よんわー ネカマな僕と初心者な女戦士さん
打って書いて投稿。
『いらっしゃいませー!』
入ってきたのは、ふむ?見た目、十四歳くらいでしょうか?
赤毛の戦士職の格好をした女の子ですね。
「すみません、ここは何のお店なんでしょうか?」
ああ、初心者プレイヤーの方ですか。
「ここはですね、生産職であるアイリス店長のお店『ウイッチコンチェルト』、魔宝具を売っておりますですはい」
そう、優しく返事をすると。
「へ、生産職?ええ、じゃあ二人ともプレイヤーですか?NPCじゃなくて」
と、驚いた返事が返ってきたよ。
まあ、りっぱな店舗だしねー、学生プレイヤー御用達だし。
「そうじゃが?それがどうかしたのか」
と、お膝の上の店長さん。
「え、あれ?でもサービス開始は今日からだし、ええー?」
あれあれ、混乱していらっしゃる。
と、考えて、一つのことに思い当たる。
「あぁ、僕らは学生プレイヤー、うんとねβ版プレイヤーていえばわかるかな?」
僕の補足にやっと、意味が通じた表情を浮かべる戦士さん。
「ああ、なるほどβ版プレイヤーさんでしたか」
うんうん、観察してみればなかなか可愛い子だなー、と気づかれないない程度に彼女を観察する。
いまは、納得してやっと意識が商品に向いたのか、棚を物色しながら、青ざめたり白くなったりしていますね。
「店長」
「何じゃ?」
と、上目遣いの達人。
「初心者用の商品陳列しましたか?」
「あ」
といって、口をふさぐ店長、可愛いけど、もう遅いよ。
ふう、とため息をついて、店員しか空けられないお店用の巨大なアイテムボックスを開いて物色を始める。
ふむ、力の指輪は戦士職なら必要かな?
後はー、守りの護符とレザー系装備一式位かな?
「店長、たいした儲けにならないですしこれあげちゃってもいいですか?」
「ふむ、まあいいじゃろう、こちらにも落ち度はあるしのー」
と、少ししゅんと落ち込んでいる店長の頭をなでてから、赤髪の戦士さんに話しかける。
「すみませーん」
「......はい?」
こちらを振り向いた彼女の表情はグロッキー状態でした。
「本当に、すみません」
「ええ、なんのことですか?いや、わかってます、わかってますよ、私ごときに売れる商品なんて無いんですよね、いいんですよ、こんな敷居の高そうなお店に踏み込んでしまった私が悪いんです、それでは!」
と、一気にしゃべると逃げようとする戦士の少女。
だけど、扉は無常にも開くことは無かった。
店長が、万引き対策の扉ロックを使ったのだろう。
おかげで、唖然としていた僕もはっと意識を取り戻す。
「すみませんというのはですね、学生プレイヤー相手にずっと商売していたから、陳列品が学生プレイヤー用になっていたんですよ、これはお詫びです受け取ってください」
といって、レザー系一式と力の指輪と守りの護符を彼女の手に渡す。
思わず、受け取ってからわたわたする少女。
「え、え、でもお金はー」
「お詫びですから、いいですよ、僕らにとってはたいした額じゃないですしね」
特に、最初から生産職で通っている店長にとってはこれくらいはした金にすらならないだろう。
それだけ、生産職は需要の割に供給が不足がちに職なのだ。
「あ、ありがとうございます」
「いえいえ」
「あまり、気にしなくてもよいのじゃ、わらわも悪かったしのー」
てな感じで、ぺこぺこする戦士さんと、恐縮する魔法使いと、店長さんの図が完成いたしました。
ふむ、せっかくだから、バイトが終わったら初心者プレイヤーさんのお手伝いでもしようかなー。
とか、何とか考えながら、カウンターの定位置に戻ると、傍にいた店長さんを抱きあげる。
「あ、あの」
と、まだいた戦士さんが話しかけてきました。
「お二人は、何レベルくらいなんですか?」
その質問に、
「ん?僕は50だよ」
「ふむ?わらわは50じゃな」
まあ、三年かけたしねー
まあ、三年かけたしのー
と二人同時に答えると、
絶句している戦士さんが目の前に立っていらっしゃいましたとさ。
よんわー です。
初心者から見たら50レベルとはそれだけ高いのです。
サービス初日ですしね。