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俺達YOEEEEEE?けど異世界満喫したいよね?  作者: くまの香


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97話 サンバルサ……

 ----(大島視点)----


「サン、バル、サァァァ◯っ!」


 一際デカイ清みんの叫びが上がった。



ダババァァァァァァ



 デカゴキと近くに居たやつらも飛んでいった。が、すぐに他の魔虫が張り付いた。



「清見君が落ち着くまでは無理だな」


「大島ブルは待機で頼む」


「わかりました。それと最初から見えなくしておけば良かった。俺のミスです」



 俺は防御壁に濃い色を付けて外が見えないようにした。久瀬さんは清みんの頭を抱え込むように座り込んだ。

 清みんは小さく身体を縮こめている。本当に虫が嫌いなんだろう。かく言う俺も好きではない。



「俺……清見君の気持ち、わかるんだよな。自衛官になってさ、虫が嫌いとか言えない環境になったけど、本当は大嫌いだった」


「俺もGは苦手だぞ? 地球に居た時は嫁さんがスリッパで叩き落としていた」


「ごめ、ごめっ、ごめな……」



 清みんが縮こまったまま小さい声で謝ろうとしていた。



「大丈夫。大丈夫だからな。今、この空間に虫好きはいない」


「あ、すんません。俺……Gは無理だけど団子虫は、その、ちょっと好きかも。丸くなるのが可愛いっつか」


「あほ」



「てて……ところで、俺、凄い事に気がついたんですが」



 大乃木さんに叩かれた頭を擦っていた手を七海倉さんが顎に持っていく。



「リクレクションって、どんな詠唱でも効果があるんですね」


「あ、それ」


「さっきの清見君、かなりめちゃくちゃな詠唱でしたが、魔虫はバンバン飛ばされていましたね」


「元々が、ちょん、でしたからね。リフレクチョン」


「リフレクチョンならまだしも、最後のアレ、なんすかね。リフレクに全く掠ってもいなかったですよ?」


「ああ、何だっけ? サンバルなんとか」


「詠唱なんて元から意味無いのかもしれませんね。気力スキルからくるものなら、ようは『気力』を出せればいいのかもしれない」


「なるほど。では、俺もリフレクションではなく他で試してみるか……。何がいいか。気を出せる言葉」


「エイエイオー!」

「ドスコイ!」

「どっこいしょー!」

「わっしょいわっしょい」



 ………昭和の親父か。



「意外と難しいな」


「はーっ!とか、ヤァーっとかの掛け声の方が気が込められそうじゃないですか?」


「なるほど、そうだな。言葉や文言でない方がいいかもしれん」



 久瀬さんがちょっと試したいと言い出した。

 着ていた上着を清みんの頭にスポッと被せて周りが見えないようにした。かつ、清みんの背後側に回り、そちらの防御壁を透明にして欲しいと言ってきた。



「わかりました。久瀬さんの前の部分、1メートル四方のみを透明にしますね」


「おう、頼む」



 久瀬さんが空手のようなポーズで壁の前に立った。俺はその前の壁を透明にした。



「むっ?」


「あれ?」



 久瀬さんの前の防御壁に魔虫はいなかった。久瀬さんが防御壁をコツコツと叩き虫を誘き寄せようとした。

 が、待っても魔虫は来ない。


 首を捻りながら少し横にズレた。その前の壁を透明にした。

 魔虫は居ない。



「ん?」


「なんだ?」

「?」



 俺はそちら側の壁面を全て透明にした。漏れたライトに照らされた防御壁の外に魔虫が居ない。

 俺は、振り返り、清みんの頭がスッポリと上着に包まれているのを確認してから、防御壁全面の色をクリアにした。



 さっきまで大量の虫が蠢いていた空間は、今は空っぽだった。穴の地面も見えている。

 まさか、通路から他へ移動してしまったのではと焦った。


 穴から通路への入口を見るとそこにはスライムが一体、上下していた。清みんのところの誰かだ。

 他の3体は?

 まさか、食べられたのかっ!


 久瀬さん達も同じ事を考えたのか、ライト持っていた桂さんと七海倉さんが空間の四方へと明かりを照らしてポヨンさんらを探していた。



「居た! 上だっ!」



 七海倉さんのライトが向いている穴の上方に目を向けると、そこにスライムが一体。魔虫に覆い被さっていた。



「あそこにも」



 桂さんが当てたライトの先にも、壁の途中にある窪みから魔虫を叩き落としている。その下に待ち構えていたのかもう一体が受け止め包み込んであっという間に消化した。


 通路の入口に居た1匹が防御壁にタンタンとぶつかってくる。野生のスライムはデロンとしてまとまった形をほとんど取らない。ポヨンさんらのようにテイムされたスライムは弾力のあるボールのようになる。

 今、防御壁にアタックしているのはボール系だ。だが念の為、清みんに確認をとる。



「清みん、ポヨンさんらか?」



 頭に被せられた上着から目だけを出した清みんが見たと同時に、スライムのタンタンが激しくなった。飼い主に尻尾を思い切り振る子犬のようだ。



「あ、パミュンちゃんだ!」



 俺がインを唱えると、パミュンさんが清みんの懐に飛び込んだ。見ると他のスライムも集合していた。

 清みんの元に戻ってきたスライム達が清みんに甘えまくっている。



「魔虫……綺麗に居なくなってますね」


「そうだな」



 久瀬さんの言葉にようやく清みんが周りを見回して肩の力を抜く事が出来たようで、大きなため息を吐き出した。



「よかった……。ありがとう、ポヨン君。パミュンちゃんもプルン君も、ふるふるさんもありがとね」


「清みん?」


「あ、ポヨン君達が食べたって。俺が怖がったから完食したって」


「言ってる、のか? スライムが?」


「うん? 言ってると言うか……心の声?」


「ああ」



 テイマーである久瀬さんだけは清みんの言いたい事が理解できたようだった。



「とりあえず螺旋階段まで移動するぞ。地上に出たら僻地2へ向かう」


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