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召喚士はロリをうむ  作者: 狸 一郎
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6話 家族になる

 「はじめましてだね! ノゾミの大好きなパパ!」

 「おい! その呼び方はやめてくれ」


 彼女は俺の娘だと名乗っている。

 少女の年齢は8歳くらいだ。俺の年齢は22だ。子供を作っているのはおかしい。

 だが、彼女は一向にその呼び名をやめない。


 「でパパー。私はこいつを殺っちゃえばいいんですかー?」


 言葉遣いが汚い!

 俺の娘ならもっと清楚であってほしいものだ。


 「別に殺すまでいかなくていい。お前の脅威さを見せて逃がせてやったらいい」

 「了解しました!」


 俺の意見にすんなり従い、フェンリルの方をむく。


 ノゾミはフェンリルのに手をかざして意識を集中させる。。


 その手にどこからともなく、魔法の力が集まってくる。

 だが、その集まって来ている魔力に違和感を感じる。


 その魔力は火でも、水でも、雷でも、氷でも、光でも、風でもない。

 それはまさしく


          無


 ノゾミはその無属性の魔力を右手に集める。


 フェンリルはそれに警戒して、攻撃を仕掛けれず、後ずさりしながら牙を剥く。


 だが、ノゾミの魔力からは絶対的な力を感じられない。

 これだとまだ、脅威を見せつけれていないから、このままだと、フェンリルは捨て身覚悟で襲ってくるだろう。


 俺の予想どおり、フェンリルは足を一歩、また一歩と前に進めてくる。

 それだけ、ノゾミの力は弱いということだ。

 あんなに威勢のいいことを言っておきながらこれだけか、と失望したとき彼女は真の力を見せた。


 「エクスプロージョン!!」


 ノゾミが魔法詠唱をはじめた途端、一気に手に集まる魔力が増大した。

 しかも量だけでない。質も変わっている。

 魔法才能のない俺でもわかるくらい異質で高圧的な力だ。


 「これがノゾミの力……」


 俺は口を開けて呆然と立ち尽くす。

 そして思う。

 こんな出来のいい子が俺の娘なのか、と──


 フェンリルは進めていた足を止める。

 今まで出していた牙を収め、目を閉じて座る。

 ノゾミがどれほどの力の持ち主で、自分がどれほど小さいのかを知り、死を待っているのだろう。


 こいつは頭がいい。

 なんせ尻尾巻いて逃げても殺されるとわかっているからだ。

 こんな魔物は普通じゃいない。


 「パパー? この子逃げないですね?」

 「そうだな。じゃあまずその魔力を鎮めてくれ」


 俺の言葉を受け入れ、膨大な魔力を消滅させる。

 フェンリルは何があったのかわからず、首を傾げて俺たちを見てくる。

 その姿は犬のように愛らしいものだった。

 そんな姿と、頭の良さをノゾミはきにいったのだろう。

 俺の方へ、その大きくて青い目を可愛らしく向けてくる。


 「ねぇ?この子飼っていいですかー?」

 「別にいいがこいつちゃんと懐くのか?」


 ノゾミは俺の疑問を解いてくれた。


 ノゾミはしゃがみ込んで、手を叩きながら「おいでーおいでー」と声をかけている。

 すると、フェンリルはゆっくりとノゾミの手に近づいていく。


 クンクン


 匂いをかぐ。

 そこで自分と同じ匂いを感じたのだろう。

 フェンリルは指先をぺろりと、ザラザラとした下で舐める。

 そしてじゃれるように頭をこすりつけている。


 「まじか!?」


 俺は驚きのあまり大声で驚きを顕にしてしまった。

 すぐさま口を抑えるが、フェンリルはまたまゆっくりと次は俺の方へと近づいてくる。

 そしてまたも同じように匂いを嗅ぐ。


 クンクン


 匂いを嗅いだあと、俺の瞳を透き通ったノゾミと同じ青色の瞳で覗き込んでくる。


 「ワンッ!!」


 一鳴きすると俺の足にこすりつけてくる。

 その姿が愛くるしくて堪らず、俺はフェンリルを抱きかかえた。

 するとフェンリルは俺の頬を舐めてくる。


 多分、俺の異世界の匂いを懐かしんだのだろう。一応このフェンリルの生みの親は異世界人なのだから。

 どこか親近感を抱いたのだろう。


 「よし! 今日からお前は俺たちのペットだ!」

 「じゃあ名前は私が決めていいですか?」

 「ああ。いいぞ」


 じゃあ、と彼女は顎に手を当て、考え込む。

 時々、何かをつぶやきながら名前の候補を絞っていく。


 この姿が可愛かった。

 ただ、その一言しか言えない。


 最近まで人というものに興味はなかった。

 それを変えてくれたのはショウだった。

 そして、この人生で2回目の可愛いと思った人とあうことができた。


 ノゾミは異性として好きっていうわけじゃなくて、なんか言葉で表せない好きなんだ。

 このキモチか暖かくて心地よい。


 「決めました!!」


 元気のある声を発し、俺の方に駆け寄ってくる。


 「この子はフェルです!」

 「フェルか、いい名前だ! よしフェル、お前は今日から俺たち2人の家族だ!」


 俺はフェルを上に掲げ、名前を告げる。

 フェルは何を言ってるか理解できず、キョトンとした顔で俺を見つめる。


 ノゾミはというと、家族という響きがとても気にいったようで、家族を小さな声で何度も言ってニコニコしている。


 「はい! 家族です!」


 そんな威勢のいい声につられ、フェルもワン、となく。


 家族。

 それはもとの世界ではただの集団に過ぎなかったもの。


 ──だが、今は違う!


 今の俺の家族は娘と狼。

 俺の家族はとても暖かくてとても仲のいい、仲間たちだ。


 今回は絶対に失わない……


 俺はショウのことを思い出す。

 この家族にショウとドラゴンも入れてやりたい。


 いつかまたどこかで出会うことができたら……


 俺はそう願い、朝日を見つめた。

楽しんでいただけたでしょうか?


次からはほのぼのいきます!

是非ご覧ください!

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