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黒の管理者  作者:
第二章
31/50

15.

 

 

 

 既に時間は日付を越えようかとしている頃。

 ヴィンセントは自身の執務室で、スティアートと共にウォーレンから報告を受けていた。

 

「……で? 彼女の“気配” がおかしい、とは?」

 スティアートがウォーレンに問う。

「今日、アイツの“気配” が変わったんだ。なぁ、ヴィンス。アイツ、本当に魔力を持っていないのか?」

「そのようだ。私が屋敷で匿っている頃も、魔力の“気配” はなかったが?」

 ヴィンセントの返事に、ウォーレンは頭を抱える。

「どうした、レン?」

 困惑の表情を浮かべる目前の部下を、ヴィンセントは訝しげに眺めた。

 

「……思い違いでなければ、アイツ、魔力を持ってる……それも、ケタ外れの……」

「何?」

「どういうことだ?」

 吐き捨てるように呟いたウォーレンに、二人は驚く。

「まんまだよ。アイツの“気配” に、異様に強い魔力が混じり始めてる。アイツ、一体何なんだ?」

 ウォーレンの至極真剣な視線に、ヴィンセントは得体の知れない感情を抱く。

 

「なぁ、ヴィンス。俺、良くわからないんだが、そういうもんなのか?」

 スティアートは、執務机に肘をつき、少し俯き加減に額を置くヴィンセントを見た。

「ああ、そうだ。その人物がまとう“気配” に魔力は織り込まれる。自身の魔力が強いと、相手の“気配” に反発して、それを感じ取る」

 ヴィンセントはひどく重そうに頭を持ち上げ、斜め左前方にいるスティアートに言う。

「ただ、魔力が強ければ強いほど、その制御については十二分に鍛錬する。無意識下でも確実に抑え込めるように」

 その言葉に、スティアートは眉間に皺を刻み、「何故?」 と言わんばかりに首をかしげた。

「自分から魔力の強さを誇示したところで、正直、何の得にもならないよ。戦場になれば、尚更。実際はどうか知れないけれど、狙われて、寝首をかかれるのがオチじゃないかな」

 苦笑いを浮かべて、ヴィンセントはスティアートに告げた。

 

「……で、レン。詳細の報告を」

 ヴィンセントの顔が、一瞬で策士の顔に変わる。

 それを見て、ウォーレンは、自身が感じたユウの“気配” について口を開いた。

 

 朝、廊下で顔を合わせた時点では、一般人にも感じられる程度の魔力すら感じられなかったこと。

 午前中はフィオナと共に、三人で図書館へ向かったこと。

 フィオナが自分の作業をしている間、ユウは、少し離れた場所で時間を過ごそうとしていたこと。

 ウォーレンが、暇つぶしになるように、と、子供向けの絵本を差し出したこと。

 そして、ユウがその絵本を受け取ったこと。

 

「……少なくとも、この時点では、“気配” は廊下で顔を合わせた時と同じように、魔力の微塵も感じられなかった。だけど……」

「『だけど?』」

「何だか嫌な感じがしたから、図書館の外を見廻りに行って。戻ったら、アイツが気ぃ失ってた。この時点ではもうおかしかった。それまでの“気配” とは別モンだった」

 ウォーレンが有り得ないと言わんがばかりに首を振った。

「ユウのもとを離れたのは、時間にしてどれくらいだったんだ?」

「ハッキリとは言えないが、多分、二〜三十ミニ程度だと思う」

「その間にあれの身に何かあった、ってことだな?」

 

 扉の方から、三人とは別の声が執務室に響く。

「ルーカス殿下、このような時間にどうされました?」

 ヴィンセントが少し不機嫌に声をかけた。

「ん? 何だか楽しそうだったんでな?」

 口角をクッと引き上げて、ルーカスがヴィンセントに返す。

 スティアートとウォーレンは、ヴィンセントとルーカスの間にある、今までとは少し様相の異なる空気に身を固くし、状況を見守るしかなかった。

 

 

 

 

 


お、とうとう幼馴染四人が一堂に会しました!

……が、なんだか、様子が……(汗)


アート兄は、魔力が弱いのですが、剣に長けています。

対して、レンは、剣術は苦手。だけど、魔力が強い。

以上、本文に盛り込み損ねた補足でした。


後程、世界設定に、コソっと項目、追加します。ホントに些細な内容です。



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