会いに来たよ!
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※閲覧注意(Content Warning) この先、死に関する描写・トピックを含みます。 苦手な方や、現在精神的に不安定な方は閲覧をお控えいただくか、ご注意ください。
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「あいにきたよ!○○ちゃん!」
俺がいつも使っているトンネル前に停車していたタクシーから親戚のお姉さんが降りてきて
なにかが吹っ切れたような見たこと無い満面の笑みを振りまいて両腕を広げる。
なぜか周囲が光り輝いていて、目と鼻の先のはずの自宅方面が白い霧のように視認できない。
それにそもそも親戚のお姉さんは会いに来るときタクシーを使わない。
徒歩数分圏内に住んでいるからだ。
それに外見年齢も俺と同い年くらいになっていた。
「え…いや、○んだはずじゃ…」
お姉さんは悲しそうな顔で両腕を下げた。
お姉さんは最年少の俺の前では全部を隠していつも笑っていた。
隠されていたので俺には何があったか分からないが、親戚のお姉さんがそうしたいなら
知らないままで一緒に笑っていようと思った。こういう顔をさせちゃいけない
「だいすきだよだいすきだよだいすきだよ!」
俺はお姉さんに子供の頃にすらしたことないハグをして叫んだ。
おばあちゃんがいつもあの子は会うと私を抱きしめてくるのよ、と言っていたのを
思い出した。
お姉さんは驚いた表情をしたあと、またいつものように笑った。
触れられるのに向こうからは触れられないようだった。
目が覚めるとなぜかやわらかなものを抱きしめた直後のような感触がまだ残っており
手を開閉しながら本当に抱きしめて最後に伝えられなかった言葉を伝えられたのかもしれないと
ぼんやり考えた。
いい人ばかりいなくなっていく。
不機嫌な唸り声と足踏みが廊下から聞こえた。




