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召喚士はロリをうむ  作者: 狸 一郎
19/25

19話 王都への道のり2

 俺たちは暗い森の中にいた。

 王都までの道のりには2つの山場となる危険ポイントがあるらしい。

 その一つ、墓場の森に今俺たちは来ている。


 この森にはアンデットモンスターがたくさんいて、『ホワイトゴースト』や『フレイムゴースト』などの物理攻撃無効のモンスターなどもいるらしい。

 俺やザイ、コールなんかは魔法での攻撃手段がないので、ほんとんどこの森では役に立たない。

 戦えるとしたら夜に手でくるゾンビ系のモンスターか、食事のときしか攻撃をしてこないフォレストバットくらいだ。


 今の時刻は昼だというのに、森の中は暗すぎて夜にしか見えない。

 ただ、別にそれは心配はない。一番心配なのは


 『子どもたちが怯えて俺とザイから離れないこと』だ。


 その中でもノゾミはもう機能停止したみたいに顔を真っ青にしている。


 「あ、あ……う〜」


 何を話しかけても聞こえなさそうだ。

 ノゾミはこの森においてかなりの役割を果たしてくれると思っていたが、これじゃあ何もできない俺らよりできないぞ。


 「コール。どーすんだよこれ。お前らの部下共でなんとかなるのか?」

 「まぁ、行きはこの森を通れたので多分大丈夫かと」


 コールは部下に指示を出して道を塞いでくるゴーストや攻撃してくるゴーストだけを攻撃していく。

 だが、なぜだかわからないがゴーストの数が思ったより減っていない。


 「なぁ、コール。やばい気がしてきたんだが……」

 「それは私も思いました」


 俺は苦笑いの中、ノゾミを復活させよーと声をかけるが応答がない。

 くそっ! どーしょーもねーぞ!


 「どーする? 走るか?」

 「そーしかないよーだな」


 俺はノゾミとアイを抱え上げ、走る準備をし始めたその時だった。


 「ワオーーン!!」


 狼の咆哮とともにゴーストたちが真っ二つに割れるようにして、消えていく。

 これはフェルの風魔法によるものだ。

 風魔法に優れているってだけはあるが、この敵を一撃で仕留めるほどっていうのは流石だな。

 だが、それよりもすごいのが魔力量だ。どー考えても量がおかしい。


 「おい! あれが本当にハウルフェンリルか? 俺も一度やつの成獣したやつとやったことはあるが、あれ程の魔法ではなかったぞ」


 ザイの言うとおり、これはおかしい。ハウルフェンリルは風魔法に優れているといってもこれほどの攻撃力、魔力量ではない。これだと、魔物中でトップレベルだろう。

 だが、これはラッキーだ。この危機的状況を回避できる。


 「フェル先陣をきって敵を片付けてくれ。みんな! フェルの後ろを付いてけ!」


 俺はアイとノゾミを強く抱いて走り出す。それに続き他の人たちも走り出す。

 フェルは魔法を連発しているが疲れている様子もなく、逆に嬉々としてやっている様にも見える。これは野生の狼の習性なんだろうか。


 走っている中、ザイは叫ぶように大きな声を発する。


 「先に光が見えてきたぞ! お前ら死ぬ気ではしれ!」


 みんなは最後の体力を全部使い切るかのように走る。俺はステータスがおかしい部分があるので、子供二人を抱えても余裕で追いつける。


 「フェル1回後ろに回ってみんなが逃げるまで足止めしてくれ!」


 フェルは指示に従い、みんなを庇うように後ずさりながら風魔法で攻撃していく。

 みんなが退避仕切ったところで、フェルにも退避のサインを出す。


 そしてフェルも墓場の森を抜け、俺に飛び込んでくる。そしてノゾミを起こすかのように顔をノゾミの顔に押し付ける。

 ノゾミはそれでむず痒そうに目を覚ます。


 「……フェル?」

 「ワン!!」


 フェルはノゾミの頬を舐める。それを嬉しそうにノゾミも受け、フェルの柔らかい毛を撫でる。


 「ノゾミ大丈夫か? こわかっただろ?」

 「はい、大丈夫です。そしてすみません……わ、私、怖くて何もできませんでした」


 ノゾミは涙目になりながら俺に謝罪をしてくる。その目はとても愛くるしい。


 「いいんだよノゾミ。俺に謝るんじゃなくて、フェルを褒めてやってくれ」

 「フェルを??」

 「あぁ。フェルがゴーストたちをたくさん倒してくれたおかげで俺たちはこの森を抜けられたんだ」


 ノゾミは目線を俺からフェルに移し、たくさん褒めて、そしてなでてあげていた。


 そんなときクイクイと、右裾が引っ張られる。


 「ねぇボウさん、あれはなんですか?」


 俺は目線を指差す方に移す。それにつられノゾミも目線を移す。


 「あれか? あれは馬車だ」


 そこには何台かの馬車が止まっていた。そして、その近くでは何個かテントが建てられていた。

 アイは馬にとても興味を持っているようだ。


 「ノゾミ、アイとフェルを連れて、馬見に行ってきたら?」

 「いいですね! いってきます!」


 ノゾミはアイと手を繋いでフェルも一緒に馬のとこへ行った。

 彼女たちが離れていったのと交差して、コールが近寄ってくる。


 「フェルのおかげで助かりました。本当にあの狼はハウルフェンリルなのでしょうか?」

 「うーん? 俺に聞かれてもよくわからんな。あんまりそういうジャンルに詳しいわけでもないから。てか、それよりここに馬車とか待機させてたんだな」

 「はい。墓場の森では馬車での移動は不便そうだったのでここに待機させて帰りに使おうと思ってたんです。これだと後2日もあれば怪鳥の谷を抜けて、王都に行けると思います」


 ここまで来るのに約3日、そしてあと2日、計5日でつくことが出来るらしいが、そこまでの道のりが意外ときついな。

 てか、怪鳥の谷ってなんか名前から怪しいんだが……


 「なぁ、怪鳥の谷ってなんなんだ? 空から鳥でも襲ってくるのか?」

 「そうなんです。しかも、通る手段が吊り橋しかないので足場が不安定なんです」


 そうなると鳥を対処するのは難しそうだから作戦をねっておこう。


 「あの、ボウさんたちのテントはあちらなのでご自由2お使いください」


 手を差し出した方を見ると、4、5人が入れるくらいのテントがあった。今までの地面に比べたら確実にいい。

 今日は疲れたのでゆっくり休むことにしよう。

 俺はコールに礼を言ってテントに向かった。

次で王都への道のりは最後です。

楽しんでください!

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