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七章

 再び深夜に集合しようとの連絡が勇太からあったのは、その二日後の事だった。航は渋ったが、これで最後にするからという強い説得に押し切られてしまった。


「――それで、今度は何するの?」

 暗闇に染まった裏野ハイツの駐輪場に隠れると、勇太は懐中電灯の光を手で押さえながら、心なしか神妙な顔つきで口を開いた。

「俺、気づいたんだよ 」

「気づいたって? 何に?」

 翼が怪訝そうに首を傾げる。

「あの住人、コンビニへ行くときに、部屋の鍵を掛けなかったんだ。たぶん、すぐ帰ってくるから、わざわざ掛けないんだと思う」

「……まさか! 勇太が電話で、今日が兄ちゃんのバイトの日かを訊いてきたのって――」

「ああ」

「え? ど、どういうこと?」

 話を理解出来ていない航が二人の間に割って入ると、勇太は顔を突き合わせ、一段とトーンを落とした声で言った。

「つまり、その時間帯なら、俺たちでも101号室の中を調べられるってことだ」

「――そ、それって、完全に不法侵入でしょ!」

「今だってそうだろ。それに、はっきりさせるには、これが一番手っ取り早い」

「でも、誰かに見つかったら冗談じゃ済まないって」

「大丈夫。この時間じゃ、通行人なんてまずいないよ。他の部屋の住人だって静かなもんだ。101号室の住人が帰ってくる前に出て行けば、平気さ。仮にもし本当に同居人がいて、その人に見つかっても、俺たちはまだ小学生。子供のお遊びってことで、厳重注意ぐらいで済むさ」

「その厳重注意をされたくないんだって」

「なら、見つからなきゃいいんだ。それに、万が一本当に誰かが監禁されてたら、大変だろ。ここで確認しなきゃ、俺たちが見過ごしたことにもなるんだぞ」

「それは……」

「な? ちょっと中を調べるだけさ。何かを盗むわけじゃないんだし、心配するなって」

 困り果てた航は、助けを求めるように横を見たが、そこにいた翼も、諦めたように首を振っていた。

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