18話:(祝)初期防具卒業!!
南の2つ目の街を我が物顔で歩く初期防具の少女が1人滅茶苦茶に視線を集めている。その綺麗な容姿もそうだが、そもそもゲーム内のアバターなのだから、誰だって好きに容姿をいじれるのだ、問題はそこじゃない。最も目立っている原因は彼女の装備。もう2つ目の街だというのに、彼女が初期装備を着ていたから。ゴブリンに引っかかれただけで大ダメージを受けるような装備など、誰だって始まりの街で捨ててしまう。にも関わらず、そんな彼女が金髪イケメンや愛くるしいケモミミ幼女、ごっつい鎧の黒騎士を引き連れて歩いているのだから注目の的になるのも仕方ない事だろう。
だが、そんな少女、アカネも今日いよいよ初期装備を卒業するのだ。
「アカネさんの装備、どんなのになってるんすかね」
「さぁ?興味ないし知らん」
「いやアカネちゃんも女の子なんだから、そのくらい気にしようよ。ね、ジル君も思わない?」
「・・・同感ダ」
仲良く会話しながら鍛冶屋のもとへと歩く。
「にしても時間かかったねー。まさか鍛冶するのにレベルが足りないからレベル上げ手伝えなんて言われるとは思わなかったよ」
「大体カノンさんが一撃で仕留めちゃってましたけどね」
「いやでも狩場変えたとき無理だったのはびっくりしたよ」
ここ二週間、4人はアカネとテオという賢い組によって限りなく効率化されたレベル上げを重ね、現在全員レベル60前後まで達している。発売1ヶ月たっていないのに、このペースは異常だろう。
「まぁ、タコバナナに優先的に経験値回してたし、あいつはもう70近いけどな」
彼女達のパワーレベリングによって一介の鍛冶屋が化物化していたのだが、お陰でアカネの防具も作れたのでよしと言うことにする。
「ソロソロダナ」
ジルが、どこぞのアルフォ●ス並みに高い声でそう言って、一同は曲がり角を曲がる。
彼らの懇意にしている鍛冶士タコバナナが今か今かと待ちわびているのが目に入った。
「よう、待たせて悪かったな」
「いいよ、あんな素材持ち込んだアカネちゃんが悪いんだし」
「まぁあんな代物扱えるのはもっと先だと思ってたからなぁ。俺としては全然かまわねぇよ」
そう言われながら、彼の店に入る。
アカネが報酬として渡した金で買ったものだ。中は色々な設備があってアカネの防具もここで作られたのだが、もっと先の街で店をひらかなくて良かったのかはわからない。
「よし、じゃあ早速だすぞ」
タコバナナは真っ黒な防具一式をアイテムボックスから取り出して机に置く。ミノタウロスの素材を元に作られた高品質の防具。
「早速装備してみてくれや」
「ん、ああ」
促されるまま、アカネはそれを受け取って装備するため、付けていた初期装備を外す・・・つまり脱いだ
「おい!?」
「なっ、なにやってるんすかアカネさん!」
次の瞬間、現れたのは下着姿のアカネ。タコバナナはなぜここで着替えるといわんとばかりの顔だが、テオは顔を真っ赤にしていた。
「ん?あっすまん。すぐ着替えるから」
「いやそう言う問題じゃないつすよ」
「アカネちゃん。自覚無さ過ぎだよー?」
「・・・まぁ今は俺らしかいないから良かったってかんじだな。おいアカネ、間違っても外で装備を全部外したりすんじゃねぇぞ」
「あー、わかったわかった。じゃ、着るぞー」
アカネがメニュー画面を軽快に操作して、再び彼女は姿を変える。
黒をベースに所々白や赤をアクセントに加えたような色合い。ピッタリと体にフィットしているから、腰や胸の凹凸が引き出され、少し短めのスカートの先から見える色白が黒の装備によって一層引き立たされている。
「え、えろいっ・・「何言ってんの!」
生足をガン見しながらそう呟くテオに、カノンが拳を落とす。
「いや、でもアカネさん滅茶苦茶似合ってますし」
「確カニナ」
「そりゃあ俺がデザインしたんだ。こう見えても、俺はリアルじゃファッションデザイナーなんでな」
「なんと。どおりでセンスがあるわけね。テオ君は有罪」
「なんでっすか!?」
慌ただしいやり取りをするテオとカノンを余所に、タコバナナはもう一つの装備を取り出す。
「追加でこれが外套だ。テオの奴も言った通り足の露出が覆いからな、それをアクセ枠で装備しろ」
「ああ、わかった」
そしてアカネの身体を包む黒いフード付きのコート。えっちい足が隠れてしまい、テオは嘆いてまたカノンに殴られた。
「どうだ?良いもんだろ。性能も見てみな」
「わかった」
ステータスの装備性能を皆に公開した。
ーーー
防具:タコバナ黒シリーズ
レアリティ:series,maked
平均Lv1
物防:120
魔防:120
特殊効果:
・シリーズ効果:MP回復速度1.5倍 魔法攻撃力1.3倍
・素材効果:攻撃力及び魔法力が1.1倍 アクティブスキル『狂化』を獲得
アクセ:タコバナコート黒
レアリティ:maked
物防:10
魔防:20
特殊効果:自分の知力以下のプレイヤーの鑑定系スキルの無効
ーーー
「ネーミングセンス・・・」
「おい、まず出てきた感想がそれか!?」
「確かに性能は破格だけどねー。タコバナナさん、ネーミング何とかならなかったの?」
「いや、やっぱり力作には自分の名前いれたいしなぁ」
「ふーん、アカネちゃんはどう思う?」
・・・
アカネに感想を尋ねるが、返事が返って来ない。
「アカネちゃん?」
「あ、すまん、急に吐き気がして」
アカネの一言にタコバナナは物凄い顔をする。
「なっ、俺のネーミングはそこまでか!?」
「いや、そう言う事じゃないんだ。体調的な意味で」
そう言うと、カノンが心配そうにアカネに近寄る。
「大丈夫?」
「大丈夫だと思うぞ。アナウンスとか出てないし」
「ふーん、まぁアカネちゃんがそう言うならいいけど」
カノンはそう言って装備の性能表示に目を移した。
「タコバナナさん、seriesってなんっすか?」
ふと疑問に思ってテオが聞く。
「seriesってのは全身を同じ名前の防具で統一する事だな。そうすることでシリーズ効果って追加効果が得られるんだわ」
「なるほど、にしても強すぎないっすかね?」
「そりゃあお前、俺が作ったんだから当たり前だろうに」
ドヤ顔でそう言いはるタコバナナ。これ以上調子に乗らせたらいけないと思ったのか、カノンが話を切り上げにいった。
「じゃあタコバナナさん。お金は前もって渡したからいいよね」
「ああ、カノンさん達にはレベリング手伝って貰ったしな。かまわねぇよ」
「よし、じゃあその防具も色々試したですし、早速狩りにいかないっすか?」
「同感。イベントマデ後2日ダカラナ」
「アカネちゃんもそれでいい?」
「・・・、構わないぞ」
全員の同意が揃ったから、アカネ達は鍛冶屋を後にする事にした。タコバナナも性能が見たくついて行きたかったらしいが、予約があるからいけないのだと彼は悲しんでいた。
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その日の夜、パーティーの各メンバーに明音からこんなメールが届いた。
『すまん、生理きた』
生理について調べてたせいで検索履歴が犯罪者みたいになっている件




