■第5話 Side:ソウタ
■第5話 Side:ソウタ
もう、あっという間に当日になってしまった。
色々作戦は練った。
取り敢えず、部活は休めないからちゃんと出て。
6:30に部活終わったら、ダッシュで部室に駆け込みそのまま荷物を持って
学校を後にする。
待合せの神社手前にあるコンビニのトイレで、スポーツバックに入れて持って
来たTシャツとジーンズに着替え、デオドラントシートで汗だくの体をなんとか
して、ちょっと荷物は多くなっちゃうから、本当はコインロッカーとかに荷物
入れたいけどそんなもん近くになかった気がするし。
まぁ、デカい荷物持参に関しては諦めよう。
7時ちょい前には待ち合わせ場所には着きたい。
**さん(仮)が、本当に俺を待っていてくれるのか、やはり人違いかは分から
ないけど取り敢えず、第一声も考えた。
『俺に、手紙くれた?』
『うん・・・。』
『てへへ。 ありがとう・・・。』 これは、俺ヴァージョン。
『俺に、手紙くれた?』
『は?』
『間違って俺んとこに入ってたよ、ドジっ子だなー、ハハハ』
これは、NOT俺ヴァージョン。
NOT俺ヴァージョンのこの続きは、怖すぎてそれ以上考えられなかった。
手紙を返して、そのままダッシュで去るしかないだろう。
でも、あの手紙。 あれから何回も何回も読み返して、しわくちゃだ。やべぇ。
つか、こんなに地球の回転って速かったっけ?
もう昼ですけど。 俺、なんか、全然弁当ノド通んねえ。腹も減らねえ。
一瞬で終わった午前中の授業なんか、一切頭に入らなかった。
期末テスト直前なんだった!出題範囲とか言ってたのかな?
後で誰かに訊かなきゃ。
こんな状態で部活行って、俺、大丈夫かな?
取り敢えず、声だけ出してこー。盛り上げてこー。
面倒なことが起こらなければ、予定通りにいくはずなんだ。
面倒なことさえ、面倒なことさえ起こらなければ。
起こ、され、なければ・・・ あの、ドジっ子マネージャーに・・・。
今日はとにかく、マネージャーには大人しくしててもらおう。
俺の仕事が増えたら6:30に速攻帰れなくなってしまう。
マネージャーの仕事も全部俺がやって、ただマネージャーには座っててもらって
そしたら、予定通りに事は進む気がする。
そうだ!この計画遂行の要となるのは、あのマネージャーだ!
俺は頭を抱えた。
そう、ロダン作 ”考える俺 ”
そして、放課後。俺は部活に行った。
ぱんぱんのスポーツバッグを抱えて。
夏祭りは、あと3時間後・・・