第九話 王族
遅くなり、すみません!
中々、思い通りに書けない……。
自然に人との出会いを書くのって難しいですね(笑)
ご指摘などがございましたら、どんどん言って下さい。
10000PV達成!皆さんに本当感謝です!
最後のオーガを斬り伏せ、双刀を仕舞おうとしたが、血が付いて汚れているのに気が付き、止める。ステータスを開き、アイテムストレージから適当に布を取り出すと、血を丁寧に拭き取った。自分の身体にも血が付着しているが、とても布で拭いきれる物ではなかったので、取り敢えず無視し、双刀を背中に収めた。
オーガの死体を見る。オーガの死体は光の粒とはならず、オブジェクトの様に地面に横たわっていた。血が大量に吹き出しており、地面を赤黒く染めている。
何も感じない。オーガの死体を見て、特別何かを感じたりはしなかった。生き物の命を奪ったというのに、罪悪感に囚われる事もなければ、吐き気を催す事もない。
何故だろう?昔は道端で死んでいる猫を見て、自分が殺した訳でも無いのに罪悪感で胸がいっぱいだった。それが今、感じない、感じられない。それは相手がモンスターだからだろうか?《ディヤヴォルオンライン》でモンスターを沢山殺してきたからだろうか?騎士達を助けるためにはしょうがなかったからだろうか?
それとも、俺が人殺しだからだろうか?
ふと、気付くと、騎士達が俺の方へと近づいてきた。
「どなたか存じませんが、助かりました。御礼を申し上げます」
そう言って騎士の1人が兜を脱ぐ。中は金髪に顔は30代くらいの男だった。
「いえ、ここにはちょうど通り掛かっただけですから、気にしないで下さい」
そう言って、他の騎士達にも目を向ける。彼らも兜を外し、こちらを見ていた。しかし、その目は決して好意的ではない。
なんか警戒されている気がする。まぁ、得体の知れない男が突然現れたのだから、気にするのも分かるが、仮にも助けたんだから、もう少し視線には気を使って欲しい。
男は騎士達の方を向くと腕を振った。それを合図に騎士達は馬車の方へと戻って行く。
「不快に思われたのなら、すみません………こちらが助けて頂いたのにも関わらず」
申し訳なさそうに男が謝る。俺はそれに首を振った。
「いえ、大丈夫です」
確かに不快には思ったが、それだけで腹は立たない。前までは、あんな視線を向けられる事は何回もあった。今更それにどうこう言うつもりはない。
「それで、あれはどうしましょうか?」
男がオーガの死体を見る。
どうしましょうか?って言われてもな…………どうするか。
《ディヤヴォルオンライン》の頃はモンスターはHPが0になれば、光の粒となって散っていた。けれど、ここではそうじゃない。斬り裂けば血が飛び散るし、死ねば死体も残る。素材だって勝手にドロップするわけじゃない。直接剥ぎ取らなければならない。どうする、とは恐らくそういう事なんだろうが、俺は剥ぎ取りの仕方なんて分からない。
「宜しければ、私どもで剥ぎ取りますが」
偶々か、顔に出ていたのか、男が苦笑する。剥ぎ取りなんて分からないし、ここはお任せしよう。
「それじゃぁ……お願いします」
「分かりました……おい!オーガの死体から素材を剥ぎ取れ!あと、討伐証明の耳も取っとけ!」
男がそう言うと、二人の騎士がオーガの死体を解体し始めた。
「そう言えば、自己紹介がまだでしたね。私は王国直属近衛隊隊長マルクと申します。この度はお助け頂きありがとうございました」
男……マルクは俺に向き直ると、胸に手を当てた。
王国の近衛兵の隊長か……。とすると、まさかあの馬車に乗っているのは王族か!?これはいきなり、とんでもない大物を当ててしまったかもしれない。
「俺は………カズヤです。さっきも言いましたが、ここには通り掛かっただけなので、お気になさらないで下さい……それと、敬語も止して下さい」
「……分かった。そう言って貰えると助かる。正直言って敬語って苦手なんだよなー……あ!カズヤも俺に敬語とか無しでいいぜ」
「は、はい…」
お…おぅ……いきなりフレンドリーになったなマルクさん。いや、確かに俺がお願いした事だけど、それでいいのか近衛兵隊長。
「ま、マリーナ様!?馬車をお降りになってはいけません!」
突然、馬車の方から大声が上がる。見ると、馬車から出ようとしている少女を騎士が食い止めていた。しかし、少女は騎士に何か言うと、すごすごと騎士は後ろに下がっていった。
少女はゆっくりとこちらに歩いてくる。よく見れば、かなり綺麗な装飾品を沢山身につけている。まさか………。
「マルク、私達を助けて下さった方は何処にいらっしゃるの?」
「姫様、こいつです」
バンッと俺の肩を叩く。いてぇーよ。
「まぁ!この方が!私、オーガを倒したと聞きましたから、もう少し大きな方を想像しておりましたけど……あ、失礼しました。決して貴方が小さいと言っている訳ではないのですよ?ただ、少しばかり驚いただけなのです!」
「は、はぁ……」
「あぁ……申し遅れました。私、王国第一王女マリーナ=ダンテルテと申します。先程は助けて頂き、ありがとうございました」
………王族とは思っていたが、やはり王女だったか。しかもちょうど、俺と同じくらいの歳だろうか?それにしても流石は王女、美人だ。ただし、胸は………うん、惜しい。残念だ。
「何か失礼な事を考えてませんか?」
しまった!つい目線が………。
「い、いえ。えっと……俺…じゃなくて、私はカズヤと言います。助けた事に関しては偶然通り掛かっただけですので、お気になさらないで下さい」
取り敢えず、無礼にならない様に丁寧に答えると、王女はニコリと微笑んだ。
「私からも礼をいうぞ、カズヤ殿」
「あら、お父様」
馬車からもう1人、40代くらいの男性が出てくる。お父様……と言う事はつまり、国王だろう。
「国王様にそう仰って頂けるとは、ありがたき幸せ」
「そう畏るな、カズヤ殿。貴殿は我が命の恩人だ」
そう言って国王は笑う。
「さて、カズヤ殿。良かったら私達と共に王宮に来てくれんか?改めて礼がしたい」
王宮……か。どうする?今、俺はこちらに来たばかりで、右も左も分からない状態だ。この話に乗る手はないだろう。しかし、この手の展開は必ず、面倒事が付き物だと言うのが相場だ。出来る限り面倒事は避けたい。が、この機会を逃したら二度はないかも知れない。ここは一つ乗っかるとしよう。それに国王の礼を断るわけにもいかない。
「是非」
俺の応えに国王は満足そうに頷くと、騎士達を呼び寄せる。
「お前、一足早く王宮に行って謁見の準備をさせろ」
騎士は頷くと、駿馬に乗り、先に走って行った。
「さて、私達もゆっくりと戻ろう。カズヤ殿も馬車に乗りなされ………とその前に、血を流さなければな」
国王の言葉に頷き、俺は近くをマルクに教えて貰うと、川で血を綺麗に流す。戻った頃には、オーガの処理の方も片付いており、俺は馬車に乗ると、ゆらりと揺られながら、王宮を目指した。
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次の更新は明日です
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