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お金の無い科学者はVRMMOの知力スキルに頼って研究するようです。  作者: お腹が減った人X
1章 始まりの街・冒険の始まり
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1話:アバターをテキトー作ったら、チュートリアルはスキップしよう。

部屋に帰ってきた明音は大量のコンピュータが積まれているデスクに体を向けて、弾力のあるゲーミングチェアに腰を下ろす。

ドイツでの研究者時代から愛用している椅子の何とも言えぬ座り心地に若干頬を緩めながら、明音はゴーグル状のゲーム機を頭に装着した。


ふう。


和室の方には既ににゲームに入っている飯男の隣。

その隣で扇風機が首を振っているのを確認して息を整えた。

『Weave』のゴーグルは半透明でダイブしていない状態では周りの風景が確認できるようになっており、視界の中央に表示された選択肢の中から一つのタイトルを明音は選択した。


「Weave起動」


明音がそう呟くと、彼女の視界が真っ白になり自然と瞼が閉ざされる。

そして、次に明音が目を覚ました時(と言ってもほんの数秒後ではあるが)には彼女の視界には現実とは程遠い真っ白な空間が映しだされていた。


『ようこそ、ザ・ワールド・オンラインへ。それではまずアバターを作成します』


そんな文字が明音の前に表示され、徐々に明音の体が形成されていく。

数十秒後には彼女の現実と全く同じ体が真っ白な大地に足をつけていた。


ここから自分好みに改造していくのか...


目の前に現れた青色の画面には、身長や体重、3サイズを始めとした幾つものパラメータが表示されており、その隣に設置されている枠に数値を入力すると腕が伸びたり首が伸びたりして、明音は少しだけそれが楽しかったりしたのだが、結局リセットボタンを押して現実と同じ姿で決定することにする。


「最後は名前か…『アカネ』で良いかな…」


当然良いわけが無いのだが、彼女はそれでアバター作成を終了する。

結局、姿形から名前まで現実と全く同じで終えてしまった。


だが、そんな明音に最後の救いの手が差し伸べられる。

言わずもがな、『ファイナルアンサー?』の確認だ。


『本当にこのアバターでプレイを開始しますか?(アバターの変更には課金アイテムが必要となります)』


そんな言葉と共に、目の前に一枚の鏡が現れる。

高さ2メートル程の明音の姿を写すには十分過ぎる鏡だ。


「ん?誰だろこの女?」


ふとそう思ってしまうが、目の前の女性は正真正銘明音本人だ。

なぜそう思ったかと言えば、明音は殆ど常に身嗜みの手入れをしておらず、常に髪の毛はボサボサ、顔はすっぴん、一応シャワーは浴びているがエアコンのない空間では直ぐに汗ばんでいろんなところがべっとりと。

そんな状態がここ数ヶ月続いていたせいで、目の前の美少女が自分の事だと明音は直ぐに気づけなかったのだ。


「あぁ私ね、知ってた知ってた。明日からちゃんと顔洗お」


到底年頃の女性とは思えない発言を繰り出すが、研究者というなは得てしてこういう連中なのだから救いようがない。


『では次はステータスの割り振りを行います。それぞれのステータスについてチュートリアル映像を閲覧しますか?』


明音は当然『いいえ』を選択する。

ただただ面倒くさいと言うのが彼女の本心であったが故の選択だったが、実のところ明音はもう既に何にステータスを割り振るのか決めていたのだ。



攻撃力   0

魔法力   0

物理防御力 0

魔法防御力 0

知力    0

器用    0

敏捷    0


残りステータスポイント 42



ステータスの割り振り画面が表示される。

HPとMPは自動で上がるらしく表示されていないが、明音は迷うことなくステータスポイントを使い切った。


攻撃力   0

魔法力   0

物理防御力 0

魔法防御力 0

知力    42

器用    0

敏捷    0


残りステータスポイント



そう、知力極振りである。

知力と言うのはこのゲームでは魔法の作成をする上で重要になるパラメータだ。

だが、作った魔法も魔力なしには使うことが出来ないし、それ故に知力だけ高くても殆ど何も出来ない。


だから知力のパラメータはふつうに考えれば優先順位がとてつもなく低いのだ。

だが、チュートリアルをスキップした明音にはそんな事は分からない。

確かに、今まで一度でもこの手のゲームをプレイしたことが有れば少し考えれば分かることなのだが、当然研究熱心な明音がそんな事知る由も無いわけで、それ故に彼女は決定ボタンを押してしまう。


知力が高いのか低いのか分からない選択を躊躇うことなくしてしまった明音のゲームライフはこうして幕を開けたのだった。


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