームの話し合いは進んでいく。


「ところで、今の最高レベルってどのくらいだ?」


「朝見た時は20くらいでしたから、今は25くらい言ってるんじゃないんですかね?」


「たった1日で20とかすげぇな」


「まぁ暇な人は暇ですしね。一応もう一回確認しておきますか」


数分後


「どうした?顔色が悪くなってるぞ?」


「いや、すいません。見間違えですかね...流石に徹夜続きで僕も疲れてるんですよね...」


「なんだ?ちょっと俺にも見せてみろって...!?」


「おいおいお前までどうしたんだよ」


「いや、あのですね。プレイヤーレベルトップの人が...レベル40ってなってるんです?」


「は!?そんなわけないだろ?いったいどんな奴だ?チートか?」


そう言って一人のパソコンに映し出される茶髪の少女の姿。

彼女は現在もログインの真っ最中のようで防御力0の初期装備には不釣り合いな禍々しい杖を背負って草原を歩いていた。


「本当にこんな女の子がトッププレイヤーなのか?」


「そうですね、と言うかこれ魔女の大渓谷の方向から出てきてませんか?」


「あぁ、でもあそこは雑魚モンスターでもLv60は超えてるし、ボスに関して言えばLv100はあったはずだ」


「そうですよね、隣の洞窟ほどじゃないですけど、到底サービス二日目で突破できるような所じゃないと思いますし…?」


「なあ、これ…」


一人が自分の考えを言いきるのを邪魔するように、もう一人が画面の一部を指差しながら口を挟む。


「これって黒の魔女の杖だよな」


「ああ、本当だな…と言うことはこの子はあの称号も獲得したのか…」


「まさか二日目で1枠埋まるなんて…」


「まあ、手に入れてしまった物は仕方ない。ちょっとこのプレイヤーのログ見せてくれるか?」


「分かりました、少し待ってくださいね」


そうして、数人の男たちの前でアカネとミノタウロス、そして大蜘蛛との戦闘の一部始終が再生される。


「おい、あのボス部屋って渓谷を落ちていけるのか?」


「修正ですね...」


「おい、ミノタウロスの大洞窟と黒の魔女の大渓谷って繋がってたか?」


「それも修正ですね...」


「なぁ、今夜寝れるかな...」


「今夜も徹夜ですね...」


とてもこの世の物とは思えない生気を失ったような表情で男たちは画面の中の少女を見つめる。


そんなこんなで、サービス二日目の夜から翌日の朝にかけて緊急のメンテナンスが行われたのだが、その原因がまさか一人の女性プレイヤーにあるなんて事は本人も含めて誰も知ることは無かったのである。

拙い文章を毎回読んでくださりありがとうございます。

次の更新は明明後日にしようと思います。

今後も宜しくお願いします。


5/19

誤字脱字を修正しました。

表現を修正 ファーストキルボーナス→スペシャルボーナス


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ