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深淵に燃ゆる刃  作者: トキタケイ
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世界

 西暦三二○○年。先の第五次世界大戦で、各国は持てる全ての軍事力でもって互いに破壊の限りを尽くした。人、建物、山、海、空、全てが燃えた。凄惨な破壊が繰り返され、長く続いた戦争が終末を迎えた時には、これまで人類が短い歴史の中で築いてきたほとんどがこの世から姿を消していた。


 この戦争に勝者はいない。それぞれが致命的な打撃を受け、世界中にはただ埋まらぬ傷跡だけが残った。そしてようやく気づく。人類には行き過ぎた争いであったと。しかし、気づいたときには遅く、わずかな文明が残された世界で各国は気の遠くなるような復興を強いられる。


 この惨状を踏まえた世界の決定、それは各国間の関係を一切絶つことを前提とした不可侵条約の締結であった。この極論とも言える条約は、たった一つの反対もなくすべての国家間で結ばれることとなった。かくしてこの条約により、皮肉にも世界はある意味初めて一つとなり、人類は新たなスタートを踏み出した。



 日本。

 この国も例外ではなく、各地で大戦の爪痕を生々しく残し、かつて人の住んでいた環境のほぼ全てが荒野と化していた。一部の都市を除き、復興の余力は残されておらず、人々はまるで時代を遡ったかのように土地を耕し自給自足の生活を余儀なくされた。


 暗黒の時代が続いていた。この国は、一部の上層階級により動いており、その底辺では明日を生きられるかという死人同然の多数が社会を構成している。いや、もはや社会などというものは存在せず、世はまさに無法地帯と呼べるほど荒れ果てていた。


 地獄と化した国、日本。

 人々は強奪や殺人により命を繋ぎ、各地を包む瘴気はなおもその濃度を増していく。

 この混沌とした地獄からは、果たして如何なる化け物が生まれるのであろうか。

 人々の罪が形を成した悪鬼か、それとも深淵を照らす一筋の光か。

 どちらにせよ今この淀んだ国に、ある一つの存在が産声を上げた。その存在が人々に何をもたらすのか、明日が来るとも分からないこの国に、それを知る者はいない。

よろしくお願いします。

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