8話 大好きな家族たち
今回は僕得の感じで書きました!
とても楽しめるとおもうのでよろしくお願いします!!
俺たちはこの広い森を駆け回っている。
なぜか?
それは魔物たちとの戦闘中だからだ。
「ノゾミ後ろから敵が接近。フェルはそのまま雑魚共を集めて一気に仕留めろ」
ノゾミは強敵たちを、次づきと着実に倒していっている。
彼女の最大の武器はそこ知れない魔力量だ。
圧倒的な火力で相手を無の魔法の虜にさせている。
それプラス、かなりの魔法才能があり、色々な形や硬度、質を変えることが出来るらしい。
フェルはというと、ノゾミが安心して狩れるよう、敵の注意を自分にひきつけ、森を逃げ回っている。
やはり狼だけあって敏捷性は、ステータスで表すとSS級に高い。
それに俺の声のトーンや仕草で何を伝えたいかを把握して、忠実に成し遂げる知能も持っている。
そんな周りがすごい中、俺はというと、ただステータスの無駄遣いをしているだけだった。
剣を得ることもできず、木の棒で戦おうとしたが、直ぐに折れてしまったり、攻撃力の無さに諦めてしまった。
魔法の方はというと、召喚魔法の方は普通に正常に働いている。
だが、付与魔法の方はというと、
誰にもかけることができなかった。
まず、ノゾミにかけて使えないことを知り、魔物にはどうかと思い使ってみたが、やっぱり効果はなかった。
この魔法は何処に使いみちがあるのだろうか。
それをまず探らなければならない、第一の課題だろう。
今、俺がやっていることは、自前の知能を使った指示だ。
色々な角度で敵の情報を把握して、的確に二人に伝えていく。
「よし、そろそろいいぞフェル。殺れ」
フェルは弱めの魔物たちを大量に集め終え、一気に自慢の牙と爪を活かし、喰らっていく。
それを躱そうと身をよじるが、フェルの速さには勝てない。皆、次々に血を流して倒れていく。
「エグスプロージョン!!」
ノゾミの方も、自分の得意な魔法で決着をつけたらしい。
魔物たちは破片すら残さず木っ端微塵に倒されていく。
これが俺の家族たちの力。
俺だけが唯一強さを存分に発揮できていない。
いや、ノゾミを召喚したのは俺自身なのだから、俺は強いのかもしれない。
だが、それでも言えることが、
──どっちにしろ俺は戦えていないということだ。
俺は前線にも後衛にも立つことができない。
俺は周りから敵を探るだけ、いわゆる諜報員。
その言葉が俺にお似合いの言葉だ。
自分の無力さに、俺は下を向く。
そうしていないと、俺は自分が弱いことを示せないからだ。
「どうしたんですかパパ? 顔色が悪いようですが……」
「いや、大丈夫だよ」
「そうですか……あっ! さっきのアシストはナイスです!!」
そんな彼女の無邪気な笑顔を見て、抱きしめたいと欲望にかられる。
というか、既に体は彼女を求めて、手を伸ばしていた。
俺はノゾミをぎゅっと抱きしめる。
「お前は本当にいい子だなー。こんな無力なパパを褒めてくれるなんて」
「そんなことないですよ!! パパがあそこで指示してくれなかったら、怪我をしていたかもしれませんし……それにパパが私を生んでくれなかったら、私はここにいませんから」
そう俺への感謝を述べ、俺の胸に顔を埋めてくる。
「それにこんな怖いこと、一人じゃ出来ませんもん」
そうだ。
俺は忘れてしまっていた。
この子は強い。確かに負けるものなんてない。
だが、この子は子供なのだ。怖いのが普通なのだ。
──なんてことをさせてしまっていたんだ。
「すまないノゾミ。俺は勘違いしてたよ。お前は子供なんだよな。だが、怖いときは泣かずに頑張れ。その後、俺の胸で存分に泣け。これは俺ら家族のルールだ」
俺がそう告げると、ノゾミは笑いながら俺の顔を見上げてくる。
その目は真っ赤に腫れていて、今にも涙が零れそうだった。
「こんなに弱くすみません。だけど、私頑張ります。パパの役にたてるように……」
「別にいいんだよ。ノゾミはとても頑張ってる。今度はパパの番だな」
俺はノゾミの頭を優しく何故ながら、彼女の潤んだ瞳を見つめる。
その瞳からはとても暖かいキモチが伝わってくる。
「それまでパパの代わりに頑張ってくれ」
「はい!! それまでも、それからも私はパパのために頑張ります! 大好きな、大好きなパパの娘ですから!」
俺はその一言に惚れてしまった。
これまで好きという言葉は幾度となく聞いた。
だが、なぜだろう。なんでノゾミに大好きと言われるとここまで心が踊るのだろうか?
多分それは誰にも説明できない、とても大事なキモチが彼女に宿っているからだろう。
だから俺も自分のキモチを伝えたい。
「俺もノゾミのことが大好きだぞ。誰にも渡したくないほど、俺はノゾミにゾッ婚ラブだ!」
俺はノゾミを強く抱きしめる。
ノゾミは「痛いですー」といってもがくが、すぐに抵抗をやめ、俺に体を委ねてくる。
もう手放したくない……
大切な人は絶対に、絶対に無くさない……
俺はそう固く決心した。
そんな時、
「ワオーーン!!」
フェルは吠えながら俺たちに飛びついてくる。
そして俺達が流した涙を舐めてくる。
「やめろってフェル!」
俺はフェルを引き剥がそうとするが、離れようとしない。
フェルは多分、俺達の悲しさには、気付いたが、何を悲しんでいるかは分からなかったのだろう。
だから、今自分ができることを探した結果、
『自分が悲しさを和らげてあげよう』
というのに行き着いたのだろう。
俺はノゾミとフェルを抱き寄せ、またぎゅっと抱きしめる。
もう、手放さないように……
「お前ら、本当にありがとう」
どうだったでしょうか!
もうノゾミもフェルも可愛くてたまりません!!
だけどこんなほのぼのが多すぎたらいけませんね!
そろそろ新パートに移動です!!