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頑張れ!笑顔なPKくん!  作者: ミスタ
22/33

第22話:誘拐

始まっちゃえ~♪

”ホロビオンの姫サラ=ホロビオン、

卑劣な魔王軍に復讐を誓い、

討伐軍を結成中とのこと。

今も各地から姫の下へと、

義勇軍が参加中。

あなたも参加して、

姫の笑顔と町を取り戻しませんか?”


 そんなビラが撒かれたのは、

ホロビオンがバアル様の支配下になった日から、

三日後の事だった。

自分で町を奪っておいて、

それの奪還に手を貸すというのも面白そうだが、

流石にそれは止めておこう。

こんな俺でもバアル様に義理というものは感じているのだ。

いくら人の道を外れようとも、

義理人情は忘れちゃいけねえ。

まあ、本当に人情というものが存在していたら、

命乞いをする子供に、

笑顔でナイフを突き刺して抉るなんて事はしないのだろう。

恋人を庇う男性に、

女性の目玉をプレゼントはしないだろう。

まあ悪魔の中にはわざと義勇軍に参加して、

内側からかき回す奴もいるらしいから、

俺もそういう風にすれば何の問題も無いんだけどね。

だけど兵長とか団長みたいに面倒な奴に見つかったら面倒だ。

だから悪魔と同じ真似をするのは、

選択肢から無くなったけどね。


 けどこんな楽しそうなイベントで、

何もしないというのは、

俺としても、立場的にも、個人的にも、ゲーマーとしても、

ありえない。

というわけで、

まずはその姫がいるという町に行ってみよう。


 町に着くのは簡単だ。

ゴトーに運んでもらえば数分だ。

町の中に入るのは簡単だ。

義勇軍に参加するとの一言で素通りできる。

姫の情報を手に入れるのは簡単だ。

少し話題にしただけで、

その美貌、愛らしさ、体格、身長、性格、年齢、

好きな食べ物、好きな動物、許婚、信頼してる人、

普段の服、好きなアクセサリー、使っている香水、

住んでいる場所、よく行く店、よく行く場所、

大体の事は自分からホイホイ話してくれる。

だけど俺をなぜか囲んでいる集団から、

逃げ出すのは難しそうだ。

俺は逃げるのがうまくないし、

AGIにも自信が無い。

それにこいつらの目が、

俺とは違った意味で、

狂気に満ち溢れている。

「サラ姫様の可愛さはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

「「「「「「世界一ィィィィィィィィィィィィィィィィィ」」」」」」

お前ら、さっさと秋葉原に帰れ。

そして二度と戻ってくるな。

あっ、今はデスゲーム中だった。

だったら帰れないか…残念。

「貴様、サラ姫様の事を調べているとは何事だ?

誰の許可を取っている?」

「いや、調べるっていっても、

サラ姫ってどんな人ですか?

って聞いただけですよ。

そしたら聞いてないことまで、

立て板に水どころか絶壁の上から、

滝でも落としてるんじゃないかと思うくらい、

喋りたおすんですから。

こっちがビックリしましたよ」

そもそも許可って必要なの?

この前のシェルターにも、

”俺様の許可が必要だ”とか言ってる馬鹿がいたけど、

はやっているんだろうか?

そんなことを考えていると、

囲んでいる奴らの顔が、

青筋を立てて、

憤慨した表情になっている。

な、何?

なんかおかしい事言った?

「「「「「「「貴様、

サラ姫様に様付けしないとは何事だァ!」」」」」」」

知るかボケ。

精神病院にさっさと行け。

この俺が自分の事を棚に上げて、

そう突っ込みたくなったのも無理は無いだろう。


その後わけの分からん事ををさんざん言っていた奴らは、

自分達をサラ姫様親衛隊と名乗り、

サラ姫に会いたい、知りたい、話したい、恋したいのなら、

必ずこちらの許可をと手からおこなうように、と

わめいて帰っていった。


 はぁ。

これは…、

俺に喧嘩を売ってるという認識で、

イ イ ン ダ ヨ ナ。

なら奴らの許可なく、

会って、知って、話して、でも恋はせず、

触って、刺して、抉って、でも簡単には殺さず、

嬲って、尋問して、拷問して、でも楽にはさせず、

服を破いて、体を傷つけ、心を壊して、でも犯しはせず、

幽閉して、拘束して、緊縛して、でもいつかは帰してやろう。

元の体が分からないほど傷ついているが、

死んだ方がましと思えるだろうが、

生きたくないと思うだろうが、

痛みしかないだろうが、

それでも帰そう。

完全に八つ当たりではあるし、

人間として見ず、食料として見ているし、

そもそもの原因をつくっちゃったのは俺だけど、

何も分からず、何も感じず、何も知らず、何も思わず、

ただ俺のストレスを、

ぶつけさせてくれ。

選択権は無い、これは強制だ


 そして町には夜が訪れ、

城には闇の幕がかけられる。

月は隠れ、星も見えず、

今晩門の警備を担当していた男も、

脇にどかされ見えなくなっている。

バーストペインを発動させた状態で、

抉るように目を刺したから、

しばらくは頭が無くなったような痛みを、

感じ続けているだろう。

そうして俺は静かに城の中に入り、

姫の部屋を捜し求めて歩き回った。


 門の警備を抜けたからといって、

あとは悠々と姫の部屋にたどり着けるわけではない。

門を抜けたらそれなりの広さがある部屋になっており、

そこには数人の警備がつめていた。

もちろん隠蔽系スキルが隠された狂気以外ない俺は、

いともたやすく見つかり、

警備員はその見事な肉体をうならせて、

俺の方へ突貫してきた。

ここはピースエリアだから武器を持っていない。

攻撃力は一切上がらないし、

武器によっては傷をつけることすら出来なくなる。

というか食器や解体包丁とかみたいなのじゃないと、

家の中じゃほぼ完全に無力化する。

だからその肉体が武器だといわんばかりに、

はちきれんばかりの筋肉で、

俺を捕まえようとする。

…だがそれは俺にまともな攻撃手段が無かった場合の話だ。

俺の装備はネタ装備。

ピースエリアorその外、

そんなものを違いとせず、

どちらでもダメージは無く、

どちらでも機能に制限はされない。

そんなわけで彼らには、

高級感溢れる深い赤色の絨毯となってもらった。

頭は異常に高いDEXを生かして、

天井にぶら下がっているシャンデリアの、

とがっている部分に突き刺す。

これで世界でも他に類を見ない、

珍しい頭つきシャンデリアとなったわけだ。


 しばらく長い廊下が続き、

ちょっと歩くと衛兵、少し歩くと親衛隊という風に、

警備陣には事欠かない。

しかしシェルターで荷物がいっぱいになった教訓を、

俺は今回生かしている。

操操人形マリオネット

人型モンスターの内側にセットすることで、

使用者の思い通りに動かすことが出来る人形である。

効果は高いが値段も高価であり、

ホロビオンの資産を一部略奪しなければ、

こんなに大量には買えなかっただろう。

もちろん作ったのは人形屋の旦那である。

こうして腹を抉られ続ける痛みで、

苦悶の表情と苦しげな悲鳴を合唱する警備を背中に、

姫の部屋と思しきドアを無遠慮にこじ開ける。


 部屋の中には儚げにベットに眠る女性やわらかそうなにくと、

俺を囲んでなんやかんや言ってた、

親衛隊の幹部らしき7人の男性まずそうなにくがいた。

「「「「「「「貴様ら、

姫に会いたければ我らの許可を取れといっていたであろう!

我らサラ姫様親衛隊の鉄の規律を忘れたか!」」」」」」」

そもそも囲まなければ、

人一人脅せないような奴らに、

元攻略組であるこの俺が負けるはずもなく、

一人ずつ君と僕だけの世界に巻き込まれ、

頭を割られ、耳を徹され、目を潰され、鼻をもがれ、口を綴じられ、

首を引っ掻かれ、爪を剥がされ、腕を捻られ、肩を噛まれ、

胸を開かれ、骨を折られ、腹を割かれ、内臓を引っ張り出され、

金的を潰され、足は曲げられ、踝は千切られた。

それでも生きているのだから、

ゲームの世界とはとても不思議で残酷なものだ。

もちろんバーストペインはずっと使い続けている。


 だけど彼らはまだ幸せだ。

この悲劇はたった一晩で終わったのだから。

原因は自分達にあるのだから。

生きてはいるのだから。

死んでないのだから。

彼女に比べたら…、

なんと天国だろう。


 その夜、

城から義勇軍の旗印である、

サラ=ホロビオンの姿が消えた。

噂では親衛隊を名乗る連中も同時に姿をくらませていることから、

彼らが犯人じゃないか?という意見がでている。

”キャラ紹介”

サラ=ホロビオン

ある行動をとることから、

城の奥底に軟禁されていたのが幸いし、

ホロビオン家で唯一生き残ったお姫様。

その美貌は万民の心を虜とし、

深窓の令嬢という言葉が誰よりも似合う女性。

それでいて化粧をしていないのだから、

とある女の子?に、

「くにゃ、あそこを攻めるのは、

バアルじゃなくてリヴァイアサンだと思っていたのです」

と言わしめた。

基本的に人を疑ったりしないため、

親衛隊が過剰なまでに悪を防いでいる。

結果は逆効果だったが。

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