表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お金の無い科学者はVRMMOの知力スキルに頼って研究するようです。  作者: お腹が減った人X
1章 始まりの街・冒険の始まり
18/48

17話:少女と鎧

「待って、ミハ!どういうこと!?」


「そうだ、勝手な事をするな」


頭を下げた少年に、彼の仲間が詰め寄る。

どうやら今のは彼の独断で行ったことらしかった。


「いや、俺たち今日始めたばっかりだしさ、上手い人に教えてもらった方がいいと思って」


「それを言ったら、その人達だってまだ初めて3日目でしょ?」


「んー、あの動きなら十中八九ベータテスターだと思うよ」


テオとカノンの事など忘れてしまったかの様に話し始める3人。

そもそもテオは彼の頼みを承諾して等いないのだが、もはやそんなことは関係ないらしい。


「あ、えっと、俺はまだ何も…」


「あっ、ごめんなさい。俺はミハです。しばらくの間このゲームの事を教えて貰う事になりました。宜しくお願いします」


「えぇ…」


まだ何も言ってないのに、彼の中だけで話が進んでいく。

この状況どうしよう…

余りにも展開が意味不明すぎて、テオは混乱する。

そんな時、ミハと名乗った赤髪の少年を突き飛ばすように、別の男が話に割って入ってきた。3人の誰とも違って、さっきまでいなかった筈の男。

よく見ると先程までコボルトに倒されて寝ていた男の姿に酷似していた。

十中八九、蘇生の課金アイテムを使ったのだろう。


「バート!何を…


「すいません、この馬鹿が粗相を。初対面の人にこんな無礼な事を…」


そう言って男は頭を下げる。

緑色の髪の大きな盾を装備した男で、身長は180前後だろうか?

さっきのミハの礼とは違って謝罪の意を込めた誠意ある礼だ。


「まあ良いんじゃない?私たち暇だしさ」


後ろでカノンがそう呟いて、テオは少しだけ考える事にする。

アカネ抜き決断しても言いのか、メリットはあるのか、アカネの自分に任せると言う言葉はどういう意味なのか。


「分かりました。俺はテオです。そちらの都合が合うなら、暫くの間このゲームの事を色々教えようと思います」


「ええ、そうですよね…えっ?今なんと?」


「皆さんの要望にお答えしようと」


優しい騎士の演技でもしているかのような口調でテオは答える。

アカネがいれば笑われてしまいそうだが、現実を知らない者から見れば実にそれっぽい雰囲気だ。


「本当ですか?こちらからも宜しくお願いします」


さっきミハがテオがベータテスターだと言ったからだろうか?

ミハ、及び後ろの2人も悪くは思っていないらしく反論しようとはしない。


かくして、アカネの知らない所で、パーティーメンバーが一時的に増える事となったのだった。


+++++


「思考加速、並列演算終了」


アカネがそう言うと、彼女の脳内で展開されていたイメージが瞬く間に消滅する。

思考加速と併用していたこともあって、実時間にして僅か10分足らずの思考にも関わらず、アカネは嘗て無い程の疲労を感じていた。


あいつ、ちゃんとやれたかな?


そう思ってメニューを閉じ、立ち上がろうとしたとき、脳内を電子音が流れる。


『パーティーメンバーが追加されました』


なっ…


その表示に思わずテオを殴りに行きそうになるが、アカネはすんでの所で思いとどまる。

テオをリーダーに見立てて行動するなら、自分は余り目立たない方がいいのだ。


だからアカネはせっかく閉じたメニューをまた開いてテオに向けてメッセを飛ばす事にした。


{どういう事?説明して



+++++


どこかのダンジョンの薄暗い部屋


白い雨シルクレイン!」


高い中性的な少女の声が鋼鉄で囲まれた部屋に木霊するかと思うと、魔法陣が展開されることなく天井から無数の閃光が降り注ぐ。


『・・・・』


全てを貫く真っ白な雨。

しかし、その矛先にあった真っ黒の鎧が無言のまま剣を振るうと、光は弾かれたように軌道を変え、千切れ、鎧を避けるように地面に接触する。


「堕ちて」


逸らされた光が地面に無限の穴を穿つ。

鋼鉄の筈のダンジョンの床がひび割れ、鎧の重さに耐えられなくなった床は崩落する。


『・・・ミチズレノカゲ』


「なっ!?」


鎧が無機質な声でそう呟き、少女の顔が歪む。

次の瞬間、薄暗いだけだった部屋は本当の闇に包まれる。

何も見えない本当の闇。

さっきまでの薄暗さも明るく見える真っ暗闇だ。


「それはもう慣れた!至上の光テラライト!」


少女を飲み込まんとしていた光は、その一言でかき消される。

まだ片手で数えられるほどしか使い手のいないテラを冠する魔法。

そんな魔法を少女は使ったのだ。


「そのまま堕ちて、白い雨シルクレイン!!」


先程も使った強力なスキル。

ただ、今回に関して言えば鎧に防ぐ術はない。

既に体の半分が崩れかけたダンジョンの床に飲み込まれていたのだ。


『・・・ナルホド、ワタシノマケダナ』


「当然よ」


そして、次の瞬間少女の攻撃に耐えかねたダンジョンは崩壊する。

今度は少女自身を巻き込んで。


「な、嘘でしょ?」


深い深い深淵へと落ちる浮遊感に少女は思わず声を漏らす。

そして、その数メートル下では真っ黒な鎧の騎士が兜の奥で赤い眼光を放っていた。



少女と鎧。

プレイヤーかモンスターか?


2人は果たして何なのか。

真相は崩壊したダンジョンの中。

そして、この事をアカネたちが知るのはほんの少しだけ後の事なのである。


読んでくださりありがとうございます。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ