第21話:最強
始まりはいつもより遅く訪れる。
すみません、コミケに行った疲れで、
寝てしまったら投稿が遅れただけです。
祝勝会用に作った料理は、
昨日の夜に食べた料理よりおいしく感じると好評だった。
まあ、初めてDexが高い生産職を、
殺った、というか虐殺したの方が正しいかな?
それで器用値に今までの倍以上の補正がかかって、
よりおいしくなったんだろうけど。
別に俺の料理の腕が上がったわけじゃない。
それにしてもカルマレベルとあわせたなら、
今の俺に器用値で勝てる奴なんているのか?
もともと器用値に20ポイント費やしていたし、
今上がった分とあわせれば、
何これ? 5桁を超えてんじゃないの。
流石にこれ上がりすぎじゃね?
もうこれは俺に敵はなくない?
…そう思っていた時期が俺にもありました。
「ふっふっフ、いつから錯覚していタ?
リアル器用値も考えたラ、
負けるはずが無いんだヨ。
残念だったネ」
うぜえ、この青年。
そしてどこから湧いてきた。
いつからいたんだ?
あたりを見渡すとダンボールが落ちていた。
納得した。
「そうダ、君には感謝しないとネ」
いきなりわけの分からん事を言ってきた。
本格的に頭がいかれているんじゃないだろうか?
「失礼ナ、
感謝したいといったのワ、
相棒を召喚する方法を思い出したからだヨ。
何故かあいつだけプレイヤー枠でゲームしててね。
それで連絡が取り辛かったんだヨ」
こんな奴の相棒?
可哀そうに…。
「いや、可哀そうじゃないからネ。
むしろ後始末担当のこっちの方が大変なんだからネ」
後始末か、
確かにそれは大変だけど。
言ってる意味もよく分からないし、
なんか変な儀式やってるわ。
召喚の儀式とやらをやったくせに、
普通<?>に窓から入ってくる相棒とやら。
青年と同じ顔なのに、
赤と金が混じった和服を着て、
とても派手だ。
「というかここってシェルターの中なんだけど、
どうやって入ってきたの?」
そして俺は”類は友を呼ぶ”、
という言葉を実感する。
ああ、どいつもこいつもキチガイじゃねーか。
<人の事は言えない>
<自分もキチガイ>
ランダムワープ?
なんだそりゃ?
「SRスキル:ランダムワープはネ、
ノータイムで活動可能地域ならどこでモ、
ランダムでワープするスキルだヨ」
使い勝手が悪すぎるにもほどがあるだろ。
どこでもって範囲が広すぎるだろ。
ダンジョンの最深部とか、
モンスターハウスとか、
国王陛下の寝室とか、
魔将の部屋とか、
山の頂上とか、
魔王城とか、
そんなのにに突っ込んだら、
どうする気だったんだよ。
「何言ってるんだ?
もう突っ込んだぞ」
そうだよ、
まだ何もないからって、
今後も無いと考えるのは…え!?
「確か、魔将を全員倒さないとは入れない、
傲慢の魔王城以外全部行ったぞ」
よくそんなで生き残れたな。
俺もバアル様の所が平和だったから、
他の所も大丈夫かなって思ったんだけど、
憤怒の魔王城だとホモ臭いガチムチに囲まれるわ。
色欲の魔王城は中身外装が完全に娼館で、
やたらと高い入場料金をボッタクられるわ。
怠惰の魔王城は枕と棺おけがずらりと並んでて、
ご自由にどうぞって書いてあるわ。
嫉妬の魔王城は体よこせって、
おびただしい量の亡霊死霊に追いかけられるわ。
強欲の魔王城は何故か刺客と思われて、
攻略組の中でもトップクラスの、
いや、キチガイ連中に相当するほどの護衛が、
連携して殺そうとしてくるわ。
本当に散々な目にあったんだけど、
大丈夫だったの?
一体何レベルに達してるっていうんだか?
「まだ1レベル」
「なんだイ?
また魔物を倒すのを縛ってるっていうのかイ?」
馬鹿だ。
それもただの馬鹿じゃない。
⑨やド天然と呼んでもまだ足りない。
真性の馬鹿だ。
なんだよその縛りプレイ。
アイテムを縛るのはスキルしだいで結構きつくなるが、
というかソロだとまず間違いなく破綻するけど、
まだ分かる。
スキルを縛るのはレベルを上げて物理で殴ればいいから、
まだ分かる。
ソロプレイをするのはあのロリチートみたいに、
プレイヤースキルが尋常じゃなければいけるから、
まだ分かる。
だけどモンスターを倒さないなんてありえないだろ。
それもRPGで。
なあ、
STGで撃たない奴がいるか?-答えはNoだ。
FPSで敵を倒さない奴がいるか?-答えはNoだ。
育成ゲームで誰も育てない奴がいるか?-答えはNoだ。
脱出ゲームで出口を目指さない奴はいるか?ー答えはNoだ。
ギャルゲーで女の子を攻略しない奴がいるか?-答えはNoだ。
ネトゲで課金を一度もしない奴がいるか?ー答えは残念ながらYesだ。
少なくともその縛りはゲームの意味を無くす。
生産職でさえ魔物は倒す。
町から移動できないし、
素材が欲しいからだ。
自由人も魔物は倒す。
町々を旅したいし、
金が欲しいからだ。
「大丈夫だよ、死なないし」
死ぬわ、確実に死ぬわ。
全ステータスがカルマレベル含めて500以上の俺が、
一撃で半分以上もってかれたような場所だぞ。
たとえVITとMINに19ずつ振っていても、
まず間違いなく足りないぞ。
一撃当たったらゲームオーバーだ。
「あぁん? VITなんかに振るわけが無いだろ。
全部AGIだよ」
駄目だこいつ。
もう完全に手遅れだ。
もうこうなったらスキル頼みしかねえ。
「ねえ、スキル確認させてもらってもいい?」
もしかしたら逃げるのに特化したスキルが並んでるかもしれない。
少なくともノータイムでワープできるのなら、
危険になればさっさとワープすればいい。
そう思えばまだ何とかなるはずだ。
#ハヤブサ☆ <1>
Str:0 Vit:0 Int:0 Min:0
Dex:40 Agi:40 MP:0 Luk:0
スキル:一撃必殺<10>、ランダムワープ<10>、攻撃反射<10>、
防御無視<10>、神速<10>、人間巨砲<10>、光閃<10>、
状態異常無効<3>、罠無効<10>、地形破壊<10>
見た感じ…これって、
「「「<むにゃ>そう、全部SRスキル」」」
いつの間にか師匠まで混じってハモっていた。
駄目だこのキチガイ集団、
早くどうにかしないと。
世界が終わるんじゃないか?
エラー
エラー




