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告白しました。

高2の春。桜舞い散る絶好のシチュエーション。

「僕と付き合ってください」

僕は1年間の片思いをようやく彼女。柊美咲へと伝えることができた。この1年間で良好な関係は構築できているはず、だから、僕は明日から…

「嫌よ」

僕の春は桜とともに散っていった。

…。

「嫌よ」

「2回も言わなくていいよ!」

もう泣きそうだ。

「いえ、あなたが呆然としているので」

「ショックを受けてんだよ。それくらい察してくれよ」

なるほどと柊は手を打った。

「本当に理解してなかったの?」

「ええ。だって、こういう時って苦笑い浮かべたりするものじゃない?そういう反応が見れなかったから、もしかしたら、私の声が聞こえてなかったのかも。って思ってた」

「そうかい。丁寧な説明ありがとう」

ともあれ、僕は振られたわけだ。家に帰ったら、どうなるだろう?自室の隅で体育座りでもしてしまいそうだ。あれだけ良好な関係を築けていたのに振られるなんて予想していなかった。いやいや、普通に考えろ。そもそも僕なんかが付き合えるわけないじゃないか。かっこいいわけでもなく、他の人とは違う何かを持っているわけでもないのに。

あぁ、今にも泣きそうだ。

「ねぇ。聞いてるの?」

「何でございましょうか?僕は今から家に帰って、男泣きをする予定が入っているのです」

「それは前から入っていたの?」

「今、入ったんだよ!」

「あら、そう。予定があるのなら、それに支障がでない範囲で少し私から質問させてもらってもいいかしら?」

「もう、なんでもどうぞ」

悲しさの圧力で理性がパンクしてしまってる今なら、どんなことでも答えれそうだ。何を聞かれるのだろう?定番で言えば、どうして私を好きになったの?とか。なんでもいいか。さあ、かかって来なさい。なんでも答えてやる。

「あなたは振られた理由を聞かないの?」

「は?」

「あなたは…」

「いや、聞こえてるよ。でも、どうして柊さんがそういうことを聞くのかがよくわからない」

「今まで私に告白してきた男子はみんなこの質問をしてきたわ。だから、あなたはしないのかしらと思って」

そういうことか。どうして振られたか理由を聞くなんて、ナルシストでなきゃしないと思うが。

「僕はそんな質問はしない。そもそもその答えを知ったところで自分の傷をえぐるだけだよ」

「そう。いさぎがいいのね。あなたの事を見直したわ。少し考え直させてちょうだい」

「そりゃ、どうも。って、え?今、考え直すって…」

「そうよ。正面向かって告白してきたのはあなたが初めて、振られた後にグダグダと文面や喋りがなかったのもあなたが初めて。今までにない人だから少し考え直すわ」

これは喜んでもいいのか?いいよな?9回の裏、満塁、点差1点、大逆転のチャンスが到来しましたよ!

「これから私が言うことを守れたら、付き合ってあげる」

「なんでも、仰せのままに」

「いいわ。まず、1つ目。私の本性を受け入れること。いいわね?」

「はい。もちろん」

「次に2つ目。絶対に他の女に目を取られないこと。私といる時は私だけを見ること」

「はい。もちろん」

「本当にできる?」

「もち…ろん…」

「ま、これは私が耐性をつけさせてあげるから、いいわ。では、最後。私が困っていたら、必ず助けに来ること」


そんなこんなで僕は青春を手に入れるきっかけができたわけだが、一言言わせて欲しい。

神様、僕の青春はこれでいいんですか?

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