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小説『虚空のバベル』4

作者:三澤賢司
最新エピソード掲載日:2026/10/12
白石崇は日本銀行総裁の勝木に、政策金利を一パーセントへ引き上げる強いシグナルを求める。預金金利が連動して上がれば、一千兆円の預金に対し年間十兆円の利息が預金者へ支払われる。勝木は、銀行が直接預金金利を指定される筋合いはないこと、利息支払いで銀行の運用原資が増えるわけではないことを指摘する。白石は、この十兆円の調達コスト増こそが貸出金利を一・二〜一・五%へ引き上げる正当な根拠になると説き、預金者側に生まれる十兆円の運用枠を海外のステーブルコインに流出させず、トークン化預金と信託で国内に留めたいと訴える。
翌日、地銀協の理事会では大塚頭取が高金利への反発から不安を示す。しかし白石と吉永は、政府の利子補給とトークン化預金をセットにすれば、地域企業の負担を抑えながら銀行は利ざやを確保できると説明する。大塚は「金利のない世界に毒されていたのは我々だった」と認め、協力を約束する。
一か月後、神保は日銀が利上げに傾いたと伝えつつ、貸出金利の改定が進まない銀行は十兆円のコスト増で破綻しかねないと警告する。白石は「スピード」で勝負すると応じる。十一月、日銀は誘導目標を1.00%へ引き上げ、主要行も預金金利を一斉に引き上げる。預金者に還元された資金は、バベル・ネットを通じてSpaceNodeのデジタルREITやMBSへ流れ込み、一分で三千億円を突破する。白石は、現実の預金とデジタル空間が金利と流動性で結ばれたと感じる。
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