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黒の管理者  作者:
第二章
30/50

14.

 


「……ウ、おい、しっかりしろ! ユウ!」

 ぐったりと力の入っていない身体を盛大に揺す振られ、ユウは、ゆっくりと目を開けた。

「よかっ、た。気が付いた」

 ユウのうつろな視線の先には、安堵に満ちたウォーレンの顔。


「……私?」

「オレが戻ってきたら、気を失ってたんだよ。大丈夫か? 無理してんじゃないのか?」

 ウォーレンが、今度は懸念の表情で、ユウを見た。

「ちゃんとお役に付いたのが昨日なので、まだ、少し緊張してるのかもしれないです。心配させてしまって、ごめんなさい」

 そう言いながら、ユウは、立ち上がって足元に落ちている絵本を拾い上げ、汚れや破れがないのを確認してから書棚に戻す。

 その姿を、ウォーレンは腕組みをして、じっと見ていた。


「……どう、されました?」

 痛いほどの視線を感じて、ユウが、少し怯えながらウォーレンに訊ねる。

「お前、今まで魔力を感じたことは?」

「ないですよ、そんなの。私が住んでいた世界には、魔力なんてないんですから」

 至極真剣な表情のウォーレンに、ユウは笑って答えた。


(おかしい。さっきまでは、何も感じなかったのに…… オレが離れている間に、一体何があったんだ?)


 黙り込んでしまったウォーレンを、今度はユウが心配そうに見つめていた。



 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆



 その後は何事もなく、ただ淡々と過ぎて行った。


 ユウは、昼食前にフィオナに声をかけて図書館を離れ、侍女としての勤めに戻る。

 そうして昨日までと変わらない時間が過ぎてゆく。


 ただ一つ違ったのは、今までになかった“何か”が、そこに、確かに、存在していること。

 それが何なのか、そこにいる者、誰一人として、知り得ることはできなかった。




 その日の終わりを告げる漆黒の空には、ぼんやりと霞がかった三日月が浮かんでいた。








…… 短くて、ごめんなさい……



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