22話 双子と視線
久しぶりの投稿です。休載してすみませんでした。
これからは定期的に投稿していこうと思います。
「近づいてみると流石の大きさだなー」
俺たちは王城の正門の前に立っていた。今、コールが入場の許可を取り繕っている。
こんな大きい城に何人住んでるんだろう?あとでこの城の居住人数を聞いてみよう。
そんなとき、コールが許可をとって帰ってきた。
「普通だったら事前許可なしに入ることなんてできるはずないんですけどね」
コールは少し苦笑いしながら俺たちに何やらカードのようなものを配る。
流石に騎士という立場でもこういうことは難しいのだろう。だが、それを易々と成し遂げているところが彼らしい。
「このカードなんだ?」
「このカードは入場許可証ですよ。これを持ってるだけで、城に入っててもつまみ出されないのでご安心ください。あとこれを見せることで食事を無料で食べることができます」
「便利なものだな」
俺はズボンの右ポケットにしまう。
定期的になくなってないかのチェックは行っておこうと心に刻む。
「よし、じゃあ入城と行きますか」
俺はノゾミの手をとり、一緒に足を踏み入れる。その一歩はとてもワクワクしたものであり、緊張感が強いものでもあった。前世でもこのような景観のところには入ったことがない俺には、ノゾミの手が救いだった。
城内は期待通りの大きさと華やかさでこの国の豊かさを表していた。細かなところまで行き届いた細工、大きな銅像がある。
そして、今まで通った道もそうだが城内も隅々まで掃除が行き届いている。そこからもこの国の良さが感じられる。
「パパ! お城とはこんなにきれいなものなんですか?」
「俺も白は初めて入るからわからないな。」
俺とノゾミは呆気にとられる。そんな俺の後ろにぴったりとアイがくっつく。
そんな彼女の顔をのぞいてみると、瞳を潤ませている。この城の美しさに感動している様子でも、怪我をしている様子でもない。ということは、彼女自身に問題があるのではなく周囲に問題があるはずだ。
俺はアイの頭をなぜながらあたりを見渡す。まずコールを見てみるが別に普段通りである。次にザイのほうを見てみると彼は肩車していたコウを胸筋に埋めるように抱えている。それに対してコウは必死にもがいているが彼の力の前にはなすすべがない。
そんなザイの表情を伺うと決してじゃれているものではなっかた。
そこで俺はあることに気づく。それは門の外と門の中での俺たちへの視線の違いだ。もっと的を射て言うと、アイとコウ、亜人に対してだ。この城の中の人にとってはこの二人は軽蔑する対象なのだろう。
俺たちは傍から双子に向けられる目線をかばいながら歩いて城の中を動き回る。普通ならナビゲーションをしてもらいながらゆったりとした時間を過ごしたいがそんなことも言ってられない。
ひとまず人のいない部屋へとコールに案内してもらう。
その部屋は一階の奥のほうにあり、この城の外見とは不釣り合いな淡白な内装だった。シンプルなベットが数個置かれていることから警備兵の仮眠室と予測する。
そこに子供たちを座らせて大人のみで会議を行う。その様子を見てフェルはまだ不安がっているアイをあやしにベットに近づいて行った。
「予想していた通りの反応をされましたね。少しはその人の気持ちを考えてみてほしいものですが......」
コールはあきれたように言葉を吐く。そんな言葉を打ち消すようにザイは言う。
「こんなボンボンどもには一生わからないだろうよ。自分たち人間が神のような存在だと思い込んでんだからな」
「ザイさん。それ以上言うのはやめてください。もし誰かに聞かれていたらということを考えてください」
コールはいつもこのように叱っているのだろう。ザイは慣れた様子で聞き流している。
一通り言いたいことは言い尽くしたのだろう。コールは咳ばらいを一回しここからの流れについて説明する。
「今からなんですが早速お嬢様にあってもらいたいと思います。けれどまずボウさんだけに来てもらいます。一度ボウさんにはお嬢様をお目にかかられたほうがよろしいかと」
「その理由はなんなんだ? 身体的特徴とかか? それならこの子たちは気にしないと思うんだが」
俺は素直に思った疑問をぶつけた。だがその疑問をかき消すようにザイが言う。
「いいからささっといけ、いちいち聞くんじゃなくて、自分の目で見てみろ」
ザイは俺を扉のほうに押すと子供たちのいるベットの隣のベットに腰を下ろした。
コールはそんな彼を見て少し微笑むと部屋の扉を開ける。
「さあボウさん行きましょう。お嬢様がお待ちしておりますので」
「あ、ああ」
俺は言われるがままにこの部屋を出ようとする。その時、フェルが一鳴きし、俺の意識を向けさせる。
「パパ! 行ってらしゃい!」
ノゾミの優しい笑顔と声が俺を見送る。フェルも行ってらしゃいと伝えたかったのだろう。
俺はそんな可愛らしい家族を部屋に残し、お嬢様のいる部屋へと向かっていった。




