16/50
0.
ご無沙汰しております。
第2章、頑張って始めたいと思います。
お時間が宜しければ、お付き合いくださいませ。
異世界『ベイルシャール』に、ユウが呼び込まれてから、今日で十七日目。
今、彼女は、目隠しをされ、後ろ手に枷をはめられて、馬車で王城への道を辿っている。
保護してくれた、この国の騎士とともに。
重苦しい空気の漂う空間で、ユウの目の前に座るのは、ベイルシャール国騎士団団長、ヴィンセント・クリストファー・ロイス。
本来なら、真っ先にその役目を果たすはずの彼が、異世界から来たという、身元も知れぬ彼女を今日まで保護した。
彼がいなければ、もっと早くに“王家の森”に無断で侵入した“罪人”として捕らえられ、投獄されていたに違いない。
なぜ、匿ったのか。興味本位? 気紛れ? 同情?
ユウには、その理由を訊くことは叶わなかった。
あの日、あの場所に“落ちて”いなければ、こんな風に出逢わなかったのに……。