第八話 異世界
すみません、投稿時間の設定を間違っていました
俺はその悲鳴を聞いた瞬間、咄嗟に声がする方へと走り出した。視界に映る景色が揺らぎ、目まぐるしく変わる。
「うぉ!?」
余りのスピードと何時と違う感覚に思わず声が出る。どうやら、身体能力はゲームの時と同じ……いや、ゲームの時より上がっているようだ。実際はどうなっているか分からないし、勘違いかもしれないが、魔王討伐の時よりスピードが上がっている気がした。もしかすると、魔王を倒してレベルが上がった事により、ステータスの値が上がったせいなのかもしれない。しかし、今はそれどころではない。
俺は更に走るスピードを上げ、声がする方に近付く。すると、段々と金属音や怒号が聞こえ、その姿を確認出来た。
「グルォォォォッ!!」
悲鳴がした場所にいたのは、三体のモンスターと、全身鎧の騎士の様な五人の人だった。騎士達は少し離れた場所にある、お金が掛かってそうな豪華な馬車を護るようにして戦っていた。対するモンスターは三体ともオーガだった。二メートル程の身長で、太く筋肉質な身体は深い毛で覆われていた。しかも、一体は他の二体よりも、一メートル程大きい。手には木で出来た作りが荒い棍棒を手にし、それを振り回している。
一見すれば、三対五と数で騎士達が優勢だが、実際はオーガ達が優勢だ。騎士達はオーガが馬車に近づかないように護りながら戦っているせいで決定打が与えられないのか、少しずつ押されて来ている。更に一体のオーガが後ろから馬車に近付き、馬車を襲おうとしていた。
それを見て、一瞬で判断した俺は迷わず、オーガに向かって走る。人がモンスターにみすみす殺されるのは見たくはない。
俺はオーガとの間合いを詰めながら、背中から二本の刀を抜く。それを上段で構えると刀身が青く光り出した。
よし……どうやらスキルは使えるみたいだ。
恐らくここは現実世界でも、ゲームの世界でもない。ここは二つの世界とは全く違う異世界だと思う。俺はそう確信めいた物を感じていた。だけど、ステータスが開けたり、身体の動きがゲームの時と(動かし方が、という点で)余り変わらない事から、スキルも使える筈だと思っていたが、どうやら正解だったらしい。
俺は《スキル:オーバードライブ》を発動させた。青く光る刀身はオーガを簡単に斬り伏せる。
「グォッ………」
オーガは血を吹き出しながら、最後に掠れた声を小さく上げると、そのまま地面に倒れ、絶命する。しかし、ゲームと同じ様に光の粒となって消えはしなかった。オーガの死体はそのまま残り、地面を赤い血で染めていく。
俺は気にせず、騎士達の方へ助太刀する。騎士達は死んだオーガとそれを斬り伏せた俺に驚いているのか、敵の前だという事も忘れて俺の方を向き、硬直していた。その隙をオーガが見逃す筈は無く、拳を振り下ろす。俺は狙われている騎士の横を通り過ぎると、その拳に合わせて《スキル:ツインドライブ》を繰り出す。
身体が加速し、突き出した二つの刀がオーガの身体を拳諸共貫いていく。およそ0.5秒程のスキル後の硬直のあと、オーガの身体から刀を引き抜くと、オーガは声も出せず、また地面へと倒れていく。
残りはあと、一体。他の二体より身体が大きいオーガだけだ。
「グルォォォォッ!!」
オーガが咆哮する。それと同時に俺に向かって走ってくる。オーガは間合いを詰めると、手に持つ棍棒を上に掲げ、振り下ろした。それを横にステップし、避ける。そして振り下ろした棍棒の持つ腕を斬り飛ばす。オーガの腕と棍棒が宙を舞い、後ろに大きく飛んだ。
「オォォォォッッッ!!?」
腕が無くなったオーガは無くなった方の肩を抑えながら絶叫する。その隙に《スキル:スラッシュ》を使い、オーガの首を吹き飛ばす。
三体目のオーガが絶命し、オーガとの交戦から僅か30秒程で三体の敵は全滅した。
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