1.
本文中の会話ですが、暫くの間、「」は日本語(こちらの世界の言葉)、『』は異世界の言葉、とご理解いただけると助かります。
(設定上、別言語なので…。勝手を言ってすみません…)
また、本文中に暴力的な(ナイフで切られる)シーンを含みます。
不快に思われる方、苦手な方は、閲覧をお控え下さいますようお願い申し上げます。
ご協力、宜しくお願い申し上げます(`・ω・´)ゞ。
「ぅん……」
とても心地のいい風が、頬を撫でていく。
まだ、ぼんやりする意識のまま、ゆっくりと重い瞼を持ち上げた。
緑生い茂る木々。咲き誇る色とりどりの花。
優しく降り注ぐ太陽の光が、眩しい。
(確か、私、放課後に補習名目で先生に居残りさせられてたはずよね?)
だとしたら、こんなに太陽が高いはずがない。
勢いよく上体を起こし、時間を確かめようと左腕にあるはずの時計に目をやると、その存在は跡形もなく消えていた。
「一体、なにがどうなってるの?」
辺りには人一人おらず、楽園のような森の中で座ったまま、少女はただ、途方にくれた。
その場で暫く様子を見てみたものの、やはり、誰一人として通りかかるような気配はない。
「……しょうがない、誰か捜そう」
彼女は、制服のスカートについた落ち葉を払い落とし、立ち上がって辺りをぐるりと見渡す。
少し先にどうにか通れそうな小道を見つけ、そちらに向けて足を踏み出したその瞬間、背後から鋭い声が聴こえた。
『何処からここに入った』
「……!」
声の方向に振り返ろうとすると、即座に背後から身体を羽交い絞めにされ、喉元に硬くひんやりした感覚が当てられる。
「ゃぁ……ぅ」
添えられているのは、間違いなくナイフ。突然の予期せぬ事態に、言葉が出ない。
『どうした? 何も言わんのか、侵入者』
耳元に響く、地を這うような怒りに満ちた音。
喉元に、熱い感覚が走る。その熱さと恐怖に、彼女の眦からは涙が溢れた。
『待て』
彼女の正面から、また一人、男がやってきた。
『ヴィンス! “王家の森”に入り込んだ不審者だ。捕らえなければ!』
その男に向かって、背後の男は咎めるように叫ぶ。
『アート、よく考えろ。いきなりそれでは、何も言えまい。それに、この至近距離で逃げ出したとて、お前ほどの者なら逃がすこともないだろう?』
正面の男は少女に近づくと、喉元のナイフをそっと退け、代わりにハンカチをあてがった。
背後から羽交い絞めにしていた男は、チッと舌打ちをして、彼女を解放する。
と、同時に、少女はその場に膝から崩れ落ち、意識を闇の中に沈めていった。
いかがでしたでしょうか?
イロイロと、すぐにでも“ボロ”が出てきそうですが、
何とか完結目指して頑張りたいと思います。
宜しくお願い申し上げます。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
そんな貴方に、心からの感謝を。
諒でした。