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黒の管理者  作者:
第二章
34/50

18.

 



 時間にして、ほんの一瞬の出来事。

 それでも、ユウにはとてつもなく長く思えた。

 やがて、ゆっくりとヴィンセントの顔が離れていく。

 それを、ただ呆然と、見送った。


 どちらも声を発しないまま、また、時間が流れる。

 酷く難しい顔をしたヴィンセントと、困惑した面持ちのユウの間に、不可思議な空気が存在した。


「すまない」

 会話の扉をこじ開けたのは、ヴィンセントの方だった。

「……何が、ですか?」

 そこで会話が途切れる。 再び苦い空気が二人を包んだ。


「ヴィンス!」

 その場の重さを一掃するかのように、ウォーレンがヴィンスに駆け寄る。

「今の……」

「あぁ、恐らく」

 目前で、言葉少なく会話を成り立たせる二人の騎士に、ユウは首を傾げたまま視線を向けた。

「お前……」

 その視線に気づいたウォーレンは、ユウの姿を見た直後、顔を赤くし、絶句した。

 ユウが自身を見下ろし、「あ」 と零すと、それをきっかけに、滞っていた時間が流れを取り戻す。

 一瞬にして頭の先から首のあたりまでを赤くしたユウが、大慌てで自室に引っ込み、外れてしまいそうなくらいの勢いで扉を閉めた。


「何なんだ、あれは」

 クツクツと堪え切れない笑い声をもらしながら近づく背後からの靴音に、ヴィンセントは振り返りもせずに告げた。

「ようやく出てきましたか、殿下。……どうなさるおつもりですか」

「どうするつもりか、って? 今までと変わらない。あれには、自覚が無かろう?」

「しかし……」

「もう少し、時間が必要だ。ユウにも、私達にも」

 ヴィンセントの肩に、ルーカスの右手が置かれる。

「焦るな。まだ、大丈夫だ。父上とエディの方は私がやる。お前たちは、あれの周囲に気を付けてやれ。正直なところ、何が起きるかわからない」

 ゆっくりと振り返るヴィンセントの視線が、ルーカスの真剣な視線にぶつかり、互いに頷きあう。

 そのまま言葉を発することもなく、ルーカスは元来た方へ歩いて行った。


「ヴィンス……」

「いろいろと、厄介なことになりそうです」

 じわりと声に不安を浮かべたウォーレンに、ヴィンセントは眉尻を下げて、首をすくめて見せた。

「では、私は自室に戻ります。しっかり修行して、立派になって戻ってきなさいね」

「な?!」

 眉根を引き寄せ、情けない顔をしていたウォーレンが、瞬時にぽかん、と呆気にとられる。

「ハハ…… まあ、あながち冗談でもないんですけど。……ユウの事、お願いします。何かあれば、すぐに連絡を」

「あぁ、解った」

「ありがとう。頼りにしているよ、レン」

 とん、とウォーレンの肩を叩き、ヴィンセントもその場を引き上げた。



 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆



 窓のない小さな石造りの部屋に、ククク、と噛み殺すような笑い声が響く。


「やっと見つけましたよ……わたしの、”魔女”」


 一筋のロウソクの火の中にぼんやりと浮かび上がったその顔には、歪んだ笑みが貼り付いていた。











お待ちいただいたがいらっしゃいましたら、ごめんなさい、です。

なかなか書き進められず、この有様。


もう、ホントに、ホントに、ごめんなさぁ~いっ! 。・゜゜・(≧д≦)・゜゜・。 ←お前が泣いてどーするっ?!


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