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頑張れ!笑顔なPKくん!  作者: ミスタ
31/33

第31話:嫉妬

冷やし中華、食べ始めました。

ゴマはやっぱり最高です。

 俺たちは魔王城が沈んでいる深海、

…に行くルートにいる門番に、

事情を話して嫉妬の魔王を呼んでもらった。

少し時間がたつと、

波が大きく荒れ、

海は強烈に渦巻き、

蒼色をした門が出てきてゆっくり開き、

その中からなんと!

何故か婆さんが出てきた。


 俺たちは色欲の魔王に、

遺志を託して欲しいと言われた。

だけど託す対象は、

嫉妬の魔王にして、

大海を統べる王龍、リヴァイアサンだ。

断じてこんな婆さんなんかじゃない。

「たしかにあたしは、

体の内側にいるからね。

確かにこれは本体なんかじゃないさ。

さあ、さっさと書類をよこしな。

あたしゃ気が短いんだよ」


 書類を目の前のNPC宛に送ると、

書類はアイテムとなって、

婆さんの手の中に納まった。

でも見てるのは、

婆さんの口の中できらりと光る目玉だろう。

機会があったら、

目を綺麗にくりぬいて、

口の中に入れてみよう。

きっと楽しいことが起こると思う。


 俺が頭の中で、

妄想を繰り広げている内に、

書類を読みきってしまったようだ。

「まったく、アスモの奴ったら、

面白い案を考え付くんだから。

いいでしょ。

やってやろうじゃないの」

へっ? 何を?

魔王さん、魔王さん。

自分だけで自己完結しないで、

周りの人にも伝えてちょ。

「残念、これはあたしじゃないと出来ないし、

あたしだけの問題だ。

ここから少し南に行ったところに、

プレイヤーがいない小さな町が五つある。

あたしは1週間ぐらいしたら帰ってくるから、

それまでに全部滅ぼしてみな。

そうしたら教えてやるよ」

その言葉を最後に、

婆さんの体は弾け飛び、

中から長い長い蛇がどこかへと飛んでいった。


 そうだ。

師匠に町の中でも使えるPK権を貰ったのに、

ずっとロリチートに邪魔され続けて、

結局一度もやっていないんだ。

というわけで誰にも気兼ねすることなく、

さあ、みんなで楽しく、

「人を殺そうぜぇ!!」

「「「「おぉぉぉ!!!!」」」」

自分で盛り上げておきながら、

このテンションなんか嫌だ。


 そして今日もいくつか勉強になりました。

即死って状態異常だから、

暗殺っていうのは有効なのか。

まあ普通にオーバーキルしても、

タロットはNPCを殺せなかったため、

たぶん即死攻撃っていうスキルが無いと駄目っぽいな。


 そして虐殺タイムが始まる。

時間制限があるので、

五つの内二つはマッドの薬品で、

バイオハザードを引き起こしておく。

襲うのはそのほかの町だ。

まず城門がなんとか見える位置にスナイを配置し、

アサシと俺は乗り込んでいき、

手当たり次第に殺してまわった。

始めは人通りの多いところで、

いきなり周りの人を殺したところ、

パニックが起きて、

倒れる人、

足を挫く人、

押しつぶされる人、

転んで怪我をする人、

俺の方に来てしまう哀れな人、

親とはぐれてしまって泣いている子供、

そんなものが量産されていく。

それを俺達二人は、

追いかけ、

追い詰め、

押さえつけ、

待ち伏せして、

後ろから奇襲して、

上から強襲つまりダイブして、

町の石畳を赤く染め上げていった。

隠れてもアサシのスキルで、

いとも簡単にばれてしまう。

荷物を軽くまとめて、

町から出ようとした家族もいたが、

タロットに撲殺されるか、

逃げ切ったと錯覚したところで、

スナイに頭を撃ちぬかれて死んでいった。


 中にはわが子を庇って、

懸命に後ろに隠そうとする母親もいた、

あ、そうだ。

これでやっておこう。

立ちふさがる母親の目玉を抉って、

そのまま脳漿を貫いて殺す。

そして抉った目玉を後ろの子供の口の中に突っ込んだ。

そして口をしっかりと閉じさせる。

子供は顔を変色させて暴れていたが、

しばらくすると窒息して死んだ。

こうやって赤や青や紫に、

顔色が変化し続けるのを見てるのって楽しいね。


 いくら人口はそこまでないといっても、

こうやって愉しんで殺していたり、

わざとゆっくり走って、

恐怖感を持たせながら追いかけたりすれば、

簡単に一週間は経過する。


 今度は婆さんじゃなくてネコか。

あの長い蛇がよく入ったものだ。

まあ、そこはゲームの中だから、

上手く処理されてるとは思うけど。

「よし、無事な街は一つもにゃいみたいだにゃ。

いいだろう。

約束どおり何をしたのか教えてやろう」


 これを聞いたとき

魔王というのは頭がおかしいんじゃないかと思った。

それでもこれからいう言葉はすべて真実だ。


 ニャーはアスモの奴から、

二つの事を頼まれた。

一つ、ニャー以外の魔王を、

プレイヤーより先に倒し、

魔王が持つウルトラスキルを手に入れさせないこと。

二つ、ウルトラスキル6つを駆使して、

傲慢の魔王を瀕死にさせること。


 たぶんニャーは瀕死にさせることなく死ぬニャー。

でも目に映るものすべてがウざいこの世から、

おさらばできるのなら、

それはそれで本望だにゃ。


 だけどひとつ頼みがあるにゃ。


 ニャーはあんたらを城の最上階まで連れて行く。

四天王はパスしているし、

長く迷路のような道や、

悪夢のようなトラップは、

越えなくてもいいってわけにゃ。

だけどその代わり、

バアルを殺したプレイヤーだけは必ず殺して欲しいニャ。

あいつは嫉妬心が沸かない稀有な魔王だったにゃ。

仲が良かったにゃ。

それを殺したプレイヤーは、

何があっても許せないにゃ。

ニャーの心残りはそれだけなのにゃ。


 ヨロシクなのにゃ。


 おいおい、

魔王同士で殺しあえって言った、

色欲の魔王も頭がおかしいが、

このニャンコ魔王、

よりにもよって、

あのロリチートと戦えだと?

命がいくつあっても足りねえーー。


 だけど抵抗むなしく、

拉致されて広場に置き去りにされた俺達。

四天王が階下にいるから帰れもせず、

ただひたすらに料理を作るだけの生活が、

ここに始まった。

”キャラ紹介”

リヴァイアサン

全ての攻撃を跳ね返す鱗を持った龍。

ただし自分が巨体ゆえに動けないのに、

他の魔王は動いてる。 ずるい!

という嫉妬心から、

体を小さくして他の生き物の体を、

乗っ取るという方法を編み出す。

問題点は乗り移った宿主の性格に、

少し引きずられること。

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