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召喚士はロリをうむ  作者: 狸 一郎
4/25

4話 望むもの

急展開です!

ご期待してお読みください!

 俺は、今晩はショウの家に留めてもらうことになった。


 ショウはもう一人暮らしを始めているらしく、手間がかからなかった。


 ご飯も食べ終え、風呂にも入り、俺は火照った体を冷ますため、縁側に座り、風を浴びていた。


 「お湯加減はどうだった?」

 「よかったよ。ありがとう」


 ショウは何気ない会話をしながら、俺の隣に腰を降ろした。


 「ねえ、この世界の伝説的な話を知ってるかい?」

 「唐突になんだよ? 俺は本当に何も知らないんだぞ。そんなのしるわけねーだろ」

 「そうだよね……」


 俺は俯くショウを横目で一瞬見て、星空を見上げる。

 一瞬見えたショウの目に元気はなかった。


 「聞きたい……」

 「えっ!?」


 いきなりのことで、聴き逃したのか、それともそんな返答を予想してなかったからか分からないが、俺の方を勢い良く振り向いて、顔を見やる。俺は言った言葉繰り返した。


 「その話聞きたい」

 「あ、うん! わかった」


 ショウは、さっきの俺のように星空を見る。

 その横顔は、どこか儚さと切なさを物語ってくる。その時気づけばよかった。これから俺らがどうなってしまうかを……


 「昔々、一人の異質な男性がこの世界にいました」


 どこか俺は親近感を感じながらその話をきいた。


 「その男性は世界を変えるそれが夢でした。その時代、この世界では人間、亜人、妖精、魚人の4種族が争っていました。この時まだ、モンスターはいませんでした」


 この世界に、4種族もの種族がいるのか、と初めてしる。


 「だから彼は思いつきました。この戦争を終わらせれば世界を変えることができるのではないかと……」

 「そんな考えをするってことは最強の剣士とかだったのか?」

 「いや、彼は人類初の召喚士でした」


 召喚士。ってことはある意味、俺の先祖様ってことか。


 「彼は魔法の才に他とは比べ物にならないものを持っていました。数々の功績もあげており、富と名声も持っており、完璧という言葉が、お似合いの男でした」

 「そんな男なら、世界を征服して言う事を聞かせるなんて容易いことだな」

 「彼はそんなことはしませんでした」


 俺は驚いて、なぜ!?

 と聞き返そうとしたが、ショウは話を続けていったので、聞くことはできなかった。


 「彼は世界を統合したところで、そこに蔓延はびこる因縁はなくならないだろうと考え、彼は1つの発想に至りました。それは


  『世界を自分の魔物で埋めつくす』


                でした」

 「理由はそれを倒すために4種族は協力し合うと考えたからだろ?」

 「正解! 彼はそれを実行するために、禁忌をおかし、自分を凍結させ、永久に魔物を生みだす装置に仕上げたのです」


 そこまで知識をひねることが出来たなら、もっと考えてほしかった。この政策の失敗点に……


 「これで4種族の大部分は協力しあい、魔物を狩り続けました。だが、この世に蔓延る問題はなくなりませんでした。問題は、争いではなく、『魔物』という存在の脅威になっていきました。そして人々は彼を『魔王』と呼ぶようになりました」


 この世界を良くしようとしたのに、逆に悪くし、その上『魔王』と呼ばれるなんて、本物の馬鹿だと思う。

 だが、俺は感謝する。そうしてなかったら、俺はショウと会えなかった。兄弟になっていなかったから……


 「そいつは本物の馬鹿だな……」

 「僕はそう思わないよ。だって、あの人はこうなることも計算してやっていたと思うから」


 そんな考え方があったのかと気づく。

 彼は、自分を敵にすることで、争う先はそこじゃないと気づかせただけじゃない、


 『世界には、誰か敵がいないといけない』


と、彼は気づいていたんだ。


 俺は自分の無能さを恥じる。

 こんな天才を馬鹿呼ばわりした自分が情けなかった。


 俺は自分の間違いに気づくと、ショウが俺に視線を向けていることにも気づく。

 そして、彼は今までに見せたことのない真剣な顔をする。


 「僕、はじめに言ったよね。この男の人は異質だって」

 「あぁ、言ったよ」

 「その異質っていうのは

         『異世界人』

             って言うことなんだ」


 俺と同じ異世界の出身の人……

 だから俺と似たような部分を持っていたのかと気づく。


 ショウは涙目になりながら言った。


 「ボウも異世界人なんでしょ?」

 「……あぁ。俺は異世界人だ」

 「やっぱりかーー」


 ショウは涙をこぼしながら、俺に微笑みかけてくる。

 俺は理解した。

 なぜショウが泣いていて、異世界人がいけないのか。


 ──最悪の存在だからだ……


 そして、あの教会で話していたことは多分其のことだろう。


 「ねぇ? 一緒に逃げようよ。このままじゃ明日の朝、ボウが殺されちゃう」

 「いや、俺は一人でいく。お前を危険な目に合わさられない。適当に言い訳つけておいてくれ」


 俺は靴を玄関から取ってきて履いて、庭に出る。


 「大丈夫だ。俺は絶対に死なない。それに俺ら3人で兄弟だろ? 一人でも欠けちゃいけないんだ」

 「うん」


 俺はショウに近づき、涙を拭ってあげる。


 「それにショウは世界を全て見るんだろ? じゃあいつか逢えるさ。絶対に逢える」

 「うん」


 俺がそう言うと、彼は俺の唇に唇を軽く重ねてくる。ショウの柔らかさが一瞬だけ感じ取れた。


 「ごめん、別に隠してたわけじゃないけど僕は女なんだ」


 これではじめ感じた違和感がやっと晴れる。


 「うん……だけど、俺らは兄弟だろ??」

 「うん……僕らは最高の兄弟だよ……」


 そう言って俺に微笑みかけてくる。

 俺は心の苦しさをどうにか押しこらえて、ショウに背を向ける。


 「じゃあな!いつか世界のどこかで……」

 「うん!いつか世界を3人で見に行こうね……」


 俺はその言葉を背で受け取り、裏口から出ていく。

 最後に聞こえた彼女の声は、泣き声だった……

今回の話は楽しんでいただけたでしょうか?

自分なりに自身のある話だったんですが…


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