じゅうよんわー 私と僕と店長と
やっと合流です。
いやー、相変わらず、私の嫁は可愛いな~。
と、いまだに薄れぬ出会いの記憶を思い出しながら、アレクセイの街を歩いていく私。
オープン初日のため、うざったい人ごみに辟易としながらも、頭の中はばら色だ...。
そんな妄想に浸りながら、軽く鼻歌を歌いながら歩いていると、なぜか前方の人ごみがこちらにむけて割れて行く。
そして、威圧された様子も無いのに、なぜか一歩ひいてしまった人ごみの先。
約十メートルほどの人がいない歩行空間を。
青い魔法使いの格好をした、なぜかいつもしているめがねを外している、絶世の美少女と。
彼女に手をひかれて楽しそうに歩いている、銀糸の幼女の姿がそこにあった!
その光景は、今にも膝をついてしまいそうなほど幻想的な光景だった。
「もはや、あの顔は凶器だね...」
そう、独り言を呟くと、私は彼女達に向かって歩き出した。
店長と一緒に歩いていると、なぜか人ごみが割れて行く。
不思議だ?
まさか、僕、ロリコンと思われているのかな?
軽く、ショックだ!
と、手をつないでいる店長を見下ろす。
「どうかしたのか、ふうか?飴でもくれるのか?」
前半、不思議そうな顔、後半、期待に満ちた目できらきらと見られたら、僕には対抗するすべはありません店長...。
仕方が無い、これは、餌付けじゃないぞ、可愛い物をめでているだけだ。
つまり、正義だ!
の信念の元、僕はぺろぺろキャンデーを取り出すと、優しく店長の口元に添えてあげた。
「はい、あ~~~ん」
うきゅ、と擬音が聞こえそうな感じで、口にほおばる店長!かわゆす!!!!
もう、あれですよ、その後、とろ~~~んとした目でこちらを見上げてくるんですよ!
吐血しそうです!!!
は?なぜだ?HPバーが減っているぞ!
ポーションを急いでポーションをのまなければ!
そこまで、言ったところで僕は隣に立っている彼の姿に気がついた。
そこには、見慣れた銀鎧の誰よりもカッコイイよくて、可愛い騎士様が立っていた。
「やあ、お疲れ様、みこと」
店長の手を握っていないほうの手を、やあ、とあげて挨拶をする。
「君も元気そうだね、ふうか、そちらのレディは、どちら様かな?」
どこか、芝居じみた返事を返してくるみこと。
「この子?店長だよ」
と、ほわ~~~~となっている少女を紹介する。
「へ?これ。店長なのか?」
と、そこでみことの芝居が崩れた、流石にいつもあっていた、店長の正体が初等部の子供だったことに、驚きを隠せないようだ。
「ほわ~~~!は、なんじゃ!みことか。ひさしぶりじゃの」
トリップから回復して何とか挨拶する、店長。
といっても、その紅葉を見せびらかすように、フヨフヨ振っているだけだが。
可愛い、彼女の手はフニフニだ。
肉球より手触りがいいのだ!店長の手は!
おう、ひさしぶり、と、みことも手をあげてから、僕の方に視線をむけて、
「それで、どこに行くつもりだったんだ?」
と、聞いてきた。
「あぁ、店長のペルソナアイテムを買いにね...」
見ての通りこれだから、と、店長の頭を優しくなぜる。
やわらかい、さらさらだ、何使ってるんだろう?
「ああ、なるほど、今回の生態情報で素顔さらしちゃってるから、その予防のためだね」
それだけで、みことは理解してくれたみたいだ。
僕らと同じ方向を向くと、手をとって歩き出す。
店長じゃなくて僕のをだけど...
なぜ?
「なぜ、僕の手を?」
握っているのですか?
「ふむ、愚問だね。好きな人の手握って何が悪い!
それに、今、ふうかはペルソナアイテムを店長に貸しているだろう
悪い、虫が酔ってこないようにね」
と、みことは軽くこちらを一瞥してウインクしてきた。
むー、だから、恥ずかしいから、直接的な表現をやめてくれっていつも言ってるのに。
僕の頬はきっと、どうしようもなく真っ赤だろうな...。
と、悩んでいたから。
「まあ、ふうかの素顔は綺麗過ぎて、逆に人がよってこないだろうけどね...」
その後、みことが言った言葉は、よく聞き取れなかった。
あけおめ!!!