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恋あい気分②  作者: ハム子
4/17

その言葉の意味









〝まだ一緒に居たい〝








椿にそう言われた瞬間

胸が締め付けられた



それはなんか昔…

初めて付き合った相手に感じた

胸のときめきと同じような感覚…











…そして今わたしは

椿のマンションへと来てしまった。














『……好きにくつろいでて。

シャワー入ってくるわ』



『……う…うん。』









シャワー入るってことは…

やっぱりそうなのかな…?


気持ちの準備が出来てないし

てゆうかまだ何にもスタートラインに立ってないしっ…



どうしよ…

この流れだと

椿が出て来たらわたしも入るってことだよね…




当たり前だけど着替えもないんですけどっ……!







わたしは気持ちを落ち着けるために

ひとまずソファーに座った。



そういえば……

椿の家って、出会ったばかりの時に来たのと

熱出した時に来た以来だよね。



このシンプルな家具とインテリアの感じ

変わってなくて良かった…



飾ってある写真もお店のトーマ君たちとか

仲良い人達との写真もそのまま。




わたしはふと目の前に会った写真立てを手に取った。



するとそのガラス製の写真立て中に何枚か写真が入っていた。



特に何も考えず、見てみると




そこにはわたしの写真が入っていた。




コレ…

去年のクリスマスの日に2人でコンビニ行った帰りに

椿に撮られた時の写メだよね…




椿……

この写真の意味って…







わたしはもう一枚重なっていた写真を見た途端

今までちょっと自惚れていたのかもしれないと

思った。



あの元カノの雪音さんとの写真…




ツーショットではないけど

きっと椿にとってこの時代の時間が思い出深いんだよね…



椿の過去はわたしにだってある普通の過去。

分かってるはずなのに…

なのにどうしてこんなに辛くなるの…









『すみれ?…どした?』


『うぅん。

どうもしないよ。…』










椿に背を向けたまま、素早く写真を元に戻した。











『?そおか?…ならいいけど。

なんかあったら言えよな。』


『……うん。

ありがと。』


『そーいやさ、この前DVD借りて来たんだけど

今から見ね?

つかすみれもシャワー入るか??』


『えっ…?…』


『多分面白いとは思うんだよなー

予告編見た時気になってたやつでさ。』







『DVD見たあと…なにするの?

シャワー入ったあと…なにするの?……』


『なにって』


『……私達の今の関係の中に

この先になにがあるのか急に聞きたくなった…』









大きな窓から夜空を眺めると


そこには満月が光っていた










『俺が何考えてんのか分かんなくなった?』







後ろから軽く抱きしめられ

その時の椿の声が今までで1番

艶っぽく聞こえた気がした…







『うん……分からなくなった…。』



『さっきまでまだ一緒にいたいって言ってたのに

DVD見たいとかシャワー入るかとか

何か雰囲気とか色々意味わかんねって?』



『うん。………

でも…、

意味わからないのは私の言ってる事もだよね…

急にこんなこと言い出して。』



『俺は…すみれのこと分かってるよ。』



『嘘だ…。』



『すみれがいつ俺にもどかしくなってくれるかなーって

思ってた。

いつそう言ってくれるかなってことも。』



『なんでっ…』




『すみれがあいつと別れて、

できた隙間に入り込んで俺を見ろってのは俺ぢゃねーの。

すみれが俺を気にして気になってイライラしたりドキドキしたりもどかしくなる気持ちが俺に向けられて初めて

言いたい。』








椿は

わたしを更に強く抱き寄せ












『好きだよ』





















そう言った。






初めて椿から聞いた言葉。












『嘘だよ…』






『…んでだよ。

どんだけ言うの我慢してたと思ってんだよ』







『……やっぱりどっかで…忘れられない人いるんぢゃないの…』







あの写真はなんなのよ…








『意味わからねーんだけど』









わたしは椿の体からそっと離れて

背を向けた。













『今日は帰るね…。』


















〝好き〝




って言ってくれた人にひどいことしてるの分かってる




でもあの写真見たあとぢゃ素直に喜べない…
























そして椿は椿らしく


あとを追っては来なかった。














わたしだって…
















好きだよ…













……


















わたしは胸が苦しくて


涙が溢れそうになりながら


前を向いて歩いた






雨がポツポツと降ってきて


それでも歩いた





むしろこのままもっと


強く降ってくれたら


泣いてもいいよね…
















すると


前方から車の軽く鳴らすクラクションが聞こえた。










車のウィンドウを下げながら近づいて来たのは









椿の親友である、陸くんだった。































つづく。























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