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デスゲームからの異世界へ(仮)  作者: ていてい
序章 デスゲームからの異世界へ
6/9

第六話 決着

今回は長いです


序章の最後です。






「ウオォォォォォォッッ!!!」


突然魔王は咆哮し、次の瞬間背筋がゾクリとしたのと同時に光が視界を覆った。思わず目を瞑ってしまい、直後に来た衝撃に耐えきれず、吹き飛ばされる。


「くっ………」


どうにか体を起こし、目を開ける。見ると、九割あった俺のHPバーは五割を切っていた。周りを見ると、プレイヤー達は地面に倒れていた。何とか死んではいない。しかし、HPバーの横に麻痺のマークが出ていた。そのせいで、動きが取れなくなっている。しかし、俺にだけ、それは無かった。なんで……と思ったところで、自分がしている装備を思い出す。その中に状態異常無効というかなり強力な指輪を装備している事に気が付いた。


「グォォォォォッッ!!」


魔王が咆哮する。


どうする……?倒れている全員の麻痺を解いている時間は無い。解いている隙に魔王の攻撃を受けて死んでしまうだろう。かといって俺だけで特攻すれば、またレインの時と同じ結果になってしまう。


どうすればいい⁈何か……打つてなしか…………いや、一つだけあった。《双刀最上位スキル:デイズリースラッシュ》。双刀最強の攻撃スキルだ。24連撃で一撃一撃が最高レベルの強さを持つ。


やるしか……ないのか。俺の中で覚悟が決まる。結局は俺一人で特攻する事になってしまったが、俺しか動けるプレイヤーがいないのだから、仕方ない。勝つ為にはこの方法しかないようだ。


「カズヤ……く…ん」


俺より更に後ろに吹き飛ばされたカナデが顔を上げ、俺を見ていた。


そこで待っててくれ。必ず、倒して来るから。


「任しとけ」

「カズヤ君っ!!」

「うぉぉぉぉぉっっっ!!!」


魔王に向かって走る。魔王との間合いを詰めながら、俺は《スキル:デイズリースラッシュ》を発動させた。魔王は転がっているプレイヤーを殺そうと上に振り上げた拳を止め、俺に振り下ろした。俺もそれに合わせて刀を振り上げる。


一撃目、赤く光った俺の刀は魔王の拳を斬り裂き、魔王の拳はその反動で横にズレ、俺には当たらない。二撃目、身体を捻り、左足を軸にしながら回転して今度は魔王の腹を斬り裂く。赤いダメージエフェクトが魔王の身体を走り、魔王が悲鳴を上げた。


まだだ!集中しろ!!


三撃目、四撃目、五撃目と刀を振り、魔王にダメージを与える。魔王も拳、蹴りで攻めて来るが、どうにか擦るだけに収める。それでも魔王の一撃は重く、俺のHPも削れていく。


もっと速く!奴が拳を振るうより速く腕を振れ!もっと!もっと!


十一撃目の刀を振るう。魔王の左肩から右の横腹にかけてダメージエフェクトがはしる。刀を振り抜き、十二撃目の体勢に移った時、魔王が拳を振り上げ、その拳が青く光り始めた。しかし、それを避ける事は出来ない。


スキルには欠点がある。それは発動したら、スキルが終わる迄自分では終了させる事が出来ない事だ。一度発動したら最後の攻撃を繰り出すまで、俺は自分自身でスキルによる動きを止める事は出来ない。ただ、他の妨害によってスキルの動きとは異なるの動きをすると、スキルは強制的にキャンセルされる。


更にスキルにはもう一つ欠点がある。それはスキル後の硬直がある事だ。スキルが発動し、その行動を終えると少しの間、身体が硬直し、動かなくなる。その硬直時間はスキルによって異なるが、たいてい、大技のスキルほど硬直の時間が長い。そしてその隙は相手にとって絶好の攻撃の機会となる。そして、この硬直時間は強制的にスキルをキャンセルされた場合にも起こる。そして俺が今使用しているスキルは双刀の中では最上位の大技。


つまり、今俺は自分でスキルを止める事が出来ず、強制的にキャンセルされる訳にもいかない。そして、このスキルで魔王のHPを0にしなければならない状況にある。それでも俺がこのスキルを使ったのは、圧倒的な手数と、威力の大きさからだ。


勿論、このスキルを使わずに魔王と戦う事は出来た。しかし、倒すまでには至らなかっただろう。単発のスキルを使っても硬直時間のせいで魔王から攻撃を受けるし、カエデやシル、他のプレイヤーを攻撃するかもしれない。そうならないためには俺に魔王の注意を向けさせ、一回ののスキルで倒す事ができなければならなかった。そして、それが出来るのはこのスキルしかない。


魔王のスキルがが俺めがけて放たれる。俺も魔王の拳に合わせて刀を振った。魔王の拳と俺の刀がぶつかり合い、バチンッ!とスキル同士がぶつかり合う音が鳴り響く。力が拮抗し、お互いのHPが凄まじいスピードで減っていく。俺のHPバーは二割を切った。


くそっ……このままじゃ………。


「はぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」


ギリギリと腕に力を入れ、魔王の拳を押し返す。しかし、力を入れた腕はそのまま上へと斬り上がり、体勢が崩れる。そこを魔王の拳が襲う。咄嗟にそれを防ごうと次の十三撃目の刀を振るう。吹き飛ばされない様に足を踏ん張り、出来るだけ当たらない様に、身体を捻る。刀を拳が滑る様に振り、ダメージを抑える。ギリギリの所を拳が掠れていき、魔王の拳は通り過ぎて行く。刀は赤く光り続け、スキルもキャンセルされていない。


もう拳を振るわせてはダメだ!奴が拳を振り下ろすより速く決着を着けるんだ!



「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!」



雄叫びを上げ、腕を速く振るう。


もっと速く!まだ速くだ!


頭に電気が流れた様に目がチカチカとなり、スパークする。その瞬間、刀を振るうスピードが二倍、いやそれ以上に加速した気がした。赤く光る刀の軌跡が視界を多い、魔王のHPを削る。魔王も拳を振り上げ、スキルを発動させた。拳が青く光り、また魔王も咆哮を上げながら、拳を振るう。


「これで終わりだ!」


それと同時に俺も最後の一振りを振り下ろす。二つの光が重なり、ぶつかり合う。しかし、さっきの大きなぶつかり合う音はしなかった。


ただ、俺と魔王の身体は動かない。それがスキル後の硬直なのかは分からないが、誰も動く事がないエリアは静まり返った。それは何秒何十秒にも感じられ、突然魔王の身体が不自然にブレた。だんだんと色が薄くなり、光りの粒となり砕け散った。


光の粒は宙を舞い、魔王の最後には似つかわしく無いとても幻想的な物に見えた。


終わった ……の…か?


光の粒が消えていき、最後の一粒が音もなく消えた。その瞬間、大きくエリアの中央に《Clear》の文字が出ていた。


「やった……やったぞ!」


プレイヤーの1人が叫ぶ!それを合図にプレイヤー達は歓喜の声を上げる。どうやら、麻痺は魔王が死んだのと同時に解かれた様だ。


終わった。長い時間が掛かったけど、終わったんだ。良かった……これで皆、このゲームから解放される。


レイン………約束、守ったぜ…俺ちゃんと勝ったよ……お前があそこで助けてくれたお陰だよ…ありがとうレイン。


シル……お前が盾で攻撃を防いでくれたから俺は、勝つ事が出来た。ありがとう。


カナデ………俺は…お前がいたからここまで来れた。この世界で絶望せずに生きて来れた。ありがとう……………そしてゴメン。2人で一緒ていう約束…………守れなくてゴメン。こんな俺で………ゴメン。そして、最後にもう一度………ありがとう、好きだよカナデ…。


俺はプレイヤー達が歓喜する中、0になった自分のHPバーと、視界に広がる《You dead》の文字をただ、静かに眺めていた。






次からは第一章に入ります


次の更新は土曜日です


あと、感想とか評価とかしていただけるとありがたいなー……なんて



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