じゅうななわ~ ネカマな僕と見つめる私と路傍の石
部長氏ピーンチ
今回も、現実世界のお話。
というか、書きたい部分以外省きまくっているので、背景描写ウスシ!!
「み~こ~と~たん~~~~~~」
その声が、聞こえてきた瞬間、僕はサッと歩いていた軌道を右に半歩ずらす。
「て!!ちょっと~~~~~~」
その、開いた隙間を見慣れた女性が通り抜けて、その勢いのまま、壁に激突した。
「ななななななななな、何をするのかな!みことたん!」
ああ、相変わらずうるさい先輩だ。
地面に、ぺたりと座り込みながら、こちらを見上げた少女。
彼女は、通称部長氏。
...名前はまだ無い...。
というか、
「部長、昨日、僕の所にメールが来たのですが...」
其処まで聞いてサッと部長氏の顔色が変わった。
さては、いつもの調子で僕を見つけたから、抱きついてきただけで、自分が犯した昨日の過失を忘れていたようだ。
本当に便利なトサカ頭だ。
「何のことかな!わたしゃぁ、知らないよ!!」
そんな、どこぞの温泉のお湯ババァみたいな声で否定されても困る。
「僕の、固有武器のことなんですけど...」
「ふ、ふん知らないって行ってるだろいう、固有武器?何のことかな、公式サイトにでも乗っていたのかい?」
この先輩は...、どこまでしらを切るつもりだろうか。
「ありがとうございます、あんなに素敵なものをデザインしていただいて、僕とっても嬉しいです」
秘儀天使の微笑み付褒め殺し攻撃。
「でしょ!でしょ!!羽のデザインの所なんてね!一週間悩んだんだよ!!
デザインも最高、機能も抜群、あれ以上一品はもう作れないね!!
...って!」
ふ、かかったな、僕らクリエイターは、ひねくれた賛辞には強いが、素直な賞賛には弱い、弱点はお見通しだ!!
「く、しまった!!」
さ、逃がさないよ、っと。
部長氏の手首をきゅっと握る。
まあ、男らしくぎゅっとかぐっとじゃあ無いのが悲しいところだが。
「ささ、行こうか先輩」
僕の言葉に、ずりずりと後ずさりながら、冷や汗を流している部長氏。
「み、みことたん?いちおおう、き、きくけど、どこえかな、かな?」
声が震えすぎだよ部長氏、そんなの決まっているじゃないか。
もちろん。
「そんなの|会長室に(処刑場に)決まっているじゃないですか」
その後、しばらくの間、閑静なはずの廊下に、うにゃ~とかいやな~とか、聞くに堪えない悲鳴が響いていたそうだ。
◇ ◆ ◇
廊下から聞こえてくる、奇妙な悲鳴。
それが、途切れると共に、私の部屋に控えめなノックが響いた。
「どうぞ」
少し、無機質な声で入室を促す。
「失礼します」
「うにゃ~...」
入ってきたのは、肩にかかる程度に伸ばしたショーヘアを揺らす、女生徒制服を着れば美少女にしか見えない華奢な少年と、私の親友と呼べる少女だった。
まあ、ぱっとみ、華奢な美少女に引きずられてきた奇声を発する痛い女にしか見えないが。
と、いうか、やっぱり命は可愛いな~、ふうかの姿もいいけど、よし、決めた!!
今度から、命だけ女子の制服を着用することといった校則をつくろう。
「会長...、何か怪しい事を考えていませんか?」
「風花、口元がにやてるにゃ~」
おっと、まずい少し思考がもれたか。というか、いつもウザイがこの親友の語尾、いつもにましてウザイな。
「コホン、それで?...なんの、話かな?」
背筋をピンと伸ばしてたたずまいを直してから、二人に用件を問いかける。
「え~とですね、昨日部長氏から、こんなメールが送られて来まして」
「にゃ!そげな!殺生な、お代官様!!」
親友らしきモノが、美少女に抱きついて静止しようとしている、ハアハア、ちょっと代われコノ野郎。
「ハッ!と、とりあえず拝見させてもらおうか」
はい、と命がわたしてきた、意思データメールを自分のデバイス端末に受信してから、中を開くと。
題名・『できたよ!!!!!○◎△■』
とかかれた、題名も中身もいろいろな意味で終わっているメールが私の視界に投影された。
具体的に言えば、社長の文言の辺りで混乱が、題名・『ゴメン...、テヘペロ・ハート』辺りで殺意が、「命きゅんの、固有武器ね~、頑張りすぎて遅れチッタwww許してねん~www」辺りで、友人であったはずのモノを、ごみでも見るかのような瞳で見つめていたのは私だけの秘密だ。
とりあえず、親友の立場が、親友から路傍の石になったのは確実だが。
ちなみに、部長氏のお名前は本当に考えていません。
心優しい誰か、決めてあげてください。