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黒の管理者  作者:
第二章
28/50

12.

 

 

「リア、ユウ。今日は図書館へいきたいのだけれど。ついてきて下さる?」

 朝食を終えたフィオナは、食器を下げ、後片付けをしている侍女二人に声をかけた。

「図書館、ですか?」

 ユウがフィオナに訊ねる。

「ええ、調べたいことがあって。確か、図書館にある持ち出せない本に、それが載っていたと思うのよ。だからどちらか一人で構わないのだけれど」

 フィオナはにこりと微笑む。

「私が調べ物をしている間、好きなように時間を過ごしてもいいわ。図書館の本を読んでもいいし、館内に居てくれるなら他の仕事をしてもいいし。……ダメかしら?」

 

 ユウはリアの様子をちらりとうかがった。

 フィオナの後ろでワゴンに片付けものを載せている彼女は、あまり乗り気ではなさそうに、僅かに眉をひそめている。

「あの、私がお供させて頂いても?」

 ユウは、思い切ってフィオナに申し出た。

「ありがとう。じゃあ、ユウの仕事がひと段落つくまで、わたくし、ほかの用事をしていますわ。手が空いたら、声をかけてもらえるかしら?」

「かしこまりました。では、一旦ここで失礼いたします」

 リアがワゴンの整理を終えたのを確認し、ユウはリアと共にフィオナの居室を辞した。

 

「ごめんね、お供、お願いしちゃって」

 ワゴンを押しながら、リアがユウに詫びる。何故謝罪を受けなければならないのかがわからないユウは、不思議そうに首をかしげた。

「私、図書館って、どうも苦手で。天井までいっぱいに詰まった本棚、あれが怖いの。落っこちてきそうで。あと、静かすぎるのもダメ。お化けとか、出そうじゃない?」

「お化けって。リアさんって意外と、怖がりだったりするの?」

 首をすくめて話すリアが可愛く見えて、ユウはくすくす笑い出した。

「ん、もう! そんなに笑わなくったっていいじゃない」

「ごめん、ごめん」

 

 お互いの顔を見合わせて、またくすくす笑いながら炊事場へと足を進めていたその時、ワゴンが突然、ガシャン、と停まった。

「うわっ!」

「きゃっ!」

 その衝撃に顔を上げると、目の前にはウォーレンが仁王立ちしていた。

 どうやら先程のそれは、彼が直撃しそうになったワゴンを押さえつけたためだったらしく、ウォーレンの三白眼は、いつも以上に凄みを増して二人を睨んでいた。

 

「お前たち、どこ見て歩いてんだよ?」

「ウォーレンさん、どうしてこんなところに?」

 蒼い顔で言葉も出ずオロオロするリアに対し、きょとん、とウォーレンを見るユウ。

 二人の対照的なその態度に、ウォーレンは先程までの怒りをそがれ、思わずふき出した。

「何? どうしたんですか? 何がおかしいんですか?」

「いや、いいコンビだな、お前たち」

 いまだ笑いが止まらず、涙目のウォーレンにそう言われ、ユウとリアは顔を見合わせ、コトリ、と首をかしげた。

 

「とにかく。ぶつかっちゃって、ごめんなさい。おケガはありませんか?」

 ユウが、ワゴンを受け止めたウォーレンの手に傷がないかを確かめようと手を伸ばす。

「うわぁ!」

 それまで笑っていたはずのウォーレンは、ユウの行動に、慌てて手だけでなく身も引いた。

 おまけに、その顔は、いつの間にかすっかり茹で上がったように赤くなっていた。

「さ……触るなっ!」

「ウォーレン様、どうなさいました? お顔が……」

「う、うるさいっ! オレに構うなっ!」

 ずっとオロオロとしていたリアも、ウォーレンの尋常でない慌てように、すっかり落ち着きを取り戻す。

 

「おケガはないんですね?」

 念押しするように訊ねるユウに、ぷい、とそっぽを向くウォーレン。

 その様子を見て、今度はリアがくすくすと笑いだした。

「リアさん?」

「あ、ごめんなさい。失礼、でしたよね……」

 口では詫びているリアだったが、先程からのくすくす笑いは全く止まる気配がない。

 そんなリアに呆れながらも、ユウはウォーレンがなぜここにいるのかを考えていた。

 

(また、強引に抑えられちゃうのかな……)

 

 微かに不安をにじませた目でウォーレンを見ると、ちょうど視線がぶつかった。

「すまなかった、な。勘違いしてたんだ、オレ。怖い思いさせて、ゴメン」

 ぼそりと呟くウォーレンに、ユウは目を丸くした。

「どうして……?」

「ヴィンスとアートに叱られた。今日から二週間、お前から、いろんなこと教えてもらえ、って、団長命令。だから、うっとうしいだろうけど、勘弁な」

 すまなそうに苦笑いするウォーレンに、ユウは驚きの表情を微笑みにかえた。

 

 

 


ユウとウォーレン仲直り、の巻。

ここにきて、本文内容も、執筆速度も足踏み状態です。

それなのに……


ある方にお誘いいただき、なんと、アルファポリス様に登録をして参りました。

いろんな意味で、大丈夫か? 私……?


いつものように、ご意見、ご感想、愚痴、世間話(←あれ? おハツ?)、その他諸々、絶賛受付中♪でございます。

宜しければ、一言、声かけてやってください。

一生懐きます(←なんか、ニホンゴ、おかしいような?)


ここまでお付き合いくださったあなた様に、心からの感謝をこめて。

諒でした。



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