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俺達YOEEEEEE?けど異世界満喫したいよね?  作者: くまの香


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98話 テイム談義

 ----(大島視点)----


 俺たちは無事に僻地1の迷宮から脱出出来た。



「時間が惜しい。話は仏間でしよう」



 久瀬さんに急かされて、仏間に戻った俺たちを乗せて仏間は出発した。

 僻地2の方角へ向かい一直線に走っている。



「いやぁ、ヘキイチでは大変な目に遭いましたね。ヘキニでは足場に気をつけないとな」


「気をつけてても、見えなかったらまた落ちるぞ」


「確かに。どうしたもんかねー」


「地面を棒で突きながら歩くか? あ、清見君は仏間で待機してもらいましょうか」


「そうだな」


「ご、ごめんなさい……」



 清みんがかなりへこんでいる。ポヨン君らも心配して周りから離れない。



「清みんは凄く役立ってるぞ。俺たちは助かってる」


「そうですよ。この仏間だって、今も道を切り拓いてくれている」


「さっきの魔物溜まりも、ポヨンさんらが虫鍋完食してくれてありがたかったです」



 清みんがひぃぃと震え上がる。さては『虫鍋』を想像したな。



「清みん。おかげで俺の防御壁で擦り潰さずに済んだ。ありがとう、清みん。本当にありがとな」



 俺は心の底から感謝の気持ちを述べた。



「それにしてもさぁ、スライムって不思議だよなー」


「何が?」


「いや、だってさ、あの量の魔虫を食べたんだぜ? けど、スライムの腹は全く膨らまない。あの質量はどこへ消えたんだ」


「それは前からだろ。いつも体の十倍以上の大型魔獣だって食ってるんだぜ?」


「そうだが、今回はそれとは比べ物にならないくらいの量だぞ」



 清みんの膝や肩に乗っているポヨンさんらは、あの大量の魔虫を食べたとは思えないくらい、いつものサイズだ。

 スライムの腹は異次元に繋がっているのか?



「そう言えばさ、清みん。ポヨンさん達って4年前に出会った時から成長したか?」


「ん? してるよ? 言葉も通じるようになったし、弾力性も上がった気がする」



 清みんが膝の上のスライムをもちもちと揉んでいた。



「あ、いや、サイズの事だ。4年前から大きさは余り変わってない気がするな」


「ああ、サイズね。確かに、出会ったあの頃から変わってないと思う。重くなったかな?……んー、変わってない、気がする」



 清みんがスライムを両手で掬い上げて、上げたり下げたりしていた。



「ウリ坊も変わらないんだよなぁ」


「んー。ん? ウリ坊は変わったじゃん。拾った時は手のひらサイズのチビだったけど、俺が寝てる3日で今のサイズに巨大化したじゃん」


「確かに。けど、それ以降、この4年はそのままだな。大人の猪って感じじゃないんだよな」


「そこがまた可愛いよね」



ピギャース

ピピップ

プスン



 俺らの会話が聞こえているのか、移動している最中だが仏間の外からウリ坊達の鳴き声が聞こえた。



「うんうん。可愛いよー」



 清みんが外へ向かって言った。



「久瀬さんは、今、ウリ坊達が何を言ったかわかりますか?」


「いや。全くわからん。ぴぎゃーとかぷぎーにしか聞こえん」


「清見君はわかるのか?」


「うん。何となくですが、ウリィ君が『嬉しい、可愛い?』、ウリッシが『ふん、当たり前』みたいな。ウリリちゃんが『すん』って感じ?」


「テイムした主のみ、心が通じるって事か」


「テイムは謎だ。この世界、色んな魔物、魔獣、魔虫がいるが、テイムするとその個体はそれまでの魔物から外れる……別枠になる、そんな感じがする」



 久瀬さんがしみじみと語った。彼もテイマーだからな。



「と言うか、その『テイム』自体がよくわからない」



 清みんがボソボソと口にする。



「だってステータスに表示があるわけではないし、俺がポヨン君と名付けただけで、ポヨン君がポヨン君になったわけじゃない。ポヨン君と呼ぶと返事してくれるだけ」


「ま、人間だってそうだよな。俺が生まれて親が大吾と名付けて大島大吾になったが、出生届とか戸籍なんて人間が作ったシステムや紙上に記載されているだけの話だからな。学生の時に短期でアメリカに留学したんだが、あっちじゃトニーって呼ばれていた。同室の奴が勝手に付けた。3ヶ月間、俺はトニーだった」


「大島……トニー」


「呼び方なんてなんだっていいんだよ。そいつがソレで俺を呼ぶ。だたそれだけ。俺の身体に『大吾』と彫られているわけじゃないし、もちろんステータスが表示されるわけじゃないからな」


「でも……トニー……」



 いや、それはもう置いておけ。単なる例えで出した話だ。



「あ、今は表示される。ステータス。……俺、加瀬清見だ」


「魔物にも、ステータス画面はあるんだろうか?」


「もしもあるとしたら……ポヨン君の本当の名前は何なんだろう。俺が勝手にポヨン君って呼ぶの、嫌じゃないかな」



 清みんの頭上にいたスライムが肩に降りてきて身体を清みんの顔に擦り付けている。



「それがポヨン氏だとしたら、嫌じゃないって事だろ?」


「それどころか好きって感じですね」


「待て。俺は凄い事に気がついてしまったぞ。ヤバすぎる事実だ」


「何だよ、桂ぁ、大袈裟だな」


「いや、あのさ、人間側はさ、テイム出来るやつだけ、自分の従魔の言葉と言うか気持ちがわかるんだよな?」


「ああ、まぁ、そんな感じだ」


「人間側?」


「うん。人間側。でさ、今のポヨン氏の行動……まさかと思うけど、俺たち人間側の会話を理解しているとか、ないよな?」



 桂さんの言葉に全員が凍りついた。

 確かに、スライム達もウリ坊も、他のテイム魔物達も、皆絶妙の間で動きを見せる事がある。


 深く、考えた事がなかった。こっちが魔物の言葉を理解出来ないから、向こうも人間の言葉を理解出来ないと思い込んでいた。

 唯一、テイマーのみ、自分の従魔の言葉がわかる……と。まさかの逆?




「ま、まぁ、この世界では俺たち地球人は新入りだからな」


「そうですよ、俺ら新人。新人だから」


「まさか、俺がテイムされているのでは……。先輩?」



 久瀬さんが自分のスライムを顔まで持ち上げて驚愕の眼差しを向けている。



「だから、テイムスキルが表示されていないのか。先輩には表示されているのか?」



 久瀬さんのスライムの名前は、前から『先輩』だったか?



「そしたら俺、複数からテイムされちゃってるんだ? スライム4体とウリ坊5体からの同時テイム?……めっちゃ大変そう。指示が複数あったら誰に従えばいいの?」



 久瀬さんと清みんが見つめあってから力無い笑顔で笑い合っている。


「えへへ……」

「はは……ははは」


「あ、うん、そうだよね!」



 突然、清みんがポヨンさんを持ち上げて叫んだ。



「友達、そう、友達なんだよ! うんうんうん」


「だな! そうだな。 おう、先輩とは友人だ!」



 久瀬さんもその先輩?を持ち上げて話しかけていた。テイマーは大変だな。欲しいと憧れていた事もあったが、しばらく様子をみよう。

 テイムしていると思ったら実はテイムされていた、とか、ちょっとな。

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