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黒の管理者  作者:
第二章
18/50

2.

 

 

 遥か頭上の天井から下がるシャンデリアは、華美でなく、しかし、その存在を確かに示している。

 その下に長く続く白い大理石を敷き詰めた回廊を、ユウはヴィンセントの背中を見て進んで行く。

 言葉を交わすことなく、ただ、沈黙を保って。

 

 永遠に続くかと思う程のその先に、重厚な観音開きの扉が姿を現した。

 

「騎士団、ヴィンセント・クリストファー・ロイス、国王陛下に謁見のお許しを頂きたく参りました」

 ピンと張りつめたヴィンセントの声に、ユウの身が、ぴくり、と縮こまる。

「よい、許可する。入れ」

 威厳のある声が、向こう側から響いた。

「大丈夫。陛下は判って下さる」

 彼は不安げにしているユウに向かってささやいたあと、表情を戻し、扉を、ずい、と押し開けた。

 

「この度はお目にかかる機会を頂きましたこと、ありがたく存じます」

「よい、ヴィンセント。……して、その娘が?」

「はい」

 俯いたままヴィンセントの後ろにいたユウを射る視線に、彼女は息をすることさえ許されないような感覚に陥った。

「娘、顔を上げよ」

「さあ、ユウ」

 ヴィンセントに背中をそっと押され、言われたままに顔を上げ、目の前の威圧に向かう。

 その先には、中央に男と女が並んで椅子に掛け、その両側に一人ずつ男が立っていた。

 

(この方が、国王陛下……。じゃあ、あちらが王妃様?)

 

 ユウはそろそろと前へ足を進めた。

 

「名は?」

「……ユウ、サカキ、と申します」

 恐る恐る口を開く。

「異世界から来たと?」

「そのようです。気が付いたら、森の中に、居ました」

 

 じっと心の底まで覗き込むように見た後、国王は、自身の右に控えていた男に声をかけた。

「ダリル。どう思う?」

「はっ。……見たところは、“王家の森”の結界を超えて侵入したようには思えませんが」

「エディ。お前はどうだ?」

「陛下や殿下方に危害を加えるようには見えません。……少なくとも、今は」

 王妃の左にいた男が国王に進言し、スッとその目を細めてユウを見る。

 

 その視線に、ぞわり、とユウの胸が騒いだ。

 押し潰されるような感覚が全身にまとわりついて、次第に呼吸(いき)が浅くなる。

 エディ、と呼ばれた男が国王に近寄り、耳打ちをするような姿を視界に捉えた直後、違和感に耐え切れず、ユウががくりと膝をついた。

「ユウ? どうした? 顔色が良くな……」

 ユウのすぐ隣にいたはずのヴィンセントの声が、彼女の意識からすうっと遠くなっていった。

 


 

仕事で失敗して凹んじゃったので(?!)、ちょっと早めにUPです。

 

さて、お話は、“ユウ、国王様との遭遇”。

『国王様なのに、危険視している人物と直接逢っちゃうのかい?』な~んて、

カタイこと、言いっこナッシング(←Σ(・ω・ノ;)ノ?!!)でお願いします。

(↑実は、ついさっき、これに気づきました。)


気力が持ったら、明日か明後日に、もう一話、UPしたいなぁ~…などと、

不謹慎なことを悶々と考えております。

さて、どうなることやら…┐( ̄ヘ ̄)┌


ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。

そんなあなた様に、最大級の感謝を。



                                    諒でした。

 


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