第一話 決戦の朝
よろしくお願いします
太陽が山から顔を出し、光が差し込む。朝日を浴びながら、静かに目を開いた。
「ついに、今日だね」
「あぁ、今日で全てが終わる……」
第23エリア《魔王領》。そこは魔族が住む魔の領域。俺たちはそこのボス出現エリア《魔王城》に向かう。
この『ディヤヴォルオンライン』がデスゲームとなり、4年が過ぎた。しかし、未だゲームはクリアされていない。けれども、ついにその日は来た。ゲームからの解放条件は魔王を倒す事。ゲームが開始された最初の頃こそ戸惑い、不可能とさえ思っていたこのクリア条件だけど、俺達プレイヤーは地道にモンスターを倒してレベルを上げ、スキルを習得し、強くなって来た。
そして今日、上位プレイヤー数十人で討伐隊を結成し、魔王を倒しに行く。勿論、上位プレイヤーである俺と今俺の横にいるカナデも参加するつもりだ。
今日の戦いは絶対に勝たなければならない。勿論、勝つ自信はある。けれど、万が一負ける事があれば、HPが0になる事があれば、その時点で現実の死が自分を待っている。もし、カナデが死ぬ事があったら、俺は……。
これまで死んだプレイヤーの数は4000人を超える。未だ見た事のない魔王の存在。それが俺の心を不安にさせる。
「なぁ、カナデ。やっぱりお前は……」
「ダメよ、私も行く。私も上位プレイヤーなんだから、魔王を倒してこのゲームを終わらせる義務がある。カズヤ君の言いたい事はわかるけど、それは私も同じなの。私もあなたに死んで欲しくない。例え死ぬ事があっても、それはあなたの隣が良いの。ここで行かないと私は一生後悔する。だから、行かせて。」
「……分かった。けど、無理するなよ。絶対に生きてクリアしよう」
「えぇ。2人で、一緒に」
カナデの言葉に不安が消えた訳じゃない。けれど、カナデの覚悟を聞いて、嬉しかった。俺も、彼女の隣に居たい。生きる時も、死ぬ時も。だから、彼女を死なせない為にも、今日の戦いは負けられない。勝つんだ。必ず。俺達2人は集合場所の第1エリア《椿の広場》に向かった。
一時間後に次話を投稿します