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R002話 海賊

【筆者からの一言】


本日は4時間おきに第4話まで投稿となっております。


第1話  7時投稿

第2話 11時投稿

第3話 15時投稿

第4話 19時投稿


既に投稿予約しております。

お楽しみいただければ幸いです。

 1941年12月8日夜 『カリブ海』


 漆黒の夜空に星が瞬いている。

 無数の煌めく夜空の下、カリブの海は穏やかな姿を見せている。 


 そのカリブ海のとある海域で2隻の船が並走していた。


 そのうちの1隻から並走する船に突如、大型探照灯による光の照射が行われる。

 そればかりか船の鼻先に目掛けて、大砲が撃たれ砲弾が大きな水柱をあげた。

 それと同時に発光信号が発せられる。

『直ちに停船しろ 無線は使用するな 使用すれば砲撃する』


 しかし、命じられた船は停止も減速する気配も見せない。

 それどころか速度を上げた。


「艦長! 無線傍受班より報告です。敵船はSOSを連続発信しているとの事です」

「わかった。全砲塔に命令、当てろ」

「了解! 全砲塔に命令、当てろ、伝達します!」


 その命令が伝わると6門の12.7センチ単装砲塔から次々と新たな砲弾が発射され標的となった船に吸い込まれるかのように命中していく。


 次々と起こる爆発。炎と煙があがり金属の破片が飛び散っている。


 暫くの間はそれでも速度を落とさなかったが、やがて諦めたのか船は速度を落とし始め「降伏する」との発光信号を点滅させた。


「発砲止め! こちらも停船、捕獲隊を送り込め!」

 艦長の命令に砲撃は止められ、既に準備を終え待機していた捕獲隊がボート3隻に乗り込み、船に向かって行く。


 星の瞬く夜空の下、2隻の船はカリブの海で動きを止めた。


 停船させられたのはアメリカ船籍の貨物船。


 攻撃したのは日本の仮装巡洋艦であり、運用しているのは閑院宮摂政が長い年月をかけて作り上げて来た、対アメリカ決戦用強襲部隊「桜華」の「(みずのえ)班」だった。


 この仮装巡洋艦は閑見商会が購入した貨物船を改装したものだ。

 乗組員は桜華の兵士達だ。閑見商会の商船乗組員や口止めした海軍退役軍人が一人前の海の男にするべく長年訓練し鍛え上げて来た。

 そして開戦前に仮装巡洋艦をカリブ海に送り込んだのである。


 摂政が投入した仮装巡洋艦はこれだけではない。他に数隻がカリブ海で暴れ回っていた。

 この部隊には南米の諸港に配置された諜報員からアメリカ国籍の船がどの港を出港しどこに向かったのかの情報が送られており、それに基づいて通商破壊作戦が行われていた。


 この通商破壊作戦にアメリカ海軍も沿岸警備隊も全く対応出来ていない。

 日本の核攻撃の前に海軍力が大打撃を受け、メキシコ湾岸の港も壊滅している為だ。

 アメリカ側では陸上の通信施設が大打撃を受けている所も多かった。


 停船させた貨物船に乗り込んだ捕獲隊は貨物船の乗組員を甲板上に集合させた。


 船長には船の書類を出させ金庫も開けさせる。

 その後、甲板上の乗組員のもとに連れて行く。

 そこで貨物船の船長は乗組員の安全を図るために交渉しようとした。それまでにも交渉しようとはしていたが、取り付く島もない。だが、船員の命を預かっている義務感から、諦める事はできない。

「私達は…」

 しかし、最後まで言わせて貰えなかった。


「構え! 撃て!」

 捕獲隊指揮官の無情なる発砲命令が発せられ、一斉に捕獲隊が持つ短機関銃から銃弾が船員達に浴びせられる。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

「やめてくぅ」

「た、たすけ」

 船員達は血を撒き散らしながら崩れ落ちるように倒れていった。

 そして65人の乗組員は一人残さず甲板上に横たわる。


「確認射殺!」

 捕獲隊指揮官の命令で、捕獲隊の隊員達は倒れている船員の頭に拳銃で一発一発撃ち込み、完全に死亡したのを確認する。

 それが終わると指揮官が、また命令した。

「1班と2班は死体を海に捨てろ。3班は本官と共に船内捜索を行う。1班と2班も死体を捨て終えたらこちらに合流しろ」

「「「「「はっ」」」」」


 こうして貨物船は制圧された。

 だが、作戦はまだ終わらない。


 貨物船を制圧した捕獲隊指揮官は、船の書類、金庫内にあった非常用資金、船の積み荷にあった十数個の郵便袋、予備の海図や航海器具、船の索具、医薬品、使えそうな備品等を第1班と第2班に持たせ帰船させた。

 残る第3班は捕獲隊指揮官の指揮下で、この貨物船を動かすのだ。


 発光信号で艦長からの言葉が伝えられる。

「貴隊の作戦成功を祈る」


 捕獲隊指揮官も発光信号で伝える。

「本隊の武運長久を祈ります」 


 こうして2隻の船は別れを告げた。

 仮装巡洋艦は別の獲物を狙う為に。

 貨物船は港に対する特攻作戦を行う為に……


 貨物船はこの後、アメリカのメキシコ湾岸の主要港に向かうのだ。

 港は既に「ウラン爆弾(原子爆弾)」で壊滅しているだろうが、救助や復旧作業が始まっているだろう。 救援の船も集まって来ているだろう。

 そこに、この貨物船を突っ込ませるのだ。

 捕獲隊は港周辺において最も船舶が停泊している海域か、復旧作業が進んでいる場所を見つけ舵と速度を固定させ脱出する。船内には爆薬も持ち込んで既にセットしてある。


 航行している大型船は急には止まらない。

 大型貨物船や大型タンカー等が18ノットで航行している場合、それを停止させるにはエンジンを切ろうがスクリューを逆回転させようが停止するまでには10キロ以上の距離は優にかかる。

 それが阻止限界点となる。

 アメリカ側に気付かれず目標までに10キロ接近できれば、もう止める事はできない。

 可能なのは方向を変えるか撃沈する事だけだろう。


 通商破壊作戦を行いつつ役立つ物資を奪い、主要港の復旧作業をも妨げる一石三鳥の作戦だ。


 日本海軍が作戦海域として全く考えた事もない海で、陸軍不正規部隊「桜華」により行われる通商破壊作戦。その戦果は日々、着々と上がっていた……


【to be continued】

【筆者からの一言】


陸軍不正規部隊によるカリブ海での通商破壊戦……


俺達がやらなきゃ誰がやる! という事で陸軍不正規部隊の仮装巡洋艦部隊が頑張っております。


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