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召喚士はロリをうむ  作者: 狸 一郎
17/25

17話 おはようの温もり

久しぶりの投稿です!

 俺はうなされた。

 自分の怪我をした部分の痛みと、何度も見てしまう家族がいなくなっていく夢。そして、最後に見た夢は元の世界だった。


 (──くるしい。ノゾミ……)


 俺は大好きな娘を思い浮かべた。

 しかし、その夢の最後の最後には望みの笑顔ではなく、愛を誓った、ショウの姿が見えた。

 彼女の優しい笑顔が俺の傷の痛みを和らげていく。


 (待ってショウ! 行かないで!!)


 ショウは俺が追いかけるほど、どんどん離れていく。微睡みの中にショウの姿は消えて行った。


 俺の目の前に光が現れる。

 その先から懐かしい声と懐かしい温もりがする。


 小さい子どもの可愛らしい声と。動物の鳴き声。


 (ショウ、僕には家族ができたんだ。待っててくれ。絶対君を迎えに行くから……)


 俺は暗い世界には相応しくない光に手を伸ばす。

 新たな明日が俺を迎える。


        □□□□□


 俺は目を覚ます。

 体に痛みが残っていてまだ不自由さは残るが、やっとの思いで、体を起こす。

 自分の手のひらを握ったり開いたりして自分の感覚を確かめる。


 「よし、ちゃんと生きてるな」


 俺は生命を感じ安堵する。

 温かい朝日が窓越しに伝わってくる。


 今俺が座っているのは布団の上だ。

 すこし膝下に温かい感触がある。

 俺は毛布を上げて中身を確かめる。そこにはノゾミとフェルがぐっすりと眠っていた。


 俺は家族の温もりを感じた。

 とても安心できる。絶対に手放したくない暖かさ。

 夢でのことを思い出してしまい体に悪寒がはしる。


 俺は彼女たちを動かさないようにして頭を撫ぜる。

 すると敏感なフェルが目を覚ます。

 フェルは起きると同時に「ワン!!」と吠える。


 「おはようフェル」


 そんな俺達の会話に反応してノゾミも目を覚ます。

 まだ眠そうな彼女は目が開ききっていない。そんな姿も愛らしい。


 「おはようノゾミ」


 俺のその声で我に返ったように、ノゾミは目をパッと開き、驚きと感動で目に少し涙を浮かべる。


 「おようございます!パパー!!」


 俺に挨拶を告げるとノゾミが俺に飛びついてくる。フェルもそれに連れて飛びつく。


 「ノゾミ、フェル、痛いってー」


 俺はその体重に耐えられずに倒れてしまう。その衝撃で痛みが走る。

 ノゾミはフェルを捕まえて俺から離れる。


 「す、すみません。だ、だけどパパがやっと目を覚ましたから……ずっとずっと心配で、もーなんて言えばいいのか……」


 俺はこんなイイ子を心配させてしまったなんて……

 強くなろう。

 そう心に決める。

 家族の長として皆を守りきるために!


 「ごめんなノゾミ。心配かけて、だけどもう大丈夫だ。そんなに強くなかったら、傷も傷まないから。大丈夫だぞ」


 俺は体を起こし、手を広げて家族を迎える。

 恐る恐るノゾミは手を伸ばして俺の腕を掴む。

 そこでちゃんと親を感じる。


 「パパー!!」


 今度はゆっくりと俺の腕の中に包まれていく。

 フェルは俺の膝でうずくまる。


 家族はとても温かい。

 ノゾミの涙もフェルのいびきも全部暖かくて安心を与えてくれる。


 俺はノゾミをあやしながら、二人の頭を交互に撫ぜていく。

 どちらもいい毛並みをしていてとても気持ちがいい。


 俺が撫ぜているうちにどちらも寝てしまっていた。

 みんな俺を心配して疲れていたんだろう。


 そんなとき、廊下からドタバタと足音が聞こえてくる。しかも2つもだ。

 これはあの双子のものだ。


 「久しぶりコウ、アイ」


 おれは部屋に入ってくる前に対を成す2人の獣人に挨拶を告げる。


 ドン!!


 コウが勢い良くドアを開けてアイの腕を引っ張り部屋に入ってくる。


 「久しぶりだなボウ! てか、なんでわかったんだ??」

 「お久しぶりです。ボウさん」


 いつも通りの彼女たちを見て、村は平和なのだなと悟る。

 ほんとにこの子達は元気で見ているこっちも元気が湧いてくる。


 「なぜわかったか?そんなんあんな大きな足音させながら走って来たら誰でもわかるだろ」

 「いや、それでも私達ってわからないだろ?」

 「それは足音の響きとかでわかるさ。1番決定的だったのはこんな質の違う足音はお前らくらいしかいないからな」


 コウは納得したように頷いている。


 「ボウさんは探偵みたいですね」


 アイはとても優しげな微笑みで俺に話しかけてくる。そんな笑顔に俺も頬が緩む。 


 「なぁアイ。俺はどのくらい寝てたんだ??」

 「3日です」


 この怪我で3日か。まぁそーなると、案外この身体は頑丈なんだなと感じる。多分だが普通は5日くらい寝ててもおかしくないだろう。


 「あの、ボウさん。騎士様からボウさんが起きたら伝えるようにと言われてるのですが、呼んできましょうか?」

 「あぁ頼む」


 そういえば俺が怪我をした理由はあの二人との戦闘だったな。


 コール、ザイ。

 騎士である彼らは俺達の実力を試した。そして強さを認め王都に連れて行くことにした。

 これはすごく嬉しい。これで一歩、ショウと会うために前進できる。


 「ボウさん、おはようございます。目が覚めたんですね」


 コールは爽やかな笑顔で挨拶をしながら部屋へ入ってくる。

 俺に怪我をさせた奴だが別に恨んではいない。逆に感謝をしている。


 「おはよう。ザイはついてきてないのか?」


 俺の部屋に来たのはコール一人でザイの姿は見えなかった。


 「あー、ザイならその子に負けたのがよっぽど悔しかったのでしょう。この3日間ずっと山に籠もって修行をしています」


 俺は寝ているノゾミの髪をそっと撫でる。

 そりゃそうだよな、こんな小さな子に負けたんだ。確かにノゾミは強い。だが、そのことを頭が認めれても心が認められなかったのだろう。


 「ボウさん。王都に行く日程なんですが、2日後に行こうと思います」

 「了解だ。たしか、獣人も何人か連れて行かないといけないんだろ?」

 「あー、それに関しては村長と話し合って双子の子たちを連れて行くことに決まりました。お嬢様は妹も欲しいともおっしゃっていたので」


 コウとアイを連れて行くのか。村長はあの子達がいなくなると寂しいだろうが我慢してもらおう。


 ふと、窓の外を見てみるとコウとアイが二人で仲良く遊んでいる。

 その姿を村長は寂しげな表情で見ている。


 「ではそういうことなので、体をゆっくり休ませておいてくださいね」

 「心配ありがとう。早く治るよう頑張るよ」


 コールは部屋を出て行く。

 俺は体を倒して瞼をおろす。家族の温もりを感じながら静かに眠りにつく。

受験生なので投稿頻度遅くなりますが頑張ります!!

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