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召喚士はロリをうむ  作者: 狸 一郎
18/25

18話 王都への道のり1

 2日後〜


 俺たちは荷支度を済ませて村の出入り口の前にいた。

 俺とノゾミ、アイ、コウ、そしてフェルのお見送りをするために村人全員が集まってくれている。


 「ボウさんまた来てくださいねー!」

 「ノゾミちゃん! またご飯一緒に作りましょーね!」

 「双子たちー! 元気で帰ってこいよー!」


 村人たちの別れの挨拶に俺たちは丁寧に返事を返す。

 いつ帰ってくるかわからない旅だ。みんな心配なのはわかるが、そんなに心配されると子どもたちが泣いちゃう。

 あー、今にもノゾミとコウとアイが、村のお友達との挨拶で泣きそうになってる。


 3人は友達からもらった花を片手に持ち、俺に駆け寄ってくる。


 「パパー! お花もらいました!」

 「良かったな」


 俺は泣いているのか笑っているのかよくわからない子どもたちの頭をモサモサと撫でる。


 「ボウさん!!」


 呼び声に反応し振り返る。

 その声は村長のものだった。


 「この子達を頼みます。できれば私も行きたいですが、それはできそーにないので、君らの無事な帰還を祈っておくよ」

 「任せろ。絶対にこの子達を笑顔で連れて帰るよ」


 村長はしゃがみコウとアイを抱きしめて、少し涙を流す。


 「ボウさん行きますよ」


 村の外で待っているコールが俺を呼ぶ。その隣にはザイがいるが少し苛立っているのが表情でわかる。


 「子供ども!! メソメソすんな! そんなんじゃ大人になれねーぞ!」

 「「「すみません!!」」」


 3人は勢いよく頭を下げ、走ってザイのもとへ行く。そして気をつけまでして俺を待つ。


 「じゃあみんな行ってくるよ。次この村へ来るときははじめのときみたいに冷たくじゃなくて、暖かく迎えてくれ」

 「任せておけ!」


 皆が俺たちに色々な言葉をかけてくる。それを背に俺たちは森へと入っていく。


 森の中はとても静かだった。

 多分この村の周りではザイが修行していたから、魔物たちがいなくなってしまったんだろう。

 これならしばらくは安全な道を進めるな。


 「なぁコール。たしかお嬢様に合わせたいっていってたよなー? そのお嬢様って何歳なんだ?」

 「お嬢様の年齢ですか? 8歳、いや先日誕生日を迎えたので9歳です」


 それならノゾミと同い年くらいか。それなら何か喜びそうなことを考えておこう。


 俺は今回のお嬢様との謁見で何個か企みがある。

 1つは気に入られることで、俺の立場を高めること。後、ノゾミの友達づくりや、この世界での高価なものの偵察だ。


 「パパ!」


 俺は後ろを歩いていたノゾミの声に反応して振り返る。

すると、双子が息を切らしていた。


 「二人とも大丈夫か?」

 「ちょっと速いよ!」

 「すまん! だがペースは落とせないんだ。だから」


 俺はフェルを呼ぶ。そしてフェルの上に乗せる。

 だがザイがその行為に異議を唱える。


 「おいおい! それじゃあかわいそーだろ!」

 「いやフェルはこう見えても、自分の何倍もの重さでも平気だぞ」

 「それを言ってるじゃねーよ!」


 ザイはコウを持ち上げて肩車をする。


 「持ち上げれても、チビの足引きずるだろ!」


 俺は気づかなかったことをちゃんと気づいている。

 少し負けた気持ちで悔しいが、こんな屈強な男でも優しさはあるんだなと少し嬉しい気持ちになる。

 コウはゴーゴーとか言いながら楽しそうにザイの上で暴れる。ザイは嫌そうな素振りをしているが、少し微笑んでるのがわかった。


 「じゃあアイは俺と一緒に行こーな」


 俺はアイを抱きかかえ、笑顔を向ける。アイは照れくさそうだがとても喜んでいるので俺も嬉しい。

 そんな二人の姿を見たノゾミも私も私もと抱きついてくる。


 「じゃあ私がノゾミちゃんを」


 コールはのぞみに近寄ろうとするが、俺の後ろに身を隠して、目を細める。


 「パパじゃないといやー!」

 「わがままいうなよ。もーノゾミは二人のお姉ちゃんなんだから我慢しような」

 「む……わかりました」


 ノゾミはお姉ちゃんという言葉に魅了されて引き下がる。俺に甘えれなくてかなしそうな表情をしていたが、そんな姿を見かねたフェルがノゾミの足元へすり寄る。

 じゃあフェルは私が抱っこしてあげます! と意気込んで持ち上げようとした。だが、


 「ん!! えっ? フェル大きくなった??」


 ノゾミはフェルを抱えることはできたが、ノゾミの小さい体に抱えられてとても窮屈そうだ。

 確かに出会ったときのフェルに比べると少し大きくなってきている。


 「その狼のことが気になっていたんだが、それはハウルフェンリルか?」


 ザイは真剣な眼差しでフェルを見つめる。


 「あーそだと思う。あんまり俺もフェルのことはわかってないんだ」

 「はっ!? わかってない? 自分の召喚獣だっていうのにか?」


 そうだ。まだ二人には俺が召喚したのはフェルではなく、のぞみだというのは言っていなかったんだ。

 言ってもいいものなのかと迷ったが、別にいいだろう。


 「いや、召喚したのはフェルの方ではなく、ノゾミの方なんだ。フェルはあの村に行く道中に出会って拾っただけ」

 「人間を召喚した……そんなのあり得るはずがないが、それだとあの強さにも納得がいく」


 そうつぶやきながらザイは歩き始めた。

 俺もノゾミの手を握って歩こうとする。


 「ノゾミこれでもいいか?」


 ノゾミは驚いて一度手を離したが、嬉しそうに手を握る。フェルはそんなノゾミにべったりとくっついてあるき始める。


 俺とノゾミとフェル、ザイ、コール、アイ、コウ。そして兵士数十名での王都までの旅は、まだ始まったばかりだ。

今回から王都への旅というのが少し続きます。

お楽しみください!!

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