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頑張れ!笑顔なPKくん!  作者: ミスタ
25/33

第25話:集団

始まる? 何が?

 俺が広場でおいしそうなピザを焼き上げていると

その香ばしいにおいにつられたのか、

それとも血のにおいにつられたのか、

どちらかは分からないが、

森の狼どもがワラワラと集まってきた。

そういえば死体をまだ処理してなかったな。

そう思って狼をゴトーと一緒に蹴散らし、

死体に止めを刺していく。

そして最後の一人にもナイフを刺そうとした時、

微かだけれど声が聞こえた。

うわっ、こんな状態でもまだ意識があるんだ。

面白くなったので痛みはそのままに、

傷だけを治してみる。

そしたら完全に意識を取り戻し、

怯えてはいるがまともに話せる状態になる。

確かこの人誰だっけ?

ああ、そうだ。

無防備に背中を向けているから、

つい卵を取っちゃった人だ。

あと、そうだそうだ。

俺を見る目がなんか興奮してたから、

違う意味で危ないって思ったんだ。

少しだけ離れておこう。

そうして少し後ずさると、

女は怪訝そうな顔つきをした。

「えーと、怖がるのは私のほうですよね。

なんで私を殺しかけたあなたの方が下がってるんですか?

ってすみません。

黙ります、殺さないでください」

何を勘違いしているんだろう?

俺はどちらかというと、

命乞いをされたら殺したくなるのに。

まあ、ここは平和的にいこうか。

「ねえ、ピザ食べる?」

お腹がいっぱいになれば、

気分も良くなるでしょう。

「そ、それじゃあ、

お言葉に甘えさせていただきます」

そうして近づいて、

俺の耳を何故か甘噛み。

こっちもお返しとばかりに、

頬を喰いちぎってみる。

「ぎゃああああ、

すみませんすみませんすみませんすみませんすみません。

食べるって聞かれたので、つい」

駄目だこのショタコン、早く何とかしないと。


 口の中にピザを突っ込んで、

喋るのを止めさせた後、

世間話でもしてみる。

すると面白いことが分かった。

こいつらはPK集団で、

俺を殺したがっているらしい。

それに拠点という所にはまだまだ人数がいて、

そこにはボスと親友がいるらしい。

今このショタコンを殺してもいいが、

道案内させてからでも遅くない。

早速ナイフで脅して道案内させる。

最初は親友を裏切れないとかって言ってたけど、

ちょっと目を抉っては治すを繰り返していると、

簡単に意見を覆した。

脆いな、友情。

親友とか言ってるくせに。


 道案内している間、

相変わらず無防備に背中を見せているので、

また背中から食材を取らせてもらおう。

今度は何にしようかな?

歩いていると米はこぼれやすいから、

野菜にしようかな。

そして新鮮取れたて野菜に齧り付いていると、

小さいけれど立派な城が見えてきた。

門は今のところ二つ見える。

片方から攻めていったら、

たぶんもう片方から逃げ出すだろう。

そしてゴトーを配置して阻止しようにも、

ゴトーが得意なのは対個人戦。

それに俺より強い奴がボスだった場合、

いつでも逃げられるようにはしておきたい。

だけど手が無いわけじゃない。

まずは片方の門の前に、

シャルロッテ人形やゴリアテ人形など、

戦闘向きな人形を多数配置。

門番が不審げな顔つきをしているが無視無視。

人形達に俺たち以外は襲わないように、

指令を出しておけば完了。

こうした後で正門から堂々と入っていく。

門番?

そんなものゴトーに超上空から落とさせたら、

汚い花火を咲かせて散ったよ。


 中はあまり掃除されていない。

同じ城ではあっても、

バアル様の所とは、

大きさ、清潔さ、材質、

何もかもが違う。

まあ、比べる対象として間違ってはいるのだが。

もちろん城にいる奴も大きく違う。

「貴様、見ない顔だな。

名を名乗れ」

ふむ、そしたら、

バアル様の城でまず間違いなく、

警戒を解かれる魔法の言葉を使ってみよう。

「こちらピザを配達しにきました。

ご注文はこちらの陣の人肉ピザでよろしかったでしょうか?」

にっこりとそう告げる。

「ぴ、ピザ。

こっちでもピザの出前ってあったのか。

…ゴホンッ、たぶんそれは偉大なる頭領閣下が、

命じたものであろう。

ここの突きあたりを左に曲がったら一番奥にでかい扉がある。

そこが頭領様のお部屋だ。

くれぐれも失礼のないようにな」

そのままどこかへ行こうとするが、

俺が逃がすとでも思ったのかねえ。

もう少しピザを焼きたかったところだ。

そして後ろから”無自覚”を発動させながら、

ナイフと箸を両方刺し、

そのまま言われた方向へと、

歩を進める。

途中の部屋を赤く紅く染めながら。


 言っていた部屋はここだろうか?

黒く重厚な漆塗りの扉を前に、

俺はそう考える。

まあ、考えても仕方ないことなんだが。

そう思ってノックをせず、

声をかけることさえしないで、

扉を蹴破り中に入る。

そこには無駄にインテリぶった、

細身の男がそこにいた。

横には顔立ちとかは真面目そうなのに

にじみ出る雰囲気が、

小悪魔的存在だと分かる女の子が立っている。

「おや、見ない顔ですね。

新しく入団したいのですか?

それには試練を乗り越えてもらわなくてはいけませんが、

あなたのような小さい子に出来るでしょうかね?」

「うふふふふふ、

どうやらテイに誘われたようだけど、

手伝わせはしないわよ。

その子には少し酷だからね」

えーと、何か勘違いしているようだな。

俺は別に入団する気は特に無いっての。

今はピザの上の具をどうしようかなって考えてるんだから?

そうだ!

食材を提供してくれる人たちに、

聞けばいいじゃないか?

「すみません、

ピザの具って何が好きですか?」

「!!」

後ろで息を呑む音が聞こえたが、

特に問題は無いだろう。

「何だねいきなり?

礼儀と言うものを知らん奴だ」

「はぁ、テイちゃん。

ちゃんと不躾だと分かったなら、

その人にも教えてあげないと」

う~ん、特に答える気が無いのなら、

お望みどおり高価な具であるエビマヨにしてやろう。


 そう思って鋏とラップを構えて突撃しようかと思ったのに、

思わぬ邪魔が入ってしまった。

突き出した鋏と女の間に、

ショタコンが入り込んできたのだ。

もちろん鋏はショタコンの肩に深く突き刺さる。

「ショタコン、どいて!

そいつ殺せない」

「いや、殺さないでよ」

「??」

「まさか我らの手にかかった者の縁者が、

復讐のためにここまで来たのか?」

そんなわけが無いだろう。

対集団相手に、

鋏だけで突撃するなんて、

どんな勇者だ。

もちろん悪い意味で。

まあ、あのロリチートなら、

そんな条件でも無傷生還しそうだけどね。

「まあ、ダメージが入らないから、

どっちにしろ殺せないんだけどさ。

ところでショタコン。

君って何がしたいの?」

せっかく拾った命を、

また地獄の底に貶めたいの?

馬鹿なの? 死ぬの?

「ソ、ソノカちゃんを守るためなら、

私は命だって惜しくない。

だからここは絶対に通さない。

それに…、

小さい男の子になら、

傷つけられても、

ちょっと快感だし」

「テイ、ありがとう。

テイのその気持ちは絶対に無駄にしないよ。

でも…、

その性癖だけは素直にキモいと思うわ」

ああ、腐ってやがる。

遅すぎたんだ。

快感を覚えるとか、

もうM以外が到達してはいけない境地に、

行っちゃってるし、

本当にどうしよう。

まあ、どうしようかと問われれば、

自分から犠牲になるといってくれたことだし、

ピザの具にしましょうかね。


 さてと、海老があることだし、

ここは豪勢にシーフードピザといっちゃいましょうか。

「いいだろう。

食材に敬意を払って、

全ての食材を取るまでに気絶しなかったら、

後ろの二人は見逃そう」

そういえば何でだろう。

本来は殺しの一環として人体で料理してたのに、

最近料理のために殺しを我慢している。

なんか本末転倒になってるけど、

俺自身は満足してるから別にいいか。

それはともかく

泡だて器を目玉の中に突っ込んで回転させれば、小麦粉が出来上がる。

もう片方の目玉を抉っておろし金で削れば、チーズが作られていく。

片方の胸は鋏で少しずつ切っていって、いかやたこを生み出し、

胸の片方をお玉で何度も抉り取り、牛乳を搾らずに出し。

削りやすい肘をスライサーにかけ、たまねぎを得て、

足りない野菜を、耳や鼻を箸でつまんで回収。

あとはベラでピザソースを掬い取り、

最後に肉を包丁で切り取れば、

材料は全て揃った。

あとは温度に注意してピザを焼こう。

といっても石窯なんて無いから、

オーブンで焼くんだけどね。

食材を全部取るまで意識を保っていたのは見事だったけど、

焼いている間に意識を失って、

こっちに倒れてくるのはいただけないなあ。

邪魔だったから適当に蹴り飛ばして、

焼きあがったピザを、

顔が引きつっている二人の前に置く。


 そして満面の笑みで、

二人を食事に誘う。

「おいしいピザ、

一緒に食べませんか?」

”キャラ紹介”

ソノカ<本名:樫尾 園香>

強いものにはへつらおう。

弱いものはいたぶろう、

が座右の銘のただの大学生。

ただし弱いものでも、

テイだけは例外である。

なぜなら親友だから。

それでもショタに興奮する癖は、

常々キモイと思っている。

割と本気で。

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